#172 「私が開発したこのトレーニング理論は◯◯学会で発表されました」と言っているS&Cコーチは信用するな!

公開日: : 最終更新日:2016/01/21 S&Cコーチとしての思考


 

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通常、このブログはS&Cの専門家向けに記事を書いていますが、今日は一般の方をターゲットに書きたいと思います。

 

学会発表したトレーニング理論はスゴイ?

たまに、「私が開発したこのトレーニング理論は◯◯学会で発表されました」と言って、あたかもそのトレーニング理論が学会に認められたかのような言い方をして宣伝しているのを目にすることがあります。こんな事を言っているS&Cコーチは信用してはいけません。意図的に自分を実際より大きく見せようとしています。軽い詐欺です。

そもそも学会発表なんてものは、申し込めばかなりの確立でアクセプトされるものなんです。それほど難しいことではありません。

1回の学会において、何百、何千という発表申し込みがあるのですから、その1つ1つを詳細にチェックすることなんて無理です。せいぜい、申し込む時に指定されているフォーマット(文字数とか、含めるべき項目とか)に則っているかどうかをチェックするくらいのもんです。

だから、研究の世界では「学会発表をした」というだけでは実績とは通常認められません。

実績として認められるためには、ジャーナルに論文を投稿してアクセプトされる必要があります。投稿された論文は、通常2-3名の査読者(同じ分野の研究者によるボランディア)によって内容をチェックされ、研究の意義、実験手順、統計手法、データをもとにした議論・結論etcについて審査を受けます。そして、普通は何度か書き直しを指示されることになります。こうしたチェックの厳しさと比べると、学会発表の申し込みのチェックなんて大したことありません。

みなさんの周りに、大学院まで行って研究して学会発表や論文発表をしたことのある人がいたら聞いてみてください。

 

学会で発表したら学会が認めたことになる!?

そもそも、学会でトレーニング理論を発表したからといって、その学会がそのトレーニング理論を認めたことにはなりません。

上述の通り、学会発表はそれほど厳格な審査があるわけではないので、そんな簡易な審査を通り抜けただけのものを学会が公式に認めるわけがありません。もし、学会で発表したものがすべて学会が認めたもの、ということになるのであれば、その学会はめちゃめちゃたくさんのものを公式に認めていることになり、そんな公認はなんの意味も権威もないことになるでしょう。

学会が公式にトレーニング理論等を認める場合は、position statementという形で発表するはずです。そして、個人の考えたトレーニング理論等をposition statementとして発表することはまずありません。position statementは特定のトピックについて、過去の研究成果をまとめたうえで発表される類のものだからです。

だから、「私のトレーニング理論は◯◯学会で発表されました」と吹聴しているS&Cコーチがいたら、「だから何?」と言ってやりましょう。「いや、学会のお墨付きをもらったトレーニング理論だから効果があるのですよ」みたいに反論されたら、「そんなわけねーだろ!」とやさしく伝えてあげましょう。

 

まとめ

という事で、「私が開発したこのトレーニング理論は◯◯学会で発表されました」的な宣伝をしているS&Cコーチは信用しないほうが良いです。意図的にあなたを騙そうとしている悪質なS&Cコーチです。以上。

 

 

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【編集後記】

専門知識のない一般の方(アスリートも含めて)にとっては、優秀なS&Cコーチやら適切なトレーニング方法・エクササイズを見極めるのは難しい作業でしょう。したがって、メディアに取り上げられているS&Cコーチやらトレーニング方法・エクササイズが良いものだと判断しがちです。しかし、メディアが取り上げるのは「良いもの」ではなくて、読者・視聴者の興味を引き付けることのできる「面白いもの・見栄えの良いもの」です。両者は必ずしも一致しません。だからと言って「メディアってやつは・・・」と愚痴っているだけでは何も変えられないので、たまには「良いもの」の見極め方についての記事を書いて行こうと思います。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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