#566 「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方を私が重視する理由

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Baseball Geeksという外部サイトからご依頼をいただき、野球コミュニティ向けにトレーニングに関する記事を書いています。

最初にご依頼を頂いた時に「私、野球チームを担当したことないし、野球選手も1人しかトレーニング指導したことないですよ」とお伝えしたのですが、むしろ「従来の野球界の常識にとらわれない客観的な視点で書いてくれ」と言われたのでお引き受けすることにしました。

とりあえず、これまで2本の記事を書きました。

どちらも、「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方を、対象を野球選手にして書いてみたものです。

 

 

根本的な考え方にこだわる理由

Baseball Geeksさんから記事執筆のご依頼をいただいて、最初に「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方について書こうと思った理由は、ここの部分が理解できていないと、もっと具体的なトピックについて書いても、理解してもらえないと感じたからです。

たとえば、腰にリフティングベルトを巻いて、思いっきり腰を丸めながらデッドリフトで200KG近い重量を持ち上げている高校球児の動画を見たことがあります。

それはそれで、「すごい身体能力を持った高校球児がいるもんだ」「あんなフォームで腰痛めないなんて頑丈な身体だな」と驚く部分はありますが、それをやらせてしまっている指導者は、「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方を理解していないんだろうな、と悲しい気持ちになります。

もし私がその高校球児を指導するなら、たとえ重量を150KGに下げないといけなかったとしても、「正しいフォーム」にこだわってやらせます。

ここで言う「正しいフォーム」とは、より重い重量を挙げるのに適したフォームではなく、狙った体力要素を健康的に向上させることのできるフォームです。

そして、アスリートにとっての「正しいフォーム」がどういうものなのかは、「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的なことを理解することで、初めて決定されると私は信じています。

 

ウエイトトレーニングのフォームに限らず、私が見たり聞いたりする中で、「なんでそんな間違ったトレーニングをやっちゃってるのかな?」と疑問に思う場合の99%は、「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方の理解不足が原因だと私は見ています。

逆に言うと、「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方さえ理解しておけば、間違ったトレーニングを実施してしまうリスクを大幅に減らすことができるということです。

 

 

「目的(=Why)」が決まって初めて適切な「手段(=What、How)」も決まる

私の好きな本に、「Start with Why」という本があります。

日本語訳のタイトルは「WHYから始めよ!」です。

Whyを最初に決めてからHowやWhatを決めましょうという「思考の順序」について解説されている本です。

私の思考と似ているので、この本に書かれている主張はとてもしっくり来ました。

トレーニングにおいても、Whyつまり目的をまずは明確にすることが重要です。

Whyが決まって初めて、適切なHowやWhat(=手段)も決まるのです。

 

たとえば、野球選手がバットのスイングスピードをUPするために、股関節伸展の筋力が重要なので、そこを鍛えるためにデッドリフトを実施しましょうとなった場合、股関節伸展の筋力向上につながるようなフォームでデッドリフトを実施することが重要です。

具体的には、腰を曲げることなく、上体の角度を一定にキープしたまま床からバーを持ち上げ始めるようなものになるはずです。

腰を丸めて、ケガをする危険を犯してまで、より重い重量に挑戦するようなフォームでは、「俺はデッドリフト200KG挙げられるぜ」と自慢することはできたとしても、目的を達成するのに適したフォームにはなりません。

 

逆に言うと、「腰を痛めても何をしてもいいから、とりあえず今、より重い重量を挙げる」ことが目的なのであれば、リフティングベルトを巻いて、腰を丸めて挙げるフォームが「目的を達成するのに適した手段」として正当化される場合もありえます。

たとえば、家族が人質に取られて銃を突きつけられて「今、200KGをデッドリフトで挙げないと、こいつら撃つぞ!」と脅されたら、腰が丸まろうがなにしようが、とりあえず挙げることが目的になるはずです(そんなシチュエーションはないでしょうけど)。

 

つまり、どういったトレーニングのやり方が適切かどうかは、目的によって変わるということです。

ということは、まずは目的を明確にしておかないと、「そのフォームはだめだ」「いや、こっちのフォームのほうが正しい」なんて議論も無意味なのです。

 

 

まとめ

Baseball Geeksさんへの投稿記事は今後も続く予定です。

興味のある方はチェックしてみてください。

まずは、「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方を解説した上で、具体的なお話もしていければと考えています。

ブログやセミナーで提供するトピックとしては、「トレーニングプログラム作成方法」とか「モビリティドリルのやり方」のように、ハウツーものというか具体的な方法をお伝えするコンテンツが人気が高いような気がしますが、重要度・優先度としてはWhyのほうが先なんですよという点をこれからも訴えていきたいと思います。

もちろん、Whyの部分をしっかりと押さえているのであれば、それを具体的に実行するためにHowやWhatの部分を突き詰めるのはまったく悪いことではありませんし、当然のことですが。

 

 

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【編集後記】 

今日は久しぶりにJISSのトレーニング体育館にてトレーニング指導。

やはり広いし器具もたくさんあって、トレーニング指導がやりやすい。

特に、スーパーセットを組む時に、器具を独占して他の利用者に迷惑をかけてしまうのを気遣う必要があまりないのが天国のようです。

最近は民間のジムでトレーニング指導をする機会が増え、スーパーセットをプログラムに入れづらい経験をしているから、なおさら、そう感じます。