#541 ムーブメントスキル(=走る、止まる、方向転換する等における身体の使い方)の知識を深めれば深めるほど、ベーシックなウエイトトレーニングを適切なフォームで実施して、筋力や柔軟性を向上することの重要性を感じる

※本ブログはアフィリエイト広告を利用しています

 

Active adult athlete 348487

 

先月、週2回×4週間=計8回、とあるスポーツチームへのムーブメントスキル指導のインターンをする機会をいただきました。

私が以前に受講した「Movement Fundamentals」「Certified Movement Coach」という2つのコースで指導していただいた朝倉さんが、チームにムーブメントスキルを教えるのをアシスタントとして補佐をしながら、セッションの進め方を観察させていただきました。

 

私はこれまで計10回のコースを2つ受講したので、ムーブメントスキルに関する基本コンセプトは理解できているつもりです。

しかし、目の前のアスリートやチームのレベル等に応じて、どのようにセッションを組み立てるべきか、アスリートの動きを観て、誰にどのような声がけをすればよいのか、といった部分はまだまだ修行が足りないと感じていたため、インターンというのは今の私にとってはベストな学びの形でした。

 

 

動きが改善されるアスリート vs. 改善されないアスリート

4週間という短い期間にもかかわらず、アスリートの動きがみるみる変わっていく様子を観察できて、ムーブメントトレーニングの有効性を確認することができました。

そんな中で、動きがどんどん改善されて良くなるアスリートと、その一方で、なかなか動きが思うように変わらないアスリートとがいることに気づきました。

つまり、ムーブメントトレーニングの効果に個人差があるということです。

 

個人差が生じる原因として3つのパターンがあるのではないかと考えてみました:

  • ①身体の動かし方の上手い下手
  • ②指示された動きに対する理解度
  • ③ウエイトトレーニングをちゃんとやっているか

 

①身体の動かし方の上手い下手

個人差の原因のひとつとして「身体の動かし方の上手い下手」というものが考えられます。

指示された動きをすぐに再現できる器用なタイプと、すぐにはできない不器用なタイプがアスリートにはいるものです。

後者のタイプでも、時間をかけてコツコツ練習すれば、できるようになるアスリートもいます。

しかし、今回は期間が短かったため、後者のタイプのアスリートの動きが大幅に変わるには十分ではなかったことが考えられます。

 

 

②指示された動きに対する理解度

場合によっては、そもそも指示されている動きを理解できていないため、動きの改善がみられなかった、というパターンも考えられます。

動きについての指示を聞いても、思い浮かべるイメージに指示者とアスリートの間に乖離があるかもしれません。

そもそも、ちゃんと指示を聞いていないなんてこともありえます。

今回のチームの場合は、比較的理解力が高いグループだったので、そういうケースは少なかった印象です。

それでも、全8回のセッションの後半途中から参加したアスリートもいたので、彼らの場合は、そもそもどういう動きをしていいのか理解できていないケースもあり、なかなか最初から参加していた他のアスリートに追いつけない様子でした。

 

 

③ウエイトトレーニングをちゃんとやっているか

もうひとつ、ムーブメントトレーニングの効果に個人差が生じた原因として、そもそもの筋力や柔軟性が不足しているアスリートがいたということが考えられます。

たとえば、「股関節を中心に、臀部とハムストリングを使って地面を押しましょう」と指示しても、臀部とハムストリングの筋力が弱いとその動きができないとか。

減速する時に、ヒップヒンジのような形でお尻を後方に引きながら接地して地面を押すよう指示しても、ハムストリングの柔軟性がないと、その姿勢が取れないとか。

 

今回、インターンでみさせてもらったグループは、比較的そのようなパターンは少なかったですが、それでも「臀部の筋力弱いな〜」「ハムストリング固いな〜」というアスリートが何名かいました。

こういうパターンだと、どれだけセッション中に口酸っぱく「お尻を引いて!」とか「臀部とハムストリングで地面を押しましょう!」と言っても短期的に改善が見られる可能性は少ないです。

そもそも、そういう動きができない原因が、身体の動かし方の問題ではないので。

 

そのような場合、まずはウエイトトレーニングを実施して臀部やハムストリングの筋力や柔軟性を向上させておくことが重要です。

もっと言うと、臀部やハムストリングの筋力や柔軟性が向上するように丁寧にウエイトトレーニングをやるのが重要です(この違いわかりますか?)。

なんでもかんでも重さを挙げておけばいいってわけではないので。

 

そして、臀部やハムストリングの筋力や柔軟性を高めるには、べつに特別なエクササイズをやる必要はなく、RDLやデッドリフト、スクワット、ランジ等のベーシックなエクササイズが最適です。

走る・方向転換する・減速するetcの動きに特異的なエクササイズをする必要はありません。

イメージとしては、ベーシックなウエイトトレーニングを丁寧に実施して、必要な部位の筋力や柔軟性を高めておき、それをうまく使いこなすためにムーブメントスキルを学ぶ、といった感じでしょうか。

 

逆の言い方をすると、朝倉さんの教えられているムーブメントスキルは、ウエイトトレーニングによる筋力や柔軟性の向上がそのまま動きの向上に結びつくように組み立てられているので(ここがすごいところなんですが)、ウエイトトレーニングにおいては特異性なんて気にしないで、ベーシックなエクササイズを丁寧に実施しておけばOKということです。

 

 

まとめ

ウエイトトレーニングで鍛えた筋力や柔軟性という体力を、実際のスポーツの動きに繋げる(=トレーニング効果の転移)ための手法として、ムーブメントスキルの学習というのは大きな可能性を秘めていると感じています。

しかし、そもそも転移させるための体力を向上させるにはウエイトトレーニングが必須だし、ムーブメントスキル学習の効果をあげるためにも、まずはウエイトトレーニングを実施して必要な部位に筋力や柔軟性をつけておいてあげることが重要です。

ムーブメントスキルを学べば学ぶほど、ベーシックなウエイトトレーニングを適切なフォームで実施しておくことの重要性を感じます。

動きの改善だけを指導しても足りない場合が多いので、ウエイトトレーニングとセットで実施したほうがよいでしょう。

 

 

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

昨日は弘田雄士さんの野球セミナーを受講。1日かけて、さまざまなことを学びました。野球のピッチャーのトレーニング指導はちょっと特殊だな〜という印象。やるなら、それなりの知識を新たに学ぶ必要があると感じました。野球以外にも応用できる情報を仕入れたので、うまく活用させていただこうと思います。