#367 ウエイトトレーニング中に鏡を見るべきか見ないべきか?

公開日: : S&Cコーチとしての思考, コーチング


 

Pexels photo 136410

 

ウエイトトレーニングを指導する時は、原則として鏡を見させないようにしています。移動式の鏡があったら、どかします。壁に固定式の鏡だったら、反対側を向かせます。

 

 

鏡を見ないようにする理由

①前からの動きしか見えない

鏡を見ながらウエイトトレーニングをしようとすると、基本的には前から見た動きしか見えません。横から見た動きや、後ろから見た動きはわからないのです。

前からの動きしか見えないと、スクワットの深さやデッドリフトにおける上体の前傾角度等が正確に把握できません。それらは横から見たほうがはるかに正確に把握できるはずです。

たとえば、鏡を見ながらスクワットをしていて、パラレルぐらいまでしゃがんでいると思っても、横からビデオ撮影して確認してみると、全然深くしゃがめていなかった、なんてことはよくあることです。

月刊トレーニング・ジャーナルの連載記事でも書いたのですが、私がアスリートのエクササイズフォームを観察する時は、横から見ることがほとんどです。横から見たほうが多くの情報を手に入れられるので、エクササイズ指導をする時はそこが定番の立ち位置となるのです。

#270 【月刊トレーニング・ジャーナル記事転載⑪】エクササイズ指導で気を付けていること

鏡を使って前からの動きしか見えない状況では得られる情報量に限りがあるし、得られた情報自体も正確ではない可能性があるので、それに頼ってしまうのは危険だと考えられます。

 

②鏡で見ようとしている対象物だけでなく目の位置も動く

多くのエクササイズにおいては、エクササイズ中に目の位置や高さが変わります。そして、鏡を使って自分の動きを確認しようとする時は、見ようとしている対象物(バー、身体の部位、関節etc)の位置や高さも変化します。

目の位置と見ようとしている対象物の両方が動いている状況下では、対象物の正確な動き(移動距離、速度、角度変化etc)を把握するのは非常に困難です。どちらか一方が固定されていて、もう一方だけが動いているのであれば、もっと正確に動きを把握できるのでしょうが・・・。

たとえば、アスリートのスクワットフォームを観察している時に、アスリートがしゃがむのに合わせてS&Cコーチが自分の目線の位置を下げていくなんてことはしないでしょ?コーチの目の位置は固定された状態でアスリートの動きを観察することで、移動距離や速度etcを正確に把握することができるんです。

鏡で自分の動きを確認しながらトレーニングをやるということは、コーチがアスリートの動きに合わせて目線の位置を変化させながら観察しているのと同じようなもんです。あまり正確とは思えません。

 

 

じゃあどうすればいいのか?

「鏡を使わないと自分の動きがわからないから、正しいフォームを身に付けられないよ!」という反論もあるかもしれません。そういう人には「鏡がなくても自分の動きを把握できるような感覚(kinesthetic sense)を身につけてください!」と言ってあげたいです。

kinesthetic senseを身につけるには、ちゃんとしたS&Cコーチの指導を受けるのがベストです。エクササイズ中の自分の感覚とS&Cコーチからのフィードバックとをすり合わせる作業を積み重ねることで、徐々にkinesthetic senseが向上していき、そのうちスクワットの深さや上体の前傾角度etcを自分で正確に把握できるようになるはずです。

S&Cコーチに指導してもらえない場合は、自分のフォームをビデオ撮影して見直すのがオススメです。セット中は自分の感覚に集中しながらエクササイズを行い、終わった後に動画を見直すことで、自分の感覚と客観的に見た動きをすり合わせることが可能となり、地道にその作業を続けることでkinesthetic senseが向上していくと考えられます。

 

 

例外

原則としてはウエイトトレーニング中に鏡は使わせない私ですが、例外として単関節エクササイズにおいては鏡を使っても良いと思っています。

たとえばバイセプスカールなんていうのは動きが単純すぎるのでkinesthetic senseなんて関係ありません。自分の上腕二頭筋がパンプアップしていく姿を鏡で確認しながらトレーニングすることで、よりモチベーションが上がったり、よりターゲット筋群に集中できるのであれば、どうぞ鏡を使ってください。

ただし「free-weight ground-based multi-joint」と分類できるようなエクササイズに関しては、鏡を使わないほうがよいでしょう。

 

 

まとめ

ウエイトトレーニング中の鏡の使用の可否に関する意見については、科学的知見にもとづくものというよりは、個人の嗜好であったり信念であったりが理由である場合が多いので、今回のブログも私の個人的な意見だと思って参考程度に捉えてください。

 

 

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【編集後記】

MacBook Proの最新版が発表されましたが、これまで通りに使おうとすると、いろいろとケーブルを買い足さないといけなくなりそうですね・・・。なんだかある意味「改悪」なんではないでしょうか。ちょとしばらくは現状のMacBook Airのままで様子見をしようかと思います。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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