とくにSNSで宣伝をしたわけでもないのに、以下のブログ記事のアクセス数がここ数日で伸びています:
【アスリート向け】ウエイトトレーニング中にベルトを使うべきか?
なんでだろう~?と不思議でしたが、どうやら筋トレYouTuberとして有名なSho Fitnessさんの動画でリンクを紹介していただいたのが原因のようです。
※説明欄でリンクが紹介されています
上記の私のブログ記事の主旨は、「アスリートの競技力向上のためにウエイトトレーニングをやるなら、ベルトは使わないほうがいいですよ」という内容です。
一方で、Sho Fitnessさんの動画では、「筋トレ初心者もベルトを使いましょう!」と主張されています。
一見すると、Sho Fitnessさんの主張とは正反対の主張を展開している私のブログ記事を紹介しているのは、意味がわからない・腑に落ちないと思われるかもしれません。
ご自身の主張をサポートするようなブログ記事を紹介するならまだしも、なぜ真逆の主張をしているブログ記事を紹介しているのか・・・。
私も一瞬「?」となりました。
しかし、動画でのSho Fitnessさんの説明を聞けば、納得できました。
「あ〜、この方は“わかっている“方だ」と。
※「なんだ河森、ずいぶん上から目線だな」と思われたら申し訳ありません。そんなつもりはありません。
ようするに、目的が異なれば、最適な手段は異なりますよ、ということです。
「目的と手段」の区別がしっかりついていれば、すんなりと理解できるお話です。
しかし、そこが整理されずにゴチャゴチャになっていると、Sho Fitnessさんが私のブログ記事のリンクを張った意味は理解できないでしょう。
また、ベルトに関する話題だけでなく、トレーニングに関するあらゆる話題で、「目的と手段」をしっかりと把握できていないと、間違った理解・選択をしてしまうリスクが高まります。
そこで、今日は改めて、トレーニングにおける「目的と手段」について考えてみます。
※以下のブログ記事も参考になるのでオススメです。
参考 手段であって目的じゃないGS Performanceブログ
目的と手段から考えるベルトの必要性
動画では、Sho Fitnessさんはパワーリフターや筋肥大を目的にしているトレーニーを対象に、ベルトを始めとするトレーニングギアのお話をされています。
つまり、
- パワーリフティング競技でスクワットやデッドリフトをより安全に・より重い重量でやること
- 筋肥大を達成するための刺激を身体に与えること
といった「目的」を達成するためには、ベルトを使うという「手段」が適しているという主張を展開されているのです。
その一方で、「スポーツの補強の場合」つまりアスリートが競技力向上に結びつける「目的」でウエイトトレーニングに取り組む場合は、ベルトを使わないか、使ってもメインセットのみに限定しておくことが、最適な「手段」であるとも述べられています。
ただし、「スポーツの補強の場合」は動画のメインテーマからは外れるので、私のブログ記事やAthleteBody.jpさんのブログ記事を紹介して、「『スポーツの補強の場合』にベルトを使用すべきかの議論については、そちらの記事を参考にしてください」ということにしたんだろうと思います。
つまり、Sho Fitnessさんは「絶対にベルトを使いましょう!」とおっしゃっているわけではなく、「目的によっては使わないという選択肢もアリですよ!」というバランスの取れた考えを持たれているのです。
そのうえで、動画のメインの対象であるパワーリフターや筋肥大を目的にしているトレーニーに対しては、初心者からベルトを使ったほうがよいと主張されているわけです。
「いや〜、わかっているな〜」なんて勝手にニヤリとしながら動画を視聴させていただきました。
トレーニングにおける目的と手段の誤解
ベルトの例だけでなく、目的と手段の違いが整理されていないため、議論がかみ合わなかったり、誤解を生じたりという場面が多々あります。
誤解が生じる一番の原因は、さまざまな異なる「目的」を持っている人たちが、トレーニング、とくに「ウエイトトレーニング」という共通の活動を「手段」として実施していることだと私は考えています。
たとえば、スクワット。
競技力向上を目指すアスリートも、ボディビルダーやフィジーク選手等の筋肥大を目指すトレーニーも、パワーリフターも、ウエイトリフターも、みんなスクワットをします。
みんな、「バーベルを担いで、しゃがんで立ち上がる(=スクワット)」という共通の活動を「手段」として使っていますが、スクワットをする「目的」は大きく異なります:
- アスリート:競技力向上に必要な体力を向上するため
- 筋肥大を目指すトレーニー:筋肉を太くするための刺激を身体に与えるため
- パワーリフター:競技のルールの範囲内で、できるだけ高重量をスクワットで挙げるため
- ウエイトリフター:スナッチとクリーン&ジャークで、できるだけ高重量を挙げるための補強として
目的が異なれば、それを達成するための最適な手段は変わります。
たとえば、パワーリフターはルールで必要とされる以上の深さまでスクワットでしゃがむ必要はありません。
むしろ、必要以上に深くしゃがんでしまうと、挙上重量が下がってしまい、競技成績が落ちてしまいます。
一方、ウエイトリフターが、スナッチやクリーンでバーベルをキャッチした姿勢から立ち上がるための脚筋力を鍛える目的でスクワットをやっている場合、キャッチ姿勢の深さがパラレルよりも深いのであれば、スクワットにおいても深くしゃがむ必要があるかもしれません。
また、アスリートが競技力向上を目指してスクワットをする場合、まずはスクワットで何を得たいのかを決めて(例:体幹部の剛性を高めた状態での股関節伸展筋力)、それを達成するためにベストなフォームでやるのが大切です。
そのようなスクワットのフォームは、ただ高重量を挙げるために効率的なフォームとは異なります。
さらに、筋肥大の目的でスクワットをやる場合は、できるだけ反動を使わず、筋肉に効かせるようなフォームでやるのが最適でしょう。
ときどき、最適なスクワットのやり方に関する議論をネット上で目にしますが、スクワットをやる「目的」が異なる人どうしが議論をしていて、お互いの「目的」の違いを把握していないがために、議論が噛み合わず平行線のまま終わっていることが往々にしてあります。
同じ「目的」でスクワットをやっている人どうしが議論をするのであれば、議論も噛み合って意味のあるものになるはずなのにな〜と残念に思うことも多いです。
議論が平行に終わるだけなら、まだいいほうです。
最悪なのが、たとえばアスリートの競技力向上のためにスクワットをやらせている指導者が、その「目的」をしっかりと理解していないがために、できるだけ重い重量を持ち上げるのに最適なフォームでやらせてしまっているようなパターンです。
さらに最悪なのが、できるだけ重い重量を挙げさせることが何よりも優先されてしまい、結果として可動域が狭くなったり、腰を丸めて安全ではないフォームでスクワットをやらせてしまっているパターンです。
トレーニングの「目的」をとことん突き詰めて考えておいて、そこから脱線しないように最適な「手段」を選べば、そのような不幸な事例は減らせるはずです。
まとめ
Sho Fitnessさんの動画で私のブログ記事へのリンクをご紹介いただいた件をきっかけに、トレーニングの目的と手段について考えてみました。
トレーニングの細かいテクニックについて調べたり考えたりするのも大切ですが、そもそもトレーニングの方向性(=目的)が間違っていると、そういった努力が無駄になってしまいます。
まずは、トレーニングの「目的」をしっかりと考えておいて、それを達成するための「手段」として最適なものは何なのかを突き詰めていっていただければ。
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