私はアスリートのトレーニング指導の専門家です。
専門家として、アスリート向けトレーニングに関する怪しい情報を見かけると、「なんでやねん!」とツッコみたくなります。
心の中でツッコむだけでは足りず、Twitterやブログで反論を書くこともあります。
そんな反論をする時に私が意識していることを紹介します。
反論を書く時に意識していること
①個人攻撃にならないように
発信者を個人攻撃するのではなく、あくまでも考え方や意見に対して反論をするよう心がけています。
しかし、私が「これは個人攻撃ではなく、正当な批判だ!」と訴えたところで、相手からしたら「自分という人間を否定された」と感じるかもしれません。
それはある程度しょうがないと思いますし、私としても「相手の受け取り方が間違っている」なんて言って逃げるつもりはありません。
相手がそう感じたら、その感情自体はリアルなので。
ただ、私の側のスタンスとして、あくまでも個人攻撃にならないように気をつけることは必要だと考えています。
②対象は元の情報を発信した人ではなく、それを目にしたであろう不特定多数のアスリートや競技コーチ
たとえばネット上で見かけた意見に対して、反論を私のブログ上で書くとします。
元の意見の発信者やその信奉者からすると、「文句あるなら、本人に直接反論すればいいだろ」と思われるかもしれません。
しかし、私が反論を書く時は、元の情報の発信者に向けて書いているわけではありません。
その人と議論をして、その人の考え方を正してやろうなんて一切思っていないのです。
たぶんそんなこと無理だし、私がやる必要があるとも思えないし、おこがましいです。
じゃあなぜ反論を書くのかというと、怪しい情報を目にしてそれを信じてしまうアスリートや競技コーチが増えるのを防ぐためです。
つまり、怪しい情報が発信されて、それを目にしてしまったアスリートや競技コーチに向けて情報発信しているということです。
反論の対象は元の情報の発信者ではないのです。
仮に、私が元の情報の発信者と直接議論をして、その人が考え方を改めたとしても、すでに発信されてしまった怪しい情報を目にしたアスリートや競技コーチが多数いる事実は変わりません。
反論を書くことで私が達成したいのは、元の怪しい情報を目にした人に対して「それはおかしいですよ、信じないほうがいいですよ、こっちの考え方のほうが正しいですよ」と伝えることです。
伝えたところで、最初に目にした情報を信じ込んでしまった人には届かないかもしれませんが、届く人には届くはずです。
それでいいと思っています。
まとめ
怪しい情報が発信されているのを目にしても、放っておけばよいという考え方もあるでしょう。
いろいろな考え方があるんだから、「どっちが正しい」とか「どっちを選択すべき」とか議論するのは不毛だという意見もあるかもしれません。
たしかに、いろいろな選択肢があっていいと思いますが、スポーツ現場ではどのトレーニングをやるのか選択をしないといけません。
「選択をしない」という選択肢はないのです。
したがって「いろんな考え方があるんだからそれでいいじゃないか」というのはあまりにも無責任です。
であるならば、アスリートや競技コーチの選択肢を増やすためにも、怪しいと思う情報に対して反論をして、異なる選択肢を提供しておくことには意味があるはずです。
実際に、世の中に怪しい情報が氾濫し、それを信じ込んでしまったアスリートに対して「それは間違っているよ」と否定しないといけないケースをこれまでも経験してきましたが、かなり難しい作業であると感じています。
であるならば、そもそも怪しい情報を信じてしまうのを予防するために、異なる見解を提供しておくほうがはるかに効率が良いのではないでしょうか?
自分の命や健康が関わる医学の世界でも同じような問題があるとのツイートを目にして、トレーニングの世界にも当てはまるな〜と思い、今回のブログを書いてみました。
ニセ医学を信じる人への対処は本当に難しい。ニセ医学を単に否定しても、信じるものを否定された不信感で、逆にどんどん離れていきSNSの閉鎖的なコミュニティーに埋もれてしまいます。これは嘘ですという情報発信はニセ医学にハマることを予防するには有効ですが、すでにハマった人には効果ありません https://t.co/awdhLqhpiB
— 大須賀 覚 / Satoru Osuka (@SatoruO)
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【編集後記】
Amazonプライム会員特典で見られるドキュメンタリー番組「オール・オア・ナッシング~マンチェスター・シティの進化~ 」にハマっています。
欧州サッカーのビッグチームの裏側を見ることができて、チーム競技に裏方として関わる一人として、とても勉強になっています。