私が提供しているトレーニング指導のプランで「遠隔指導」というものがあります。
遠距離にお住まいで、定期的に直接指導を受けていただくのが難しいアスリート向けのプランです。
「遠隔指導」プランでは、ご自身でウエイトトレーニングをやる時に、そのフォームを動画で撮影していただき、それに対して私が評価と修正点をフィードバックするサービスを提供しています。
この試みは、直接指導できる回数が限られている中で、できるだけ工夫して密なコーチングを提供したいという想いから実施しているものです。
私が専門家としてフィードバックを提供するというメリット以外にも、ご自身で動画をチェックしていただくという行為そのものに大きな意義があると最近は感じています。
これは、私自身がウエイトトレーニングをする時に自らを撮影してセット間にチェックしている経験からも感じることです。
自分を動画撮影してフォームをチェックする利点
①主観と客観のすり合わせをすることができる
ウエイトトレーニングのセット中は、自らの感覚を研ぎ澄まして、正しく動いているか、適切な筋群を使えているか、フォームが崩れていないか、可動域は十分か、スピードはコントロールできているか、etcを感じながら毎レップをこなすことが大切です。
私は、ウエイトトレーニング中は鏡をできるだけ見ない主義ですし(ウエイトトレーニング中に鏡を見るべきか見ないべきか?)、たとえ、自分の動きを撮影した動画を目の前のスクリーンに映し出してリアルタイムに確認できるシステムがあったとしても、使わないです。
なぜなら、セット中は自分の感覚を重視したいからです。
しかし、セット終了後のレスト中に、自らを撮影した動画をチェックすることは有効だと思います。
セット中の「主観」とビデオに録画された動画という「客観」をすり合わせる作業ができるからです。
たとえば、スクワットで十分深くしゃがめているという実感があっても、動画で確認してみると意外に浅かったりすることがあります。主観と客観がズレているのです。
そういう場合は、次のセットで少し深くしゃがんでみようと意識します。
そして、セットが終わったら、再び動画を確認し、思った通りの深さまでしゃがめているかをチェックします。
そうした作業を繰り返すことで、主観と客観のズレがなくなっていき、自分が思い描いている動きを正しく再現できる能力が高まっていきます。
もし、動画撮影をして自らのフォームを確認することをしないと、思っているよりもスクワットのしゃがみが浅いということに気づくことすらできず、そのままトレーニングを継続してしまい、深くスクワットをすることで得られるはずのトレーニング効果を得ることができなくなるリスクが生じます。
別の例としては、自らのデッドリフトのフォームを動画撮影してチェックしてみたら、思ったよりも腰が曲がってしまっていることに気づくことがあります。
そういう場合は、腰を痛めるリスクを避けるために、重量を大幅に下げて、正しいフォームを徹底して意識して身に付け直すという選択をすることができます。
しかし、動画で確認するという作業をしないと、自分のフォームが崩れていることに気づくことができません。
その一方で、高重量を扱ってとりあえずレップをこなせたりすると、調子に乗って挙上重量をドンドン上げてしまい、フォームがドンドン崩れていき、最終的には腰を痛めてしまうなんて最悪のシナリオに繋がりかねません。
したがって、狙ったトレーニング効果を得るという意味でも、ケガのリスクを抑えるという意味でも、動画撮影をして主観と客観のすり合わせをするということは意味のあることだと思います。
②モチベーションUPにつながる
私のクライアントで「遠隔指導」のプランをご利用のアスリートの場合は、「自分のフォームを河森にチェックされる」という意識が頭の片隅にあるだけでも、モチベーションUPに繋がっているはずです。
どれだけ意識の高い人間であっても、やはり人から見られているのと見られていないのとでは、緊張感が大きく異なるからです。
私自身も、誰からも見られていないで1人でトレーニングをしている時よりも、見られながらトレーニングをしている時のほうが、フォームの細かい点まで意識を徹底できる感じがしますし、重量という点でも追い込める気がします。
自分で動画を撮影して、自分でそれをチェックする場合は、他人から見られているのとはケースが異なりますが、それでも動画撮影をせずにただプログラムをこなすだけと比べると、緊張感を持って各セットに臨めると思います。
それに、動画をチェックしてみて自らのフォームが思っているより崩れていたりすると「チクショウ!」と思って、次のセットではもっと良いフォームでやってやろうというモチベーションに繋がりますし、逆に理想に近いフォームで実施できている動画を見た時は「ヨッシャー!」と嬉しくなり、次のセットも同じくらい美しいフォームでやってやろうという気になります。
まとめ
トレーニングをしている施設によっては動画の撮影が禁止されている場合もあるでしょうし、撮影する時は周りでトレーニングされている他の利用者への配慮も必要ですが、もし、動画を撮影できる環境でトレーニングをされているのであれば、自らのフォームを動画で撮影して確認してみるのをオススメします。
最初のうちは、動画を観ても良いフォームなのか悪いフォームなのか区別がつかなかったり、フォームが悪いことはわかってもどう修正すればよいかわからないかもしれませんが、動画を見続けていれば、見えてくるものがあるはずです。
最終的には、プロの目で確認してもらうのがベストですが、自らの目を養うことも重要です。
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【編集後記】
昨日は銀座に用事があったので、Apple Storeに寄って、MacBook 12インチとMacBook Pro 13インチを持ち挙げて重さを比較したり、Wordを起ち上げてスクリーンの大きさの違いによる作業のやりやすさを比べてみたりして、最終決断をしました。スクリーンの大きいほうです。