前回のブログで、リニアポジショントランスデューサー(LPT)を使用してレジスタンストレーニングエクササイズ中の発揮パワーを計測する方法についてお話をしました。
内容は主に以下の2つ:
- パワーの種類
- LPTによるパワー測定のlimination
これに加えて、LPTを利用した長期的な筋パワーのモニタリングについても補足したいと思います。
LPTを利用したモニタリング
偶然タイムリーにもこちらのブログ(英語)でLPTを使用した筋パワーのモニタリングについて議論されています。
このブログ中でオーストラリアのS&CコーチのDan Baker氏は、ジャンプスクワット中に「バーベルに対して発揮されたパワー」をLPTを使用して計測・モニタリングしていると述べています。
理論的には、ジャンプスクワット中はリフターの重心も大きく移動するので、「バーベル+リフターのシステムに対して発揮されたパワー」を測定したいところですが、前回のブログでも説明したように、LPTのみでこのパワーを測定することは原理的に不可能なのでオススメしません。
これに加えて、Dan Baker氏は「バーベル+リフターのシステムに対して発揮されたパワー」をモニタリングする場合は体重の増減がパワー値に大きな影響を与えるので、筋パワーが向上したのか単純に体重が増えただけなのかの判断が難しいと述べています。
また、Dan BakerはラグビーリーグのプロチームのS&Cコーチなので、敵のプレーヤーに対して発揮するパワー(つまり外部の物体に対して発揮されたパワー)が重要な種目という事もあり、ある意味割りきって「バーベルに対して発揮されたパワー」をモニタリングしているようです。
理論的な事を言うと、「バーベル+リフターのシステムに対して発揮されたパワー」をモニタリングするほうがジャンプスクワットという動作を考えると望ましく、そのためにはフォースプレートを用いて床反力を測定し、そこからパワーを計算する方法が原理的に考えても適切でオススメできます。
また、体重がパワー発揮に与える影響についても、もし外的な物体(例:敵のプレーヤー)に対してパワーを発揮するのが重要なのであれば、体重の影響に関係なく絶対的なパワー値が向上すればパフォーマンス上は有利になるから体重の増減の影響は気にしないという選択肢もアリです。
また、体重当たりのパワー発揮が重要な種目であれば、パワーの値を体重で割る等の処理をする事で体重の増減を考慮に入れて筋パワーのモニタリングをする事も可能です。
このような事を考慮に入れた上で、フォースプレートなんか使えないからLPT使って「バーベルに対して発揮されたパワー」をモニタリングするぜって感じでDan Bakerのように割り切った選択をするのは現場コーチの場合アリだと思います。
ただし、あくまでもすべての原理やlimitationを理解して把握した上での決断というのが前提ですが。
まとめ
前回に続き、LPTを用いたパワー測定についてお話をしました。
結局言いたいのは、いろいろ理解した上で自分の状況に合わせてパワー測定方法を選択するのが重要という事です。
やっていることは同じでも、原理やlimitation等を理解した上で実施しているのと、わけもわからず実施しているのとでは大きな違いがあると個人的には思います。
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