娘のワクチン接種を経験して
娘が生まれて昨日で5ヶ月がたちました。
いろいろと大変ですが、順調に育ってくれています。
そんな生まれたばかりの小さな娘ですが、これまでに何度もワクチンの予防接種を受けました。
世の中にはワクチン接種を拒否する運動も展開されているようですが、ほとんどが科学的根拠のないものです。
もちろん副作用はゼロではないでしょうが、それよりも、ワクチンを打たずに病気になったときのリスクのほうが怖いです。
だから親の責任として、受けるべき予防接種はきちんと受けさせるようにしています。
ただ、ワクチンを打ったからといって、その効果が劇的にあらわれるわけではありません。
目に見えて体調が良くなったり健康的になったりするわけでもありません。
あくまでも、感染症に対する免疫がつき、長期的にみて病気になりにくくなるだけです。
また、ワクチンを打っても、病気になるときはなります。完全に予防するわけではないので。
ワクチンを打ったのに病気になった人からすると、ワクチンなんて意味ないじゃんと思いたくもなるでしょう。
しかし、統計的にみると、ワクチンを打ったほうがリスクが下がるということです。
副作用のリスクを怖がってワクチン接種をしないという判断をした人は、ワクチン接種をしないことのリスクのことを忘れているのかもしれません。
副作用はすぐにあらわれるので、それを避けたくなる気持ちはわからないではないです。
しかし、すぐにあらわれる目の前のリスクを避けることで、長期的に起こりうる見えづらいリスク(=病気にかかる)を放置していることになります。
世の中、リスクがゼロなんてことはないんだから、リスクの大小を天秤にかけて判断をするのが重要だと私は思います。
ワクチン接種とトレーニングの共通点
娘が生まれてワクチン接種について考える機会ができて、これってアスリートにとってのトレーニングと似ているな〜と思うようになりました。
「ワクチン接種」と「トレーニング」の類似点としては、以下のようなものがあります:
- ①すぐに効果が目に見えてあらわれるわけではない
- ②でも、統計的にみると、効果があるのは間違いない
- ③とはいえ、やったからといって、必ず結果に結びつくわけではない
①すぐに効果が目に見えてあらわれるわけではない
ワクチン接種をしたからといって、すぐに元気になったりするわけではありません。
長期的にみて、病気にかかりにくくなるだけです。
トレーニングも同じです。
トレーニングをしたからといって、すぐに体力が向上したり、競技成績UPに繋がるわけではありません。
継続して長期的に実施すると、体力が向上して、それが競技成績UPに繋がる可能性が高まるというだけです。
目の前の効果ではなく、長い目で見たときの効果を求めて実施すべきという点で、ワクチン接種とトレーニングには共通点があります。
逆に異なる点としては、ワクチン接種は1回〜数回で効果を得ることができますが、トレーニングは継続してやり続ける必要があるということです。
②でも、統計的にみると、効果があるのは間違いない
ワクチン接種もトレーニングも効果が出るまでには時間がかかるし、その効果が目に見えてあらわれるわけではないので、実感しづらい部分はあります。
たとえば、赤ちゃんの時にワクチン接種をして、大人になって振り返ってみて病気をしていなかったとしても、それがワクチン接種のおかげだったと実感するのは難しいでしょう。
しかし、大規模な疫学的調査の結果をみてみると、ワクチン接種をしない人達よりもした人達のほうが病気にかかる確率はあきらかに低いのです。
トレーニングの場合は、ワクチン接種よりは効果の有無がわかりやすいかもしれません。
とくに体力向上効果については、体力測定の数値が向上していれば、トレーニングの効果があったのかな〜と実感しやすいでしょう。
一方で、トレーニング効果の1つである「ケガをしづらい身体を作る」という点については、実感をするのは難しいでしょう。
アスリートが1シーズン終わって振り返ってみて、そのシーズンはケガをしないで乗り切れたとしても、それがトレーニングのおかげかどうかを判定するのは困難です。
トレーニングをやらなくてもケガをしない時はけがをしないし、逆にトレーニングをやっていてもケガをする時はケガをしますから。
しかし、いろいろな要因をコントロールして研究をやった結果、トレーニングをやったほうがケガのリスクが統計的に低いというデータは存在します。
» 参考:【論文レビュー】ウエイトトレーニングを実施するとケガを1/3以下に減らすことができる
自分ひとりの経験をもとにして個人レベルでみると実感しづらい効果であっても、多くの人を調査してみて、統計的に確率として効果があることがわかっているという点で、ワクチン接種とトレーニングは類似しています。
③とはいえ、やったからといって、必ず結果に結びつくわけではない
統計的に、あるいは確率論的にみると、ワクチン接種もトレーニングも効果があるのは間違いありません。
しかし、個人レベルでみてみると、必ずしも結果に結びつくわけではないという点では共通しています。
たとえば、ワクチン接種を受けても病気にかかる人はいます。
また、トレーニングをやってもケガをする人はいるし、競技成績UPに結びつかない人もいます。
個人にとっては、病気にかかるかかからないか、トレーニングの効果が出るか出ないか(とくにケガの予防という点では)、というのは「0か100か」「all or nothing」みたいなところがあります。
だから、悪いほうの結果が出た人にとっては、「なんだよ、効果ないじゃん、意味ないじゃん」と思ってしまうのはしょうがないかもしれません。
まとめ
SNSをみていると、「反ワクチン派」とか「標準治療を否定して胡散臭い民間医療を提供しているドクター」とか、科学的根拠のないことを無責任に発信している人達がいて、その一方で、そういう間違った情報が患者やその家族に広まらないように、正しい医療情報を伝えようと努力されているドクターがいることに気づきます。
個人的には、後者のような真摯な姿勢で活動されているドクターには尊敬の念を持っています。
そんな中、娘が生まれてワクチン接種を受けるようになり、ある意味当事者になってみて、いろいろと考えることがありました。
で、ワクチン接種とトレーニングって意外に共通点が多いな〜と感じて、今回の記事を書いてみました。
トレーニングの業界でも、「反ワクチン派」とか「標準治療を否定して胡散臭い民間医療を提供しているドクター」みたいな感じの人がうじゃうじゃいます。
科学的知見をまったく無視して、自分の経験だけに頼ったり、感情に訴えたりするような人達です。
そういう間違った情報が広まらないように、私も微力ながら貢献できればと思います。
» 参考:リスクゼロを求めず、やらないことのリスクも考えよう
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【編集後記】
Amazonプライムデーセールで結構ポチりました。
でも、基本は、いつも買っているもの、どちらにしろ買うもの、日用品ばかりを買いました。
結構、堅実派です。