年始に下記のツイートを目にしました。
「完全に休む」のもトレーニング刺激の一つだと考えてみよう。
— Yoshinori Yamamoto (@claymoreberserk)
私なりに勝手に解釈をして:
- 年末年始くらいトレーニングを休んだって大丈夫だよ!
- むしろ、たまに休んだら逆にイイこともあるよ!
というメッセージだと受け取りました。
私としては「そのとおり!」とスタンディングオベーションをしたいくらい大賛成の考え方です。
トレーニングを「完全に休む」ことに罪悪感がある人
トレーニングを「完全に休む」ことに罪悪感を持っていたり、怖がっていたりする人がいます。
「ちょっとでも休んだら、一気に体力が低下したり筋肉が小さくなったりして、それを取り戻すことはできない!」みたいな強迫観念でも持っているかのように。
たとえば、仕事の都合で、1月3日にゴールドジムに行ったのですが、ガシガシとトレーニングをしている人たちで大盛況でした。
正月からジムで筋トレをしている人がたくさんいることに驚き、「正月くらい、ゆっくり休めばいいのに・・・」なんて思ったものです。
しかし、ゴールドジムの会員さんの場合、トレーニングが好きでたまらない・年末年始も休まずトレーニングしたい、というトレーニング愛好家の方が多いのかもしれません。
そういう方にとっては、トレーニングは手段ではなく目的となっているので、私から「たまには休みましょう!」なんて言うつもりはありません。
罪悪感があるからトレーニングを休むことができないのではなく、トレーニングが好きでたまらないから休まないだけなので。
むしろ、正月に休まずやるほど好きで熱中できるものに出会えているのが羨ましいくらいです。
一方で、あくまでも競技力向上という目的を達成するための手段の一つとしてトレーニングをしているアスリートの場合は事情が異なります。
真面目なタイプに多い印象ですが、適度に休んだり抜いたりすることが苦手で、トレーニングをやりすぎてしまう傾向のあるアスリートがいます。
そんなアスリートには冒頭のツイートを紹介したいです。
そして、「たまに休むぶんには大丈夫だよ!」と伝えたいです。
たまにはトレーニングを完全に休んでもいい理由
アスリートがたまにトレーニングを完全に休んでも大丈夫だよ!と私が言う時に、根拠にしている研究があります。
こちらの研究の内容については、過去にブログでまとめているので、そちらをご覧ください。
#174 【論文レビュー】ちょっとトレーニング中断しても、長期的な筋力アップにはそれほど影響しない?
研究の結論を簡単にまとめると:
- トレーニングを中断するとその間は筋力が落ちるけど、また再開したら筋力向上しますよ
- トレーニングを中断せずに継続するとだんだん筋力向上率が鈍っていくけど、トレーニング中断後に再開した場合は筋力向上率がまた鋭くなるから、長期的に見ると筋力向上率で差はないですよ
ということです。
具体的な数字を挙げると、3週間トレーニングを完全に休んでも、その後トレーニングを再開すれば、6週間で遅れを取り戻せますよ、といった感じです。
この研究に参加した被験者はトレーニング初級者で筋力も低いので、トレーニング上級者や筋力が強い人の場合は、3週間とか6週間という数字がそのまま当てはまる可能性は低いです。
それでも
- トレーニングを継続していると身体がその刺激に慣れてしまい、筋力向上率が鈍ってしまう
- しばらくトレーニングを完全に休むと、トレーニングに対する身体の慣れが一度リセットされる
- トレーニングを再開したら筋力向上率がふたたび鋭くなり、しばらく継続すれば遅れを十分取り戻せる
というコンセプト自体は当てはまるはずです。
このような科学的知見を知っているので、年末年始くらい罪悪感を感じずに思い切ってトレーニングを完全に休んでも大丈夫だよ!と自信を持って伝えたいのです。
年末年始だけに限らず、たとえば長いシーズンが終わってオフに入ったら、すぐに次のシーズンに向けてトレーニングを始めるのではなく、2週間程度は完全に休んで身体をリセットしてもいいと思います。
トレーニングを完全に休まないほうがいい場合
年末年始やシーズン終了直後といったタイミングで、トレーニングを完全に休んでも大丈夫だよ!とお伝えしましたが、注意が必要です。
それは、スケジュール的に重要な試合等が迫っている場合には、トレーニングを完全に休まないほうがいい、ということです。
長期的に見ると、トレーニングを完全に休んでも十分遅れを取り戻せます。
でも、短期的に見ると、トレーニングを完全に休むと体力が低下してしまうことは避けられません。
そして、体力が低下しているタイミングで重要な試合を迎えてしまうと、良いコンディションで最高のパフォーマンスを発揮することが難しくなってしまいます。
たとえば、1月中に重要な試合が予定されているのであれば、年末年始であってもトレーニングを「完全に休む」ことはオススメできません。
試合に向けてのピーキングとして、徐々にトレーニング負荷を減らす(=テーパリング)のであればいいです。
でも、「完全に休む」のは危険です。避けたほうがいいでしょう。
逆に、年を明けてもしばらく重要な試合等がないのであれば、年末年始くらいトレーニングを完全に休んで、身体をリセットしつつ、プライベートを楽しまれるのがいいでしょう。
まとめ
基本的には、トレーニング効果を出すためには、継続して取り組むことが大切です。
今回のブログの趣旨は、しょっちゅうトレーニングを休んでも効果が出ますよ、ということではありません。
しかし、継続してトレーニングを実施しているアスリートの場合は、重要な試合等が迫っていない時期に、たまに完全に休んでも大丈夫です。
むしろ、長期的に見るとメリットがある可能性もあります。
参考にしていただければ。
※ちなみに、1月中に試合がある場合に、年末年始にどのようにトレーニング負荷を減らしてピーキングを達成すればよいかについて興味のある方は、拙著「ピーキングのためのテーパリング −狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するために−」をお読みください。
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
今日もまた元旦に寝違えてからずーっと痛めていた首の治療で「まと治療院」にお邪魔しました。だいぶ痛みや張りもとれて、そろそろ本格的なトレーニングを再開できそうです。しばらくトレーニングをできていなかったので、トレーニングに対する私の身体の反応はリセットされているはずです。がんばって遅れを取り戻します!