とある方のSNS投稿からインスパイアされて、ウエイトトレーニング中の動作改善について少し書いてみます。
エクササイズ動作改善についての雑感
まず、ウエイトトレーニングのエクササイズを最初に導入する時は、デモをしてみせたり、細かいやり方を説明したりして、適切なテクニックを教えます。
それだけですべての人が正しいやり方でエクササイズをできてしまうのであれば、これほど簡単なことはないのですが、実際にはそんなケースはレアです。
最初にエクササイズのやり方を教えた後も、「フォームの問題点を見つける→改善をする」というプロセスを継続して繰り返す必要があるのが現実です。
この後者のエクササイズ中の動作改善には、その場で適切な声掛けをすれば改善できる場合と、すぐには改善できない場合があります。
①すぐに改善できる場合
声がけをしてその場ですぐ改善できる場合、そもそもの問題点は「運動制御(motor control)」であることがほとんどです。
要するに、「身体の動かし方」の問題です。
なので、S&Cコーチが問題点をしっかりと見つけて、その原因を正しく分析し、それを改善させるための適切な声がけ(cueing)をしてあげれば、すぐに改善できます。
たとえば、自分の身体の動かし方がよく分かっていて勘の良いアスリートであれば、こちらの声がけの意図をすぐに理解して、あっという間に動作を改善してくれます。
そういうアスリートを指導するのは非常にラクチンです。
そしてそういうアスリートを指導していると「俺って天才!!」と勘違いしそうになります。
しかし、天才なのはそのアスリートであって、自分ではないと言い聞かせるようにしています。
②すぐに改善できない場合
声掛けをしてもすぐに動作エラー等の改善ができない場合もあります。
運動制御が問題であるケースと、柔軟性や筋力の不足により、そもそもそのエクササイズを適切なフォームで実施できる準備ができていないケースの2通りがあるのかな〜というのが私の印象です。
運動制御が問題である場合、声掛けをすればすぐに改善が図れそうな気がしますが、自分の身体の操り方の上手・下手には個人差が大きく、自分の身体を思い通りに動かすのが苦手なアスリートもいます。
あるいは、私がそのアスリートの指導を始める前に他のS&Cコーチから間違ったやり方を教わっていて変な癖がついてしまっていると、その癖を取り除くのに時間がかかってしまうこともあります。
それらの場合は、焦らず地道にコツコツと指導を続けるしかありません。
また、場合によっては、動作は似てるけど難易度の低いエクササイズを代わりに実施してもらうこともあります(regressionと呼ばれたりします)。
一方、柔軟性や筋力の不足のため準備が整っていない場合、そのエクササイズ自体をやらせながら動作改善を図ろうとしても、根本的な問題解決につながらず、なかなか動作改善に結びつかないことが多いです。
できないものを「やれ!」と言っても、できないんですから。
お互いにとってフラストレーションがたまるだけで、誰も得をしません。
その場合、まずはそのエクササイズ実施のために必要な柔軟性や筋力をつけるため、難易度や強度の低いエクササイズをやらせたり、モビリティドリルやらアクチベーションドリルやらストレッチ等を活用したりしながら、準備を整えてあげることになります。
この準備は時間がかかるものです。そこにマジックは存在しません。
このあたりの考え方については、以下のブログを一読されることをオススメします。
参考 ポケットの理論GS Performanceブログ
たとえば、アスリートによっては「クリーンを教えてください」とリクエストしてくる人もいますが、ポケットの中に必要な筋力や柔軟性が詰め込まれていない場合は、教えることはできません。
その場合は、まだクリーンを実施する準備ができていないことを説明して、代替種目を教えることになるのですが、その説明や説得はなかなか難しく、アスリートの理解を得られないこともたまにあります。
だからといって、妥協してアスリートに媚を売り、クリーンを教え続けてもできるようにはなりませんし、そんなのアスリートのためになりません。
ウエイトリフターで無い限り、クリーンは目的を達成するための手段にすぎないのですから、その手段を適切に使えないのであれば、同じ目的を達成するための代わりの手段を選択して提供してあげるのがS&Cコーチの役目です。
これに関連した話題については、過去の記事を読んでみてください。
まとめ
ウエイトトレーニング中の動作改善について思いついたことを書いてみました。
自分の頭の中を整理する気持ちで・・・。
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【編集後記】
うーん。特にネタが思いつきません(笑)