#758 新刊「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」で伝えたかったこと

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Joe ciciarelli BVNmFNShq6U unsplash

 

昨日、私の新刊「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」を特別販売ページで予約開始したことをお伝えしました。

早速多くの方にご予約をいただいていると出版社からもご連絡がありました。

ありがとうございます!河森は泣いて喜んでおります!

 

今日のブログでは、新刊の内容について、少しだけ詳しく説明したいと思います。

 

 

新刊「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」で伝えたかったこと

新刊で書いている内容は、タイトルの通り「考え方」です。

ウエイトトレーニングの具体的なハウツーものではありません。

 

今回発売になる本で書いた「考え方」というのは英語でいうところの「Why」にあたります。

本ブログでも一貫して主張してきましたが、「適切なHowやWhatはWhyによって決まる」というのが私のフィロソフィーです。

HowやWhatを「手段」、Whyを「目的」と置き換えて言うこともできます。

 

私が何よりも重視している「考え方」について、これまでブログやセミナーで伝えてきたことの集大成のつもりで書きました。

なぜ、私がここまで「考え方」を重視して、伝えたかったのかについては、本の「まえがき」で詳しく説明しています。

その「まえがき」の全文掲載の許可を出版社からいただいたので、詳しくはそちらをお読みください。

まえがき:なぜ「考え方」なのか
 

アスリートが競技力を向上するために、競技の練習に加えてウエイトトレーニングを実施することが当たり前になりつつあります。あきらかにウエイトトレーニングが必要と思われるラグビーやアメリカンフットボール、陸上の投擲種目等のいわゆる筋力・パワー系競技のアスリートだけではなく、一見ウエイトトレーニングとは無縁に思えるようなトライアスロンやマラソン等の持久系競技のアスリートでも、積極的にウエイトトレーニングに取り組むケースが増えています。

そうした需要を反映してか、ウエイトトレーニングに関連した情報も、インターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて手軽に、そして多くの場合は無料で、手に入れることができるようになってきました。また、紙媒体に目を向けてみても、ウエイトトレーニングに関する本や雑誌が数多く出版されています。数十年前と比べると、ウエイトトレーニングに関連して発信される情報量は、格段に増えていると言っていいでしょう。

ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチという肩書で、アスリートの競技力向上のためのトレーニング指導をしている私の目には、そのような時代の流れは好ましいものに映ります。なぜなら、適切に計画・実施されたウエイトトレーニングによって引き起こされる体力の向上は、あらゆる競技のアスリートに恩恵をもたらしてくれるからです。

より多くのアスリートがウエイトトレーニングの必要性を認識して実践し、その恩恵を受けるようになってほしいと、心の底から願ってやみません。私もそのような流れに微力ながらも貢献したいと考えています。本書も、その一助になればという想いで、執筆しました。

 

そうした時代の流れの一方で、競技力向上のためにウエイトトレーニングなんてやる必要はない、むしろ有害である、と考えているアスリートや競技コーチがまだまだ存在することも事実です。また、必要性を感じてウエイトトレーニングに取り組んでみたものの、期待したほどの競技力向上効果を実感することができず(もしくは逆に競技力が低下してしまい)、結局ウエイトトレーニングをやめてしまった、というアスリートも数多くいるでしょう。

残念ながら、インターネットやSNS、本、雑誌等で発信されているウエイトトレーニング関連情報の中には、なんの根拠もない間違った内容や、アスリートには参考にならない・当てはまらない内容が数多く含まれています。そのような情報をもとにウエイトトレーニングに取り組んだとしても、期待したような効果が得られる可能性は低いでしょう。

それは決して、アスリートがウエイトトレーニングに取り組むこと自体に意味がないということではありません。“不適切なやり方で”ウエイトトレーニングを実施しても効果がでない、もしくは逆効果になりうるということです。逆に言うと、“適切なやり方で”ウエイトトレーニングに取り組みさえすれば、競技力向上に繋がる可能性は高いはずです。

したがって、ウエイトトレーニングに関連して発信される情報量が増えている今、求められているのは「情報を見つける能力」ではなく「情報の真偽を見極める能力」や「情報を適切に活用する能力」だと言えるでしょう。

 

情報の真偽を見極めるためには、情報発信者のバックグラウンドについて調べる、情報源(一次情報)にあたる、関連する他の情報と比べる、等のさまざまなテクニックを駆使することも有効です。

しかし、根本的に必要なのは「なぜアスリートがウエイトトレーニングをするべきなのか?」「アスリートがウエイトトレーニングを実施すると、それがどのようにして競技力向上に繋がるのか?」といった本質的な考え方を理解しておくことです。

ここで言う「考え方」とは、英語で言うところの「Why」にあたるものです。アスリートがウエイトトレーニングをすることのWhyをトコトン突き詰めて考え理解しておけば、ウエイトトレーニングの適切なやり方(HowやWhat)は自ずと見えてきます。

また、根本的な考え方(Why)をしっかりと理解できていれば、情報の真偽を見極めることができるようになるだけでなく、ウエイトトレーニングへの取り組みに対して「一本の軸」を持つことにも繋がります。ウエイトトレーニングの方向性で悩んだ時に、立ち返ることのできる原点とでも言いましょうか。この「一本の軸」を持っておけば、ウエイトトレーニングのやり方(HowやWhat)が間違った方向に進むことを防いでくれて、結果として、競技力向上に繋がる可能性を高めてくれます。HowやWhatは科学やテクノロジーの発展により時代とともに変わりうるものですが、Whyは変わることのない根源的なものなのです。

 

メディアで流れてくる情報を眺めたり、実際にアスリートがウエイトトレーニングを実施している様子を観察したりしていると、「これは間違った方向性でトレーニングを進めてしまっているな」「このやり方でトレーニングを続けても、競技力向上には繋がらないだろうな」と感じることがあります。そして、その原因を探ってみると、ウエイトトレーニングのやり方(HowやWhat)の問題というよりは、そもそも根本的な考え方(Why)の部分がズレてしまっていると思われるケースがほとんどです。

たとえば、上半身のウエイトトレーニングを実施するときに、広背筋や大胸筋等の特定の筋肉に刺激をしっかりと入れるために肩甲骨を固定させましょう、と指導される場合があります。これはHowの部分にあたるコツまたはテクニックです。「筋肉を大きくして見た目を良くする」という目的(Why)のためにウエイトトレーニングをやるのであれば、それは適切なHowなのかもしれません。

しかし、たとえば野球のピッチャーや競泳選手のように、肩周りの柔軟性や肩甲骨を動かす能力が重要な競技のアスリートが、「競技力を向上させる」という目的(Why)のためにウエイトトレーニングを実施するのであれば、肩甲骨を固定させるというHowは適切なものではないかもしれません。筋肉は大きくなるかもしれませんが、肩周りの柔軟性や肩甲骨を動かす能力が低下してしまう恐れがあるからです。むしろ、肩甲骨を適切な方向に動かして、上腕骨と連動させながら鍛えるようなHowのほうが、「競技力を向上させる」というWhyには適っているかもしれません。

だからといって、たとえばベンチプレスをやるときに肩甲骨を大きく動かそうとしてしまうと、肩に負担がかかって痛みやケガに繋がってしまうリスクがあります。そのようなケースにおいては、HowではなくWhat、つまりエクササイズそのものを、Whyに則したもの(例:腕立て伏せ)に変えるという選択のほうが適切でしょう。

また、たとえ野球のピッチャーや競泳選手であっても、肩甲骨を適切な方向に動かして、上腕骨と連動させながら鍛えるようなエクササイズをやったうえで、それではカバーしきれない弱点部位を補強するために、あえて肩甲骨を固定させて特定の筋肉にしっかりと刺激を入れるようなエクササイズを追加で実施するということであれば、大きな問題はないかもしれません。

 

ウエイトトレーニングにおいて、どのエクササイズを実施するか(What)や、どのように実施するか(How)については、さまざまな選択肢が存在します。絶対的にどれが適切でどれが不適切であるかを指摘することは不可能です。なぜなら「場合や目的による」からです。

しかし、ウエイトトレーニングを実施する目的(Why)さえ明確になれば、それに対して適切なHowやWhatは自ずと決まってきます。ある特定のWhyのためには適切なHowやWhatであっても、他のWhyのためには不適切である、ということがありうるのです。つまり、順番としてはWhyを明確に定めるのが最初であるべきなのです。

 

インターネットやSNS、本、雑誌等で発信されているウエイトトレーニング関連情報は、HowやWhatに関するものが中心です。いわゆる「方法論」的なものや「ハウツー」ものが数としては圧倒的に多いのです。それに対して、本書ではWhyの部分、つまりウエイトトレーニングに対する根本的な「考え方」にフォーカスして執筆しました。それが本書の最大の特徴です。

本書を読んで、Whyについての理解を深めていただければ、巷にあふれているウエイトトレーニングのHowやWhatに関する情報の真偽を見極めたうえで、より上手に活用できるようになるはずです。

ウエイトトレーニングをアスリートに指導する立場の読者であれば、HowやWhatだけでなく、その背景にあるWhyもしっかりと理解しておくことで、より効果的に、そしてより自信を持って適切なWhatを選択しHowを指導できるようになります。ウエイトトレーニングが間違った方向に進んでしまい、競技力向上に繋がらないという失敗を避けることもできるでしょう。

また、競技力向上のためにご自身でウエイトトレーニングをされているアスリートの読者であれば、Whyを知っておくことで適切な動き(How)に対する意識が高まり、より効果的なトレーニングに繋がるはずです。さらには、なぜそのトレーニング(What)をそのやり方(How)でやるのかについても納得感があるので、ウエイトトレーニングに対するモチベーションも高まるでしょう。

 

ぜひとも、本書を読んで、間違った情報に惑わされない「一本の軸」をご自身の中に作っていただき、ウエイトトレーニングを競技力向上に繋げる可能性を高めてください。

 

 

新刊「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」で書いている内容

この本のベースになっているのが、私が自主開催しているセミナーのテーマの1つ「S&Cコーチとして押さえておきたい考え方」です。

こちらのセミナーにご参加いただいた方にとっては、聞き覚えのある内容になっていると思います。

ただ、セミナーを何度も繰り返し実施してそのたびに修正を加え、さらに本にする段階でさらに時間を使って深く考えたので、過去にセミナーにご参加いただいた方にとっても、お読みいただく価値のある内容になっていると自信を持って言える出来になっています。

 

書籍にするうえで、議論を単純化するために、対象を「ウエイトトレーニング」に絞りました。

しかし、基本的な考え方は、それ以外のタイプのトレーニング(例:持久力トレーニング)にも十分当てはまるものです。

タイトルに「ウエイトトレーニング」と入ってはいるものの、そこはあまり気にしすぎないでいただければ。

 

具体的な内容については、目次をご覧ください。

 

 

目次

1. 練習 vs. トレーニング

1-1 練習とトレーニングは主目的が異なる

1-2 技術と体力はまったくの別物か

 

2. ウエイトトレーニングの定義

2-1 トレーニングを指す用語の分類

2-2 ウエイトトレーニングを指す用語の使い分け

 

3. アスリートがウエイトトレーニングをするべき理由

3-1 競技スポーツの目的は「勝つ」こと

3-2 他のタイプのウエイトトレーニングとの違い

3-3 練習だけで勝てるなら,ウエイトトレーニングをする必要はない

3-4 練習だけではできないことを,練習から離れて,練習とは別に実施する

3-5 練習とは別にウエイトトレーニングを実施して達成できること

 

4. トレーニングは競技力向上にどのように貢献できるか

4-1 アスリートとしてのポテンシャルを広げる

4-2 ケガをしづらい身体づくり

4-3 アスリートとしてのポテンシャルを広げるためのトレーニングと,ケガをしづらい身体づくりのためのトレーニングは別物か

 

5. トレーニングが競技力向上に繋がるまでのプロセス

5-1 入力→ブラックボックス→出力

5-2 超回復理論 vs. フィットネス−疲労理論

5-3 トレーニング効果の転移

5-4 ブラックボックスの振る舞いに影響を及ぼす要因

5-5 体力以外に競技力に影響を及ぼす要因

 

6. トレーニングの原則

6-1 漸進性過負荷の原則

6-2 特異性の原則

6-3 バリエーションの原則

 

 

まとめ

今回のブログ記事をお読みいただければ、新刊「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」を読むことで、どんな知識を得ることができるのか、なんとなく想像がついたのではないでしょうか。

まあ、飲み会1回分よりも安いはずなので、ローコストの投資だと思って、ぜひご予約をお願いいたします。

 

※2020/9/16追記:特別販売ページでの受付を終了しました。今後は、お近くの書店か、オンライン書店でお買い求めください。

 

 

 

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【編集後記】

本当の自由を手に入れるお金の大学」という本を読んで以来、著者がやられているYouTube動画を見まくっています。ちょっとした家事をやるときに、「ながら学習」みたいな感じで聞き流していますが、めちゃめちゃ勉強になりますね。ただ、動画数が多すぎて、ぜんぜん追いつかない・・・。