#165 S&Cコーチとして客観的にウエイトトレーニングの重要性を訴えて行きたいな〜

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英語圏のS&C業界で良く耳にするスローガンに「All other things being equal, the stronger athlete will always win」的なものがあります。

日本語になんとなく訳すと「他のこと(技術、戦術、心理面、etc)が全く同じアスリートが二人いたら、筋力の強いほうが必ず勝つ」みたいな感じでしょうか。

ウエイトトレーニングを実施して筋力を向上させることの重要性をS&Cコーチが訴える時に、頻繁に使われるスローガンです。

 

 

スローガンに違和感を感じる理由

個人的には、アスリートがウエイトトレーニングを実施することは重要だと思います。

しかし、このスローガンには少し違和感を感じます。

その理由を説明します。

 

① 他のことが全く同じなんて事はない(例え一卵性双生児であっても)

ありえない仮定にもとづいて議論をしても、あまり意味があるとは思えません。

実際には、体力的に劣っていても技術や戦術理解力の高いアスリートのほうが活躍するなんて状況はざらにあります。

だから、他のアスリートとの体力の比較をするより、自分がウエイトトレーニングを実施して今より体力が向上したら、より活躍できるようになるのか、という視点で考えるほうが有益だと思います。

 

②筋力が違えば、最適な技術も変化する

以前のブログで「筋力レベルが変わればパフォーマンスを最大限にするための最適な技術も変化する」というコンセプトを紹介しました。

そのコンセプトをもとに考えてみると、筋力の異なるアスリートが2人いて、その2人の技術が全く同じであったと仮定すると、そのうちの少なくとも1人の技術は最適ではないということになります。

別の言い方をすると、相対的な技術レベルが2人の間で異なっているということです。

つまり、「他のことが全く同じ」という仮定が崩れてしまうことになります。

なので、このスローガンのような状況はやはり起こりえないということになります。

 

 

まとめ

S&Cコーチとして、ウエイトトレーニングの重要性は十分認識していますし、できるだけ広めていきたいという気持ちはあります。

しかし、だからといってあまり根拠のない強引なスローガンを押し付けるようなことはしたくありませんし、「ウエイトトレーニングやって筋力向上すれば勝てる」的な無責任なことも言いたくありません。

それじゃあ「腰をフリフリしたら痩せますよ〜」と宣伝している人と同じレベルに落ちてしまいます。

科学的あるいは論理的に根拠のある理由を提示して宣伝することによって、本当の意味での信頼を勝ち取ることができるはずです。

S&Cの専門家としてのプライドは持ちつつも、もう少し大きな視点を持ち続けて客観性を失わないように気をつけたいところです。