#407 S&Cコーチとして、大学院まで行って研究をやるメリット

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Citation notes 

 

私は大学院の博士課程まで行って、研究をやりました。

S&Cコーチを目指していて、それが必要だと感じたから大学院まで行って研究したというよりは、もともと研究者志望だったので、大学院まで進んで研究する以外の選択肢がなかったというのが実際のところです。

私の場合、アスリートを被験者にして研究をやっているうちに、「やっぱり、現場でアスリートの指導をしているほうが面白い!」と思ったので、大幅な人生の方向転換をしたという事情があります。

 

 

大学院まで行って研究をやるメリット

S&Cコーチとして必要にかられて大学院まで行ったわけではありませんが、S&Cコーチとして活動している今となって振り返ってみると、大学院まで行って研究をやったメリットはあったと思っています。

それなりの時間とお金をかけたから、メリットがあったと信じたいというバイアスもあるかもしれませんが・・・。

 

①研究テーマについての知識が深まる

まず、単純にわかりやすいメリットは、大学院での研究テーマについての知識が深まったということです。

私の場合、大学院の修士課程と博士課程で以下のようなテーマで研究をしました:

  • 【修士課程】爆発的パワー向上のトレーニング
  • 【博士課程】スプリント加速能力向上のためのスレッド走トレーニング

それぞれのテーマで研究を始める前に、関連する学術論文を読みまくって、現時点で解明されていることは何か?の把握に努めました。

すでに解明されていることを研究しても意味ないし、研究においてはオリジナリティが求められるので、これは必要な作業です。

※修士レベルでは、すでに研究されていることを被験者etcの条件を変えて追認することがOKの場合もあります。

 

そのプロセスにおいて、関連する学術論文を数百本も読みこんだので、それぞれのテーマについての知識は格段に増えました。

そのうえで、まだ解明されていないテーマを設定して研究を実施したので、ある意味、そのテーマについては世界の最先端を行っていたと言っても過言ではありません。

したがって、今でも大学院時代に研究した2つのテーマについての知識については自信がありますし、それはアスリートのトレーニング指導においても活かされています。

 

 

②学術論文の読み方が変わる

過去のブログでも書きましたが、自分で研究をやった経験があると、学術論文の読み方が格段に変わります。

より一段、深いレベルで理解することができるようになるのです。

» 参考:論文を批判的な目で読んで、その内容を解釈するために必要なことについての私見

 

これは、なぜそうなるのか理屈で説明するのが難しいのですが、経験してみるとわかります。

たとえて言うなら、「自分自身でトレーニングをしないよりはしているほうが、トレーニング指導に深みが出る」というのと似ているかもしれません。

 

 

③専門外のテーマについて知識を深める方法が身に付く

今年の1月に実施されたNSCA国際カンファレンスで「ピーキングの捉え方とプログラムデザイン」というタイトルで講演をしました。

正直言って、ピーキングというテーマについて、自分自身で研究をしたことは一切ありません。

したがって、お世辞にも「私はピーキング研究の第一人者です」なんて言うことはできません。言ったら完全にウソですから。

それなのに、ピーキングというテーマについて何百人もの参加者に対して講演をすることができたのはなぜか?

それは、担当しているアスリートが重要な試合に向けて最高の状態で臨めるように、ピーキングについて勉強したからです。

そして、その勉強の仕方は、大学院で身に付けた方法と一緒です。つまり、ピーキングに関連する学術論文を読みまくるというものです。

 

上記①で挙げたメリットは、大学院時代に選んだテーマについての知識向上に限られますが、そこで身に付けた方法は他のテーマについても応用可能なものです。

S&Cコーチとして、特定のトピックについての自身の知識を深めたい場合は、①で説明したプロセスをそのまま当てはめればいいのです。

つまり、大学院で経験した「特定のテーマについての学術論文を読みまくることで、そのテーマについての知識を飛躍的に高める」という方法は、S&Cコーチとして現場での活動がメインとなった今でも十分に役立っているということです。

 

ひとつだけ、今、苦戦しているのは、学術論文を集めるのにお金がかかるという点です。

JISS所属時はほぼ無料で読みたい論文をゲットすることができていたのですが、独立してフリーランスとなった今、読みたい論文をゲットするのに1本数千円とかかかるので、どうしたもんかな〜と悩み中です。

 

 

まとめ

誤解を与えないように言っておくと、S&Cコーチはみんな大学院まで行って研究をするべきと主張しているわけではありません。

大学院まで行っていなくても優秀なS&Cコーチを何人も知っていますし、大学院まで行っているのにイマイチなS&Cコーチだって腐るほどいます。

ただ、大学院まで行って研究をやってみたいと考えているS&Cコーチがいたら、参考になればと思って今回のブログを書いてみました。

動画 科学的知見に基づくトレーニング指導

 

 

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【編集後記】

NBAファイナルが終了し、ウォリアーズが優勝しました。単純に強かったですね。メンバーが大幅に変わらなければ、連覇しそう。それにしても、両チームとも、執拗にディフェンスされてるのに馬鹿みたいにシュート決めるな・・・。