これまでバドミントンやフェンシングといった、片側性スポーツ競技のトレーニング指導を担当する機会が多くありました。
これらの競技では、一方の腕でラケットや剣といった道具を持ち、前脚と後脚もほぼ固定されたまま競技を実施します。
そのため、長年競技を続けていると、筋力に左右差が出てきます。
筋力だけでなく腕や脚の太さが左右で明らかに異なるケースも多く、私はアスリートの身体つきを見るだけで右利きか左利きかを当てられる自信があるほどです。
筋力に左右差が出やすい競技のアスリートに対してウエイトトレーニングを指導する時に、どのような考え方を持ってアプローチしていけば良いのかについて書いてみます。
左右差へのアプローチ
アプローチとしては、大きく分けて3つの考え方があります。
- ①左右差をなくそう!
- ②強い側をさらに強く!
- ③あまり気にせず左右を同じように鍛える(ニュートラル派)
それぞれのアプローチについて詳しく解説します。
①左右差をなくそう!
理学療法士やアスレチックトレーナー等のメディカル系バックグラウンドを持っている方に多いと感じますが(私見です)、左右差があるとケガにつながるから、ウエイトトレーニングで弱い側を優先的に強化して左右差をなくそうという考え方があります。
具体的なアプローチとしては、片腕または片脚のエクササイズを実施する時に、弱い側のトレーニング量(例:セット数)を増やしたり、扱う重量を弱い側に合わせたり(例:利き腕は20KG挙げられるけど、非利き腕は15KGしか挙げられないから、利き腕も15KGでトレーニングする)といったものです。
また、「左右差を一切なくして完全なる左右対称を目指すのがケガ予防には重要だ!」という極端な考えの持ち主の場合、弱い側だけトレーニングをして強い側は一切やらない、という戦略を取ることがあるかもしれません。
②強い側をさらに強く!
競技を長年やって筋力に左右差が出るということは、競技中に使う側、つまり競技で必要な側が適応した結果なんだから、ウエイトトレーニングにおいてもそちら側を積極的に鍛えて、さらに強化していくのが競技力向上につながる、という考え方もあります。
具体的なアプローチとしては、片腕または片脚のエクササイズを実施する時に、強い側のトレーニング量(例:セット数)を増やしたり、扱う重量を左右で変えたり(例:利き腕は20KGでトレーニングして、非利き腕は15KGでトレーニングする)といったものです。
また、強い側、つまり競技で使う側だけをトレーニングして、競技であまり使われない弱い側は一切トレーニングしないという極端なアプローチも考えられます。
③あまり気にせず左右を同じように鍛える(ニュートラル派)
片側性スポーツをやっているかぎり、筋力に多少の左右差があるのは自然であると受け入れて、左右差を完全になくして対称を目指すことはせず、かといって競技によって発生している左右差をウエイトトレーニングで助長することも避ける、という考え方があります。
私は個人的にこの考え方です。
具体的なアプローチとしては、トレーニング量(例:セット数)や扱う重量を左右で同じにするということです。
ただし、ここで注意が必要なのは、そもそも筋力に左右差がある場合、左右で同じ重量を挙げようとしたら、こなせるレップ数が左右で変わってしまうという点です。
だからといって、扱う重量を弱い側に合わせてしまうと①のアプローチと変わらなくなってしまうし、それだと強い側に対するトレーニング刺激が不十分です。
じゃあどうすればいいのか、については過去のブログで説明しているので、そちらをお読みください。
簡単に言うと「弱い側はセット中に小休止を挟んでもいいから、トータルのレップ数を強い側に合わせる」という解決策です。
» 参考:片脚または片腕エクササイズ(片側性エクササイズ)で、左右どちらからセットを実施するか?
参考までに、同じような考え方を説明しているブログです↓
参考 Tip: Train Your Strong Side FirstT Nation
まとめ
①のアプローチに固執すると、左右差を気にするあまり、いつまでたっても筋力強化ができないという失敗につながります。
そもそも「どの程度の左右差があるとケガのリスクが高まるのか」が明確ではない状況で完全な左右対称を目指すのはナンセンスです。
かといって、競技によって発生した左右差をトレーニングで助長することになる②のアプローチにも賛成しかねます。
となると、一番バランスが取れていて現実的なアプローチは③ということになるのではないでしょうか?
片側性スポーツのトレーニング指導をしてきた私の経験としては
- 多少の左右差があるのは自然であると受け入れて、完全に左右差を無くすことを目指さない
- その左右差をウエイトトレーニングで助長しない
の2点を基本戦略として心に留めておくと、プログラムデザインをする時に役に立つのではないかと思います。
参考にしてみてください。
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【編集後記】
先日、税理士さんの個別コンサルティングを受けてきました。
来年度からフリーランスとして活動するにあたって必要になる手続きについてと、フリーランスとして活動するうえでの心構え等についてアドバイスを頂きました。
フリーランスとしてのサービスメニューの1つとして私も「個別コンサルティング」を提供しようと考えているので、その点でも参考になりました。