前回のブログで予告したとおり、持久系アスリートに対するウエイトトレーニングについての論文を紹介します。
論文中では「strength training(ストレングストレーニング)」という用語が使われていますが、これは私がブログやSNSで「ウエイトトレーニング」と読んでいるものとほぼ同じものと捉えていただいて結構です。
論文の内容
調査内容
中・長距離系競技種目(ラン、自転車、クロスカントリースキー、水泳)のパフォーマンスにウエイトトレーニングの実施が与える影響について、メタ分析という手法を用いて調べた。
同トピックについて調査・報告している28本の研究論文データがメタ分析に使われた。
メタ分析とは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること (Wikipediaより)
結果
- 競技練習に加えてウエイトトレーニングを実施すると、中・長距離パフォーマンスが向上する
- ウエイトトレーニングにより運動効率・最大筋力・最大パワーが向上する
- 競技練習に加えてウエイトトレーニングを実施しても、VO2maxや有酸素持久力には影響ない
- 軽負荷・高レップトレーニング(60-80%1RM、6-25レップ)やパワー系トレーニング(プライオメトリクス、スプリントトレーニング、爆発的パワートレーニング 4-6レップ)よりも、高負荷・低レップトレーニング(>80% 1RM、1-5レップ)や複数の方法のコンビネーションのほうが、中・長距離パフォーマンス向上効果が高い
- ウエイトトレーニングを24セッション以上やったほうが、運動効率の向上に効果がある
- 運動様式(ラン、自転車、クロスカントリー、水泳)による効果の違いはない→すべての中・長距離系種目の選手がウエイトトレーニングの恩恵を受けることができる
- アスリートの競技レベルによらず、すべての中・長距離系種目の選手がウエイトトレーニングの恩恵を受けることができる
考察
中・長距離系競技種目のアスリートは、競技練習に加えてウエイトトレーニングを実施することで、パフォーマンス向上の恩恵を受けることができるということです。
そして、パフォーマンス向上には運動効率の向上や最大筋力・筋パワーの向上が貢献していると考えられます。
また、ウエイトトレーニングの内容としては、高負荷・低回数のプロトコルが効果が高いとのこと。
また、いろいろな手法を組み合わせるのも効果が高いようです。
まとめ
まあ、これほどの科学的データが「持久系アスリートもウエイトトレーニングやったほうがいいよ!」って言ってるんだから、やらないと損です。
そして、やるなら高負荷・低回数のウエイトトレーニングが望ましいようです。
「長距離競技なんだから、ウエイトトレーニングも高回数でやって筋持久力を鍛えよう」っていう主張はいったいどんな根拠があるのでしょうか?
私には一切理解できません・・・。
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他のトピックについても網羅しているので、持久系競技のためのウエイトトレーニングについてさらに知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
動画 持久系競技のためのウエイトトレーニング
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【編集後記】
今日からNBAファイナル。初戦はウォリアーズが強かった。