筋トレ終了後は疲労が溜まっています。
そこで、この疲労をできるだけ素早く取り除くために、冷水浴等のリカバリー手段を活用されているアスリートもいるでしょう。
筋トレ後に毎回リカバリー手段を活用する理屈としては;
- 筋トレをやる
- 疲労が溜まる
- リカバリー手段を活用する
- 疲労が取り除かれて回復する
- 次の筋トレでより質の高いトレーニングができる
- 質の高いトレーニングを積み重ねることで、筋力がさらに向上する
という考え方があるかと思います。
理屈上は間違っていないように見えます。
しかし、現実としては、逆効果になってしまうリスクがあるので気をつけましょう、というのが今日のブログの趣旨です。
筋トレ後のリカバリーがトレーニング効果を阻害!?
筋トレ後に冷水浴を行うと、筋力UPや筋肥大等のトレーニング効果が阻害される可能性があることは、ここ最近の研究によって明らかになりつつあります。
» 参考:【論文レビュー】筋トレ後の冷水浴は筋肥大や筋力UPを阻害するから、やらないほうがいいんじゃない?
その理由やメカニズムについては、いくつかの可能性が提唱されていますが、まだまだ完全には解明されていないのが現状です。
ともあれ、「筋トレ後に体内で起こっている何かしらの変化」が筋力UPや筋肥大を引き起こすのに重要で、冷水浴を実施するとその「何かしらの変化」を取り除いてしまうため、トレーニング効果が阻害される、というふうに私は捉えています。
私の知る限り、現時点で、筋トレ後に実施するとトレーニング効果を阻害する可能性があると指摘されているのは「冷水浴」だけです。
しかし、他のリカバリー手段(例:マッサージ、コンプレッションタイツ)についても、それらを実施するとトレーニング効果を引き起こすのに必要な「何かしらの変化」を取り除いてしまうのであれば、トレーニング効果を阻害するリスクがあると想像するのが妥当です。
あくまでも「そのような可能性が想像できる」といった程度ですが、私だったら、それらのリカバリー手段を筋トレ後に毎回必ず実施することは控えるでしょう。
知っておいてほしい3つの注意点
今回のブログの内容を理解する上で、3点だけ注意していただきたいことがあるので触れておきます。
- 注意点①:リカバリー手段が絶対にNGと言っているわけではない
- 注意点②:栄養に関しては、筋トレ後に補給していい
- 注意点③:筋トレ直後でなければOKかも
注意点①:リカバリー手段が絶対にNGと言っているわけではない
今回のブログの趣旨は、筋トレ後に毎回リカバリー手段を活用すると、長期的なトレーニング効果が阻害されるリスクがあります、ということです。
しかし、それらの手段に疲労回復効果があることは間違いないので、使用そのものがNGと言っているわけではありません。
たとえば、目の前に大事な試合が迫っているのであれば、そこに向けて疲労回復を図ることのほうが優先順位は高いので、たとえ長期的に考えるとトレーニング効果が下がってしまうリスクがあったとしても、リカバリー手段を活用したほうがいいでしょう。
また、筋トレ以外の活動の後にリカバリー手段を活用することはまったく問題ないです(例:試合後、競技練習後、持久力トレーニング後)。
とくに持久力トレーニング後に冷水浴を実施すると、トレーニング効果が阻害されるどころか逆に促進される可能性が示唆されているくらいです(まだ、研究者の間にも議論があるので、未確定な可能性ですが)。
あくまでも「筋トレ直後」が良くないだけなので、タイミングや優先順位によっては、リカバリー手段をうまく活用したほうがいいでしょう。
注意点②:栄養に関しては、筋トレ後に補給していい
筋トレ後に疲労回復を目的としてタンパク質や糖質といった栄養を補給することもあるでしょう。
同じ理屈で言うと、栄養補給もトレーニング効果を阻害するリスクがありそうですが、これについては心配しないで大丈夫そうです。
むしろ、筋トレ後にタンパク質や糖質を補給することはトレーニング効果を促進する効果があると考えられるので、積極的に摂取していただきたいです。
今回のブログの主張は、こと「栄養」については当てはまらないのでご注意ください。
注意点③:筋トレ直後でなければOKかも
冷水浴に関する研究では、筋トレ「直後」に実施するとトレーニング効果が阻害されると報告されています。
しかし、筋トレ直後はリカバリー手段を使わずに、時間がたってから、たとえば寝る前にリカバリー手段を用いるのであれば、問題がないかもしれません。
どうしても筋トレをやったその日のうちに冷水浴等のリカバリーを実施したいのであれば、筋トレ終了後しばらく時間をあけてから実施してみてください。
ただし、筋トレ後に時間を空けてからリカバリー手段を使ったとしても、トレーニング効果が阻害される可能性はあります。
やはり、筋トレ後にリカバリー手段を使うのは、どうしても疲労回復のほうを優先させたい場合に限定したほうがいいでしょう。
まとめ
トレーニング効果を最大限に引き出すには
- トレーニング
- 栄養
- 休養
の3つが重要だ!という話は聞いたことがあるはずです。
それは間違っていないのですが、「休養」に関しては、筋トレ直後にリカバリー手段を用いると逆効果になるリスクがあることは知っておいたほうがよいでしょう。
そうした知識を持っておいたうえで、適切なタイミングと目的のために、リカバリー手段をうまく活用していただければ。
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【編集後記】
iPad Proをビックカメラで注文したのですが、在庫がないということで、なかなか発送されません。
そんなに人気なのか・・・。
早く論文をiPadで読む環境を整えて、ペーパーレス化を進めたいのに・・・。