先日、こんなツイートをしました:
久しぶりに高校バスケ部にムーブメントトレーニング指導。楽しかった。
これやるとウエイトトレーニングがバスケの動きにどう繋がるかが理解しやすくなるので、ウエイトの取り組みにもポジティブな影響があるはず。
相乗効果がハンパない。
— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki)
ここでいう「ムーブメントトレーニング」とは、走る・曲がる・止まる等における身体の使い方を指導するトレーニングのことです。
詳しくは過去にもブログ記事で触れているので、読んでみてください。
最近、ムーブメントトレーニングを指導していなかった理由
もともと、この高校バスケ部には、ムーブメントトレーニングとウエイトトレーニングの両方を指導していました。
しかし、ここ最近はもっぱらウエイトトレーニングばかりを指導していて、ムーブメントトレーニングはしばらくやっていませんでした。
その理由は、ウエイトトレーニングを実施するときに、新型コロナウイルス感染予防対策のために同時にトレーニングをする1グループあたりの人数を制限する必要があり、結果としてグループ数が増えてしまい、その全てのグループを順番に指導しようとすると、ムーブメントトレーニングに割ける時間がなくなってしまったからです。
本当に「新型コロナウイルスのバカヤロー!」って叫びたい気分ですが、叫んだところで何も起きないので、できることをやるしかありません。
ムーブメントトレーニングとウエイトトレーニング、優先順位はどっちが上か?
今日のブログで突っ込んでお話したいのは、ムーブメントトレーニングとウエイトトレーニングの優先順位はどちらが上か、ということです。
新型コロナウイルスの影響下で、しばらくムーブメントトレーニングを指導しておらず、もっぱらウエイトトレーニングを指導している、というエピソードをシェアしました。
そこからもおわかりの通り、私が今指導している高校バスケ部に対しては、ウエイトトレーニングを優先している、ということになります。
ただ、実際のところ、どちらを優先するかは、究極的には場合によります。
指導対象のアスリート・チームの課題やトレーニング歴、年間スケジュールの時期、etcによって最適な答えは変わりえます。
それでも、9割以上のケースにおいては、私はウエイトトレーニングを優先すべきだと考えています。
なぜ、ムーブメントトレーニングよりもウエイトトレーニングを優先するのか?
それを理解していただくためには、まずはそれぞれの役割について明確にしておく必要があります。
- ムーブメントトレーニング:走る・曲がる・止まる等の「ムーブメントスキル」の向上
- ウエイトトレーニング:筋力や柔軟性等の「体力」の向上
ムーブメント“トレーニング”とは呼んでいるものの、その実態は「練習」であると私は捉えています。
私の新刊をお読みいただいた方はわかると思いますが、私は練習とトレーニングの違いを以下のように考えています:
- 練習:主目的が技術の向上
- トレーニング:主目的が体力の向上
つまり、ムーブメントスキルと呼んでいる「技術」を練習して向上するのがムーブメントトレーニングの役割ということです。
で、ムーブメントスキルという技術を向上するためには、その練習をする必要があります。
つまり、ムーブメントトレーニングをする必要があるということです。
しかし、練習でムーブメントスキルという技術を習得しようとしたときに、その動きをするのに必要な筋力や柔軟性が不足していると、どれだけ練習してもその技術を習得することは難しいという現実があります。
実際に、ムーブメントトレーニングを指導していて、「あ、このアスリートは筋力とか柔軟性が足りないから、どれだけ『身体をこう動かせ』と言ってもムリだな」と思うことがあります。
典型的なのが、大殿筋を中心とした「ケツ」やハムストリングの筋力・柔軟性の不足です。
そういうケースにおいては、まずはウエイトトレーニングを優先し、ルーマニアンデッドリフト(RDL)を実施してハムストリングを鍛えたり、リバースランジ・デッドリフト・スクワット等でケツを鍛えたりするほうが、解決策としては適切だったりします。
つまり、ムーブメントトレーニングを実施してムーブメントスキルを習得するための準備を整えるために、まずはウエイトトレーニングを実施して必要な部位の筋力や柔軟性を高めておいてあげることが重要なのです。
だから、多くの場合、優先順位としてはウエイトトレーニングのほうが上になります。
» 参考:ポケットの理論|GS Performanceブログ
まとめ
新型コロナ感染予防対策等の理由で、ウエイトトレーニングとムーブメントトレーニングを両方やるのが難しい場合、多くのケースにおいてはウエイトトレーニングを優先したほうがうまくいくと個人的には考えています。
とはいえ、できることなら、両方を同時進行で指導するのが理想です。
たとえ、まだ筋力や柔軟性が十分でなかったとしても、ムーブメントトレーニングをやることが無意味なわけではありません。
自分の現時点の体力レベルが許す範囲内で、健康的かつ効率のよい動きを習得することは十分可能です。
そのうえで、どうしてもできない動きがあれば、私のような指導者が指摘をしてあげて、ウエイトトレーニングで筋力や柔軟性を向上させる必要があることをうまく伝えることができれば、ウエイトトレーニングへの取り組みも積極的になるでしょう。
また、ムーブメントトレーニングをやってもらうと、ウエイトトレーニングがどのようにして競技の動きに繋がるのかを理解してもらいやすくなるので、それもまた、ウエイトトレーニングへの取り組み姿勢にポジティブな影響が期待できます。
冒頭で紹介したツイートでも述べたように、まさに「相乗効果がハンバない」のです。
どうしても時間が限られている場合は、ウエイトトレーニングを優先しつつ、たまにムーブメントトレーニングを取り入れてみると、アスリートの反応が良くなるかもしれません。
※ムーブメントトレーニングを体系的に学びたい方には、こちらのコースがオススメです。
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【編集後記】
Go Toトラベルを利用して、那須に家族旅行に行ってきました。
2週間ほど前から、1歳の娘が車のチャイルドシートに乗ることを急に嫌がり始め、めちゃくちゃ暴れまくって乗せられない状況が続いていたので、旅行もキャンセルせざるをえないかな〜と半分あきらめていたのですが、なんとか無事に行くことができました。
よい気分転換になりました。