ロンドンオリンピックが閉幕しました。
今回は、自分がサポートに関わったり日頃から接しているアスリートがオリンピックに出場するという初めての経験で、これまでとは違った特別なオリンピックとなりました。
メディアが報道する一流アスリートのトレーニング
さて、オリンピックの前後では、多くのメディアがアスリートのトレーニングについて特集していましたね。職業柄、そういう特集を見ると気になって目が釘付けになってしまいます。
が、紹介されているトレーニングの内容やエクササイズのフォームを観察すると、「あれ?」と違和感を持つことが多いです。もちろん、メディアで紹介されているトレーニングはほんの一部だけなので、それを見てそのアスリートが実施しているトレーニング全体を把握する事は不可能ですし、どのような意図を持ってそのようなトレーニングを実施しているかも本人に聞いてみないとわかりません。
でも、見ればなんとなくわかります。あくまでも「なんとなく」ですけど。で、その「なんとなく」感覚で判断するところ、一流のアスリートのトレーニング特集を見て「あれ?」と思うことが「うん、さすがに良いトレーニングしてるな〜」と思うことより圧倒的に多いです。
そういうのを見るたびに思うことは「elite athletes are elite not necessarily “because of” what they do, but often “despite of” what they do」という事です(このニュアンスを日本語でうまく表現できなかったのであえて英語で書きました)。
これはあくまでも私の個人的な感想なので「おまえに他人のトレーニングの良し悪しを判断する能力があるのかよ?」と言われたら「自分ではあると思っていますけど、実際に私の事を信頼できるかどうかは、このブログで書いてある内容等を読んでご自身で判断して下さい」と言わざるをえません。
一流アスリートを指導しているS&Cコーチが優秀とは限らない
また、オリンピック選手(特にメダリスト)を指導しているS&Cコーチも特集される事がありますが、一流のアスリートを指導しているS&Cコーチが一流とは限りません。このお話は以前のブログで既にしたのでそちらを読んでみて下さい。
そもそもメディアの特集等で表面に浮上してくるのは成功例のみです。
例えば、あるS&Cコーチが指導しているアスリートが全部で50人いるとして、オリンピックに出場するのがそのうちの1人だけだったとしても、特集されるのはその1人の成功例だけです。他の49名は表面に出てきません。もしかしたらそのS&Cコーチはダメコーチで他の49名は理不尽なダメトレーニングをやらされてパフォーマンスを落としていたり常にケガを抱えていたりするかもしれません。でも1人だけ遺伝的にモンスター級のアスリートがいたら、ケガもしないし勝手に自分の能力だけでオリンピックに出場しちゃったりする可能性があります。冷静に考えたらこのS&Cコーチは良くないコーチですが、メディア的にはオリンピック選手を指導しているカリスマS&Cコーチという形になるかもしれません。
別の例を挙げると、「私のクライアントのAさんは8週間でスクワット1RMが50KGアップしました」とか「私のクライアントのBさんは2週間で10KGの減量に成功しました」とかいう宣伝しているパーソナルトレーナーがいたとします。おそらく、これらは数少ない成功例に過ぎず、それほど筋力がアップしなかったりそれほど減量も成功しないクライアントが他にたくさんいるはずです。でも表面に出てくるのは成功例だけです。
まとめ
結局何が言いたいのかというと、オリンピック前後のこの時期は一流アスリートが実施しているトレーニングに関してさまざまな情報を目にする機会がありますが、それに惑わされずに本質をしっかり見極めましょうという事です。自分が指導しているアスリートが「この前オリンピック選手がやっているトレーニングをテレビで観て自分もやってみたい」と言ってきたら、上記のような事をしっかりと説明してあげる必要があるでしょう。
また、たとえテレビで特集されたアスリートが実施しているトレーニングが適切で正しいものだったとしても、それが自分の指導しているアスリートにとっても適切とは限りません。何が「適切」かはトレーニングレベルやアスリートの特性によっても異なるので。そこはプロとして見極める事が重要です。
※最速男がハングパワークリーンらしきエクササイズをやってますが、私からみたらチーティングを使ったリバースバーベルカールでしかありません。でも動画の最後にボルトが自分の上腕二頭筋にキスをしているから、リバースバーベルカールと認識してやっているのか・・・(_;
もしこの記事を気に入ったら、Facebookで「いいね」ボタンを押したりTwitter等でつぶやいたりして頂けると、ブログ管理人は喜びます。