#108 トレーニングの期分け(ペリオダイゼーション)はベストな方法?

公開日: : 最終更新日:2015/09/09 S&Cコーチとしての思考, プログラムデザイン


 

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ちょっと刺激的なタイトルです。ブログが炎上しないかドキドキです。さて、今日はちょっと教科書的なものとは異なる考え方を紹介します。正しいと盲目的に信じている事が本当に正しいのかをもう一度考えてみるきっかけになればと思います。

 

 

トレーニングの期分けとは?

S&Cコーチならトレーニングの期分け(ペリオダイゼーション)という概念はご存知でしょう。一番シンプルな形としては「筋肥大期→最大筋力期→筋パワー期→試合期→積極的休養期」という感じでトレーニング変数(強度、量、頻度、エクササイズ選択、etc)を定期的に変化させて、シーズンで一番重要な試合に向けて体力(この例で言うと特に筋パワー)を最大限に高めていく方法と言う事ができるでしょう。大抵のトレーニング関係の教科書には載っている基本的な内容だと思います。

 

 

トレーニングの期分けの問題点

①重要な試合でだけ体力がピークになれば良いのか?

体力面だけを考えると、シーズンで一番重要な試合で体力をピークに持っていく方法としては、ペリオダイゼーションは良いのかもしれません。しかし、体力がピークに達するまでの期間(例:オフシーズン)にもアスリートは競技の練習をしています。つまり、オフシーズン中は最大下の体力レベルの中でせっせと競技練習をしている事になります。これで良いのでしょうか?

たとえ重要な大会の時点で体力がピークになっても、その体力レベルでの練習をやっていないと、ピークレベルでの体力を使いこなせない可能性があります。せっかく体力がピークになってもそれを使いこなせないと競技パフォーマンスはピークになりません。つまり、体力アップがイコール即競技パフォーマンスアップとはならないのです(この辺りの議論はコチラを読んで下さい)。

体力アップが競技パフォーマンスに繋がるためには、トレーニング効果の転移が必要で、それには時間がかかります。そう考えると、体力のピークを重要な試合に合わせるのがベストなのか疑問になってきます。

 

②そもそも体力のピークを作るべきか?

さらに言うと、そもそも体力のピークを作る事自体が必要なのかという疑問もあります。競技や場合によっては、シーズンを通して体力の波をあまり作らずに、そこそこの体力レベルを維持しながらベースアップを図りつつ、時間をかけて体力と競技スキルの融合を図ることのほうが有効な事もあるのではないでしょうか?

 

 

まとめ

トレーニングの期分けを全面的に否定しているわけではないのですが、トレーニングの長期計画を立てる際に、とりあえずそのシーズンで一番重要なターゲットとなる試合を決めて、その時点で体力がピークになるように逆算してトレーニング期分けを実施するという手法を盲目的に信じこむという傾向に一石を投じてみました。定期的にトレーニング変数を操作する事自体は重要だと思いますが、あまり急激に変化させたり、ある時点でピークを作る事を目的に操作するのが常にベストだとは思いません。

我々S&Cコーチは時として体力面だけに注目して「重要な試合で体力がピークになれば良い成績をあげられるに違いない」と思い込んでしまう事もあるかもしれませんが、あくまでも重要なのは競技パフォーマンスであって、体力アップイコール即競技パフォーマンスアップではないという事を頭の片隅に入れておく事が必要でしょう。

できるだけ大きな視点を持って、アスリートのパフォーマンスにおいてS&Cトレーニングがどのような位置づけにあるのか、他の競技練習等とどのような関係がありどのような影響を及ぼしうるのか、等々も考えられるのが重要だと最近は強く感じます。そういった広い視点を持ちつつ、体力に関しては専門家として深い知識や技術を有するというのがS&Cコーチの理想なのかな〜と思いますが、いかがでしょうか?

 
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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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