#602 ウエイトトレーニングの哲学は「Train movements, not muscles」ではなく「Train muscles for movements」のほうがしっくりくる

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「Train movements, not muscles」という考え方

ウエイトトレーニングの哲学を表現する言葉に「Train movements, not muscles(筋肉を鍛えるのではなく、動作を鍛える)」というものがあります。

アスリートにウエイトトレーニングをやらせたら、筋肉が太くなって、スクワットの1RMも増えたけど、パフォーマンス向上には繋がらなかった・・・

そんな経験をしたS&Cコーチにとっては、「筋肉ではなく動作を鍛えるんですよ!」という考え方は心に響くものがあるでしょう。

 

私自身、はじめてこの言葉を聞いたときは(たぶんアメリカ大学院留学時代)、目からウロコが落ちるような感覚がありました。

「そうだよな〜、筋肉だけ鍛えて見た目がよくなっても、動きが変わらなかったらアスリートの場合は意味ないよな〜」なんて思ったものです。

それからしばらくは、ウエイトトレーニングの哲学として「Train movements, not muscles」という言葉に疑いを持つことなく過ごしていました。

 

しかし、「ファンクショナルトレーニング」なるものを提唱する人たちも「Train movements, not muscles」という言葉を標榜していることを知ってからは、「なんかイヤだな〜、一緒にされたくないな〜」というモヤモヤした気持ちを抱えてきました。

また、S&Cコーチとしてアスリートのトレーニング指導の経験を積み、ウエイトトレーニングに対する私の考え方も洗練されてきた結果、「Train movements, not muscles」という考え方にハッキリと違和感をおぼえるようになりました。

したがって、ここ7~8年は「Train movements, not muscles」という言葉を口にすることはほとんどありませんでした。

 

 

新しい考え方「Train muscles for movements」

とはいえ、「じゃあ筋肉を鍛えるわけでもなく、動作を鍛えるわけでもないのであれば、ウエイトトレーニングではいったい何を鍛えているんだ?」と問われた時に、わかりやすく説明するだけの言葉を持ち合わせていなかったこともまた事実です。

その問いに対する答えは、私の頭の中には存在していました。

でも、シンプルに表現することができていませんでした。

まだまだ未熟で、ウエイトトレーニングの真髄にたどり着けていなかったということでしょう。

 

しかし、先日、ツイッターを眺めていた時に「自分が探していた表現はコレだ!」と思えるものに出会いました。

 

こちらのツイートをもとに、ウエイトトレーニングの新哲学を言葉で表現すると以下のようになります:

Train muscles for movements

日本語で言うと、「動作のために筋肉を鍛える」といったところでしょうか。

この言葉は、私の頭の中に存在していた考え方を、とても美しくシンプルに表現してくれています。

 

たとえば、スクワットをやる場合。

しゃがんで立ち上がるという動作をできるだけラクにこなすことを目指すわけではなく、できるだけ重いバーベルを持ち挙げるための動作を追求するわけでもありません。

「なぜスクワットをやるのか?」という目的を明確にしたうえで、その目的を達成するために最適な動作(=フォーム)でスクワットを実施します。

そのスクワット動作は、スポーツで求められる動作とは異なりますが、そのようなフォームでスクワットを実施してケツの筋力を鍛えることが、スポーツでの動作改善に繋がるという考え方です。

» 参考:できるだけ重い重量を挙げるためのフォーム vs. できるだけ健康的に効率よくトレーニング効果を上げるためのフォーム

 

また、単関節エクササイズやマシンエクササイズ等は「Train movements」ではなく「Train muscles」タイプのエクササイズです。

しかし、べつにウエイトトレーニングで直接的に「動作」を鍛えなくても、特定の「筋肉」を鍛えることで、それが結果として動作の改善に繋がるのであれば、目的は達成できます。

したがって、目的に合致しているのであれば、単関節エクササイズもマシンエクササイズも手段としては全然アリなのです。 

 

 

まとめ

ウエイトトレーニングに対する私の哲学は以下のような変遷をたどってきました:

  • ① Train muscles
  • ② Train movements, not muscles
  • ③ Train muscles for movements

今後さらに変遷していく可能性はありますが、現時点では③の哲学がとてもしっくりきています。

読者の方の参考になれば幸いです。

 

また、「Train muscles for movements」と言われても、現時点ではいまいちピンと来ない方もいらっしゃるかと思いますが、いつか「あ〜、なるほど!」と思える日が来るはずです。

とりあえず、「河森がそんなこと言ってたな〜」程度に覚えておいていただければ。

※ちなみに、今回のお話はアスリートが勝つためのトレーニング(=S&C)を前提にしたものです。たとえば見た目を改善したいのであれば、①の「Train muscles」で全然問題ありません。

 

 

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【編集後記】

ツイッターでもつぶやいたのですが、ビーレジェンドのプロテイン「波動拳風味」が美味いです。