#824 実績のあるアスリートだからといって、トレーニングに精通しているわけではない

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先日、こんなツイートをしました:

「アスリートはトレーニングに精通しているわけではない」って当たり前のことだと思うんですが、必ずしもそのように認識されていない方が意外と多いようです。

そこで、改めて私なりの視点でこのテーマについてまとめてみることにします。

 

 

実績のあるアスリートだからといって、トレーニングに精通しているわけではない

ちょっと前に、元プロ野球選手の五十嵐選手がウエイトトレーニングについての哲学を語られている動画を見て、ツイッターで「私の考え方とは違う」という旨の発信をしました。

じゃあ、私の考えはどうなんだ?っていうのは、後日、ブログ記事として詳しく解説しました。

» 参考:ウエイトトレーニングは意識せずにやるべきか否か

 

この一連の発信に対して、こんな感じの反論をされている方々が一部いらっしゃいました:

  • あれだけの実績のあるトップアスリートなんだから、適切なトレーニングについてもしっかりと理解して実施していたはずだ
  • 正しいトレーニングなんて人それぞれであり、結果が出ていたんだから五十嵐選手にとっては適切なやり方でトレーニングしていたはず
  • あれだけの実績のある五十嵐選手のほうが、プロアスリートとして何の実績もないやつより信用できる

何の知識もない人が見たら、なんだかもっともらしいことを言っているように感じるかもしれません。

しかし、私からすると、「アスリートはトレーニングに精通しているわけではない」という当たり前のことが理解できていないから出てきてしまう、的はずれな発言にしか見えません。

 

「結果を出している」とか「実績がある」からといって、なぜそのアスリートがトレーニングに精通していることになるのでしょうか?

まったく理解できません。

実際、わけのわからないトレーニングをやっているにもかかわらず、結果を出している有名アスリートはたくさん存在します。

そういうアスリートは、他の部分でめちゃくちゃ優れているから、間違ったトレーニングをやってしまっていても、活躍できているわけです。

 

「でも、結果を出しているってことは、そのアスリートがやっているトレーニングは間違っていないってことなんじゃないの?」という反論が聞こえてきそうです。

そこはハッキリと否定しておきます。

アスリートが競技で結果を出しているという事実は、そのアスリートがやっているトレーニングが適切であることの証明にはなりません。

他のやり方でトレーニングをやったら、もっと活躍してもっと結果を出すかもしれないわけですから。

 

とはいえ、タイムマシンでも使って、同じアスリートが異なるタイプのトレーニングをやった場合にどのくらい活躍するかを比較するわけにもいきません。

あのトレーニングをやった世界とこのトレーニングをやった世界、みたいなパラレルワールドが存在していて、それを比較できるわけでもありません。

だから、競技成績や結果をもとに、そのアスリートがやっているトレーニングの良し悪しを判断すること自体が不可能なんです。

ましてや、「実績のあるアスリートだからトレーニングについて精通しているはずだ」なんて、まったくもって論理の飛躍でしかありません。

 

 

アスリートに伝えたいこと

「アスリートはトレーニングに精通しているわけではない」

これは客観的な事実です。

べつにアスリートをディスっているわけではありません。

アスリートは競技力向上のためのトレーニングについて専門的な教育を受けているわけではないので、当たり前のことです。

活躍しているアスリートは、トレーニングに精通しているから活躍しているのではなくて、その競技がうまいから活躍できているのです。

 

だから、とくに結果を出しているアスリートの皆さんには、「自分はトレーニングに精通していないといけない」みたいな変なプレッシャーは感じないでいただければと思います。

メディア等の取材を受けたり、周りのアスリートから質問されたりしても、「トレーニングについてはよくわからない」と正直に答えることは決して恥ではありません。

むしろ、わからないことにわからないと言えるほうが尊敬できます。

 

また、結果を出しているアスリートの周りの人たちにも、「アスリートはトレーニングに精通しているわけではない」ということをしっかりと理解してほしいです。

成功しているアスリートにその秘訣を教えてほしい、という気持ちはわからなくはないです。

しかし、競技力向上のためのトレーニングについて本当に知りたいのであれば、その専門家であるストレングス&コンディショニング(S&C)コーチを頼ってください。

 

とはいえ、アスリートはトレーニングについての知識は一切必要ない、というわけではありません。

トレーニング指導については、精通している専門家であるS&Cコーチを頼ってもらうのがベストですが、残念ながらS&Cコーチの能力もピンきりです。

無能なS&Cコーチを選んでトレーニング指導を依頼してしまうと、せっかくのお金と労力が無駄になってしまいます。

無駄になるだけならまだマシな方で、世の中には「そんなトレーニングさせたら、逆に競技力が低下しちゃうだろ!」と驚かされるようなことを指導してしまっているS&Cコーチも多々見受けられます。

 

したがって、「アスリートはトレーニングに精通しているわけではない」とはいえ、それなりに有能な専門家を選んでトレーニング指導を受けるためには、最低限の知識を身に付けておいたほうがいいです。

その辺りのお話については、すでにブログ記事としてまとめているので、そちらをお読みいただければ。

タイトルに「プロ野球選手」と入っていますが、内容自体はあらゆるアスリートに当てはまるものになっています。

» 参考:【アスリート向け】トレーニング迷子にならないためにプロ野球選手もトレーニングについて勉強しましょう

 

 

まとめ

「アスリートはトレーニングに精通しているわけではない」

改めてこの当たり前の事実について語ってみました。

私は専門家(S&Cコーチ)として、どんなに実績のあるアスリートよりも、競技力向上のためのトレーニングについては精通している自信があります。

オリンピック金メダリストであろうが、プロアスリートして年俸何億円も貰っていようが、関係ありません。負けません。

だからこそ、プロとして対価をいただき、トレーニング指導というサービスを提供できているという自負があります。

 

とはいえ、アスリートはトレーニングに精通しているわけではないからといって、アスリートは全員トレーニングに詳しくないのかといえば、そういうわけでもありません。

なかにはとても勉強されていてトレーニングに詳しいアスリートもいます。

実績のあるなしにかかわらず。

ただし、それはアスリートであるからではなく、ただ勉強しているからです。

アスリートであることが理由では決してありません。

トレーニングに精通しているかどうかとアスリートとして実績があるかどうかは、別次元の話なんだ、ということを多くの方に認識していただければ。

 

 

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【編集後記】

冷凍庫を買ったんですけど、かなり大活躍してくれています。

私が一人暮らしをしていたときに買った冷蔵庫をまだ使っているので、冷凍庫のスペースが小さかった、というのもあるのですが。

自宅兼ジムを建てることができたら、もっと大きな冷蔵庫に買い換えるつもりですが、それでも別に冷凍庫があったほうが便利そうだな、と感じています。