「いろんな考えがあるから」
こういう発言をする人に対して、どのようなイメージを持たれますか?
考え方の異なる他者を認めて、多様性を受け入れてくれる、器が大きい人だという印象を持たれる読者もいるかもしれません。
ただ、私はそのような発言に対して違和感があるんですよね。
そういう発言をする人は、器が大きいんじゃなくて、ただ無責任なだけだと思うんです。
この点について、今日は掘り下げて解説します。
専門分野について議論をしているときに「いろんな考えがあるから」って言っちゃう人は、器が大きいんじゃなくて無責任なだけ
好きな食べ物とか好きな音楽とか好きな芸能人等の、個人の好みとか考え方についてお話しているのであれば、「いろんな考えがあるから」で全然OKです。
そういうことについては、私だって「人それぞれだからね」と思います。
私はきのこの山が好きですが、たけのこの里が好きな人たちに対して、「あいつらはダメだ、なにもわかっちゃいない!」なんて言いませんから。
しかし、専門分野についての議論をしているときに「いろんな考えがあるから」って言われると、ガッカリしちゃうんですよね。
議論をする気が失せます。
なぜなら、専門分野について議論をするときは、特定のトピックについて何がベストなのかを論理的に突き詰めて考えることが重要だからです。
「こっちのやり方がこういう理由でベターだ!」「いや、そのやり方だとこういうリスクがあるから、あっちのやり方のほうが安全だ!」みたいなイメージです。
そのトピックについて、突き詰めて考えていって、より良い答えを模索する。
議論ってそういうもんだと私は考えています。
もちろん、議論をするときには、必ずしもお互いに納得できるベストな答えにたどり着くとは限りません。
しかし、そこを目指して論理的に議論をたたかわせるプロセスが重要で、それこそが議論をする理由だとも言えます。
そのプロセスにおいて、自分の考えがより洗練されたり、自分の考えをよりわかりやすく説明できるようになったり、場合によっては自分の間違いに気づいて考えを改めたりするわけです。
それが自分の成長に繋がるものだと私は信じています。
それなのに「いろんな考えがあるから」なんて言われたら、「あ、この人は議論をたたかわせてお互いを高め合おうって気がないんだな」と思って、議論をする気が失せます。
それぞれの考えをただ述べるだけで、それをたたかわせないのであれば、そもそも議論にすらならないのですから。
考えが異なることがダメなわけではないけど・・・
べつに、自分とは異なる考え方を持っていることがダメだと言っているわけではありません。
世の中のすべての専門家が私とまったく同じ考えを持っていたら気持ち悪いし、面白くもありません。
また、世の中のすべての専門家が、私とまったく同じ考えを持ってもらうことを目指して、議論をしているわけでもありません。
とはいえ、異なる考えをもつ他の専門家と議論をするのであれば、「いろんな考えがあるから」で済ませるのはもったいないし、それを前提とする議論は不毛です。
どうせ議論をするのであれば、なぜ考えが違うのか、どちらのほうがよりよい考えなのか、あるいはお互いのよい部分を取り入れあってより良い考えを生み出すことはできないか、を突き詰めることが大切です。
そのような姿勢をもたずに「いろんな考え方があるから」って言っちゃう人は、器が大きいわけではなく、専門家としてただ無責任なだけです。
また、議論をするしないとは別のこととして、専門家としてベストな方法や考え方を模索する努力をし続けることは絶対に必要です。
トレーニング指導をする専門家が、「いろいろな考え方(やり方)があるから」なんて姿勢でアスリートに向き合うなんて無責任です。
少なくとも、現時点で手に入る科学的知見や専門家としての経験、そして目の前のアスリートの状態・状況等を踏まえて考えると「これがベストだ!」と自信をもって言えるようなトレーニングを提供することが責任のある姿勢だと思います。
私が競技力向上を真剣に目指しているアスリートの立場だったら、「いろんなやり方があるからね〜」なんて言っている人から指導を受けたくありません。
そのような姿勢で自分の専門分野に向き合っていれば、そして、最低限の脳力があれば、だいたい同じような考えにたどり着くはずです。
情報を手に入れることが難しかった20年、30年前ならまだしも、世界中どこにいてもさまざまな情報を得ることが容易になった現在においては、なおさらです。
それを理解できずに、同じような考えにたどり着いて共感をしている人たちを称して「あいつらは〇〇一派だから」「〇〇信者だから」みたいに影で馬鹿にしている人たちが一部います。
そういう可愛そうな人たちは、ベストのやり方を模索する姿勢がない無責任な人たちであるか、それが理解できる頭が足りないかのどちらかなのでしょう。
まとめ
このような記事を書くと「河森は頭が固い」と思われるかもしれません。
ただ、私はそうは思いません。
私はきのこの山が好きですが、たけのこの里が好きな人を受け入れるだけの柔軟性は持ち合わせています。
頭が固いのではなくて、自分の専門に対して責任感があるだけです。
「いろんな考えがあるから」と言っちゃう専門家を信じるのであれば、どうぞ、そういう方を頼ってください。
専門分野については「これが現時点で考えられるベストなやり方だ!」と自信をもって言えるだけの信念を持っている責任感のある専門家をお求めの方は、どうぞ私の発信をフォローしてください。
そして、私のサービスをご利用ください。
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【編集後記】
以前に本ブログでも紹介したBOSE社の「SoundSport Pulse wireless headphones」というワイヤレスイヤホンをずっと愛用していたのですが、ゴム部分がところどころ壊れてきて買い替えをしようと考えていました。
AppleのAirPods Proの評判がよく、ちょっと気になったのですが、見た目が私の好みではなく、どうしようか迷っていました(あくまでも私の好みではないというだけで、AirPods Proを使っている方を批判する気は一切ありません、私、器が大きいので)。
そんなタイミングで、BOSE社がノイズキャンセリング機能付きの完全ワイヤレスイヤホンを発売すると知り、思わずポチッと購入ボタンを押してしまいました。
10日ほど使っていますが、かなり良いです。
地下鉄移動中など、換気のため窓が開いているため、かなりうるさいのですが、ノイズキャンセリング機能をONにすると、かなり静かになります。