#690 筋トレ経験者のアスリートが初めて私のもとに来た時のトレーニングの進め方

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Sergio pedemonte pE5oWO uDI unsplash

 

そろそろシーズンが終了し、オフシーズンに突入する夏季スポーツが増えてくる時期です。

来シーズンに向けてオフシーズン中に身体を鍛えなおそうと意気込んで、S&Cコーチやパーソナルトレーナー等と契約してトレーニングを始めるアスリートも出てくるでしょう。

そこで、トレーニング指導をする側の視点で、新たなクライアントとトレーニング指導契約をした後に、私がどのようにトレーニングを進めているかをシェアしたいと思います。

 

 

アスリートが初めて私のもとに来た時のトレーニングの進め方

アスリートと契約をして、筋トレ(=ウエイトトレーニング)の指導を開始する時、みなさんはどのようにトレーニングを進めていますか?

そういうケースにおいて、目の前のアスリートは2つのカテゴリーに分類できるでしょう:

  • ①ウエイトトレーニング未経験者
  • ②ウエイトトレーニング経験者

 

①ウエイトトレーニング未経験者

私が①のタイプのアスリートにトレーニング指導を開始する場合、最初に指導するエクササイズはだいたい決まっています。

未経験者であっても実施できるような、難度が低いエクササイズです(難度は低いけど、ラクなわけではありません)。

そして、それらのエクササイズを実施して、必要な部位に筋力や柔軟性がついてきたら、次に導入するエクササイズもある程度決まっています。

一言でいうと、難度が少しだけアップするようなエクササイズです。

そして、そのエクササイズを実施して、筋力や柔軟性がさらについてきたら、難度がさらに高いエクササイズを導入する。

そのようなサイクルを繰り返すことで、徐々にエクササイズの難度を上げていったり、実施可能なエクササイズの数を増やしていったり、というのがウエイトトレーニング未経験者に対するトレーニングの進め方です。

 

つまり、ウエイトトレーニング未経験者を初めて指導するときには、イメージとして「A→B→C→D」という形でトレーニングを進めていくprogressionの仕方が、私の中では確立されているのです。

もちろんアスリートの上達具合や特徴に応じて、このprogressionに変更を加えることもありますし、次の段階に進んでいくスピードに個人差があったりもしますが、全体的な流れはある程度同じです。

 

 

②ウエイトトレーニング経験者

私の中で、①のタイプのウエイトトレーニング未経験者に対するトレーニングの進め方は確立されていました。

しかし、②のタイプのウエイトトレーニング経験者が初めて私のもとに来たときに、どこから始めてどのように進めていけばいいかで悩んでいました。

具体的な悩みとしては:

  • 「経験者だから未経験者と同じエクササイズから始めるわけにはいかないかな」
  • 「じゃあ、どの難易度のエクササイズから始めようかな」
  • 「たしかに経験者だけど、私が教えるフォームとは異なるフォームで今までやってきて、変な癖がついていることが多いな」
  • 「こちらの教えるフォームでエクササイズをやってもらうだけの柔軟性や筋力がないな、どうしよう」

といったものがありました。

 

そして、いろいろと解決策を模索しました。

たとえば、目の前のアスリートのウエイトトレーニング経験値が、私が用いる「A→B→C→D」というprogressionのうち、どの段階にあたるものなのかを調べるために、何かしらのスクリーニングテストみたいのを最初にやったほうがいいのかな〜とか。

結局、そんなスクリーニングテストなんてあるわけがないという結論に至りました。

 

そのような模索をした結果、今のやり方としては、ウエイトトレーニング経験者であっても、未経験者と同じところから始めて、未経験者と同じように「A→B→C→D」とprogressionしてもらう、というものに落ち着いています。

最初のうちは、「経験者に対して、未経験者と同じようにイチから始めるのは効率が悪いのではないか?無駄に時間がかかりすぎてしまうのではないか?すでにできているところは、すっ飛ばして次の段階に進んだほうがいいのではないか?」という不安がありました。

しかし、結局のところ、目の前のアスリートがどのくらい「できる」のかを調べようとしたら、未経験者と同じように「A→B→C→D」とprogressionしてもらい、何ができて何ができないのかをチェックするのが手っ取り早いと気づきました。

一見遠回りに見えるかもしれませんが、実際にはそれが一番の近道であり、効率的なトレーニングの進め方であると今では思っています。

 

もし、それまでのウエイトトレーニング経験がしっかりとしたもので、私がアスリートにとって重要だと考える部位の筋力や柔軟性がすでに備わっているのであれば、「A→B→C→D」というprogressionをあっという間に進めることができます。

「Aやってみよう、あ、できる。次にBやってみよう、あ、できる・・・」という感じで、未経験者が数ヶ月かけて進むようなprogressionを、数回のセッションのうちに進んでしまうはずなので、それほど大きな時間のロスには繋がりません。

 

また、アスリートのそれまでのウエイトトレーニング経験が自己流のものであったり、あまり適切なものではなかったりする場合には、たとえ経験者であっても、AやBという初期段階のprogressionでつまづいてしまう場合もあります。

そのようなケースにおいては、「経験者だから」と無理に難度の高い内容をやってもらうよりも、AやBという初期段階に時間をかけたほうが、長期的に見ると結果として近道であることが多いです。

 

 

まとめ

アスリートと契約をしてトレーニング指導を開始するときは、過去のウエイトトレーニング経験によらず、すべてのアスリートに難度の低いエクササイズから始めてもらい、私の中で確立されている「A→B→C→D」のprogressionを進んでもらうというのが今の私のやり方です。

そうすることで、目の前のアスリートが何ができて何ができないかを漏らすことなく把握することができるし、アスリートにとって必要だと私が考える筋力や柔軟性を漏らすことなく鍛えることもできます。

もし、過去のトレーニングが適切なもので、私が要求する筋力や柔軟性をすでに備えているのであれば、「A→B→C→D」のprogressionはあっという間に通過してしまうし、そうでなければ初期の段階で必要なだけ時間をかければいいので、あらゆるパターンに対応できます。

参考にしていただければ。

 

 

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【編集後記】

ラグビーW杯盛り上がっていますね。

日本以外の試合もテレビで放送しているので結構見ていますが、熱い試合が多くておもしろいです。

ラグビーのルールはわかりづらいですが、私は高校の時に体育の授業でラグビーをやったので、ルールの9割くらいはわかります。

体育の授業でラグビーをやる学校は少ないと思いますが、今となっては感謝ですね。