#831 コロナ禍の今こそ、「ピーキングのためのテーパリング」を読んでコンディション調整について学ぶべし

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Sharon mccutcheon DjrtjX obcE unsplash

 

私の前職である日本スポーツ振興センターが「コロナ禍で得た教訓:ハイパフォーマンススポーツアスリートのディトレーニングとリトレーニング」というテーマでシンポジウムを開催しています。

期間中いつでも視聴できるオンデマンド形式での開催で、今月いっぱい視聴可能です。

世界中のトップレベルの研究者がラインナップされているのに、なんと「無料」なんです!

有料でも参加したいくらいの内容なので、申し込まないと損ってもんです!

参考 コロナ禍で得た教訓:ハイパフォーマンススポーツアスリートのディトレーニングとリトレーニングハイパフォーマンススポーツシンポジウム

 

このシンポジウムでは、いろいろな分野の研究者がデータや科学的知見を紹介してくれています。

タイトルにもある通り、コロナ禍を想定して、しばらく練習・トレーニングができなかった場合に何が起こるのか、その後再開するときに何に注意すべきか、といったことが学べます。

そうした科学的知見を学び、現場での指導に活かすことはとても重要です。

 

それと同時に、コンディション調整の原理原則を理解したうえで、自分の頭を使って「練習・トレーニングをしばらく中断したらこういうことが起こるんじゃないか?」とか、「中断期間が終了して再開するときには、こういうことに注意しなきゃいけないんじゃないか?」といったことを想像できるようなスキルを磨いておくことも大切です。

スポーツ現場で働いていると、研究データが発表されるまで判断を待っていられない状況は多々あります。

また、科学的知見をそのまま当てはめられるケースのほうが少なく、目の前の状況に合わせて調整をする必要があることのほうが多いです。

それらの場合においては、すでに手に入る科学的知見を頼りにしつつ、コンディション調整の原理原則に従って、自分の頭で考えるスキルが求められます。

 

 

コロナ禍において、コンディション調整の原理原則に従って自分の頭で考えるスキルが求められるケース

コロナ禍において、コンディション調整の原理原則に従って、自分の頭で考えるスキルが求められるケースの具体例を2つ紹介します;

  • ケース①:中断期間が終わり練習・トレーニングを再開する
  • ケース②:試合・大会のスケジュールが例年とは変わる

 

ケース①:中断期間が終わり練習・トレーニングを再開する

新型コロナウイルスの感染が広がり、日常生活やスポーツ現場に影響を及ぼし始めてから2年ほどが経ちました。

私自身、トレーニング指導を担当しているアスリートが、感染したり濃厚接触者になったりして、練習やトレーニングをしばらく休まないといけないケースを何度か経験しました。

また、海外での試合から帰国したあと、しばらくホテルや自宅で隔離生活を送らないといけないアスリートもいました。

 

それらのケースにおいては、かなり運動量が下がっている状態が1~2週間ほど続くことになります。

たとえホテルや自宅で意識して身体を動かしたとしても、通常の練習やトレーニングをやっているときと比べれば、かなり運動量が下がってしまうことは避けられません。

結果として、体力がかなり下がってしまうことになるでしょう。

 

そのような状態から、練習やトレーニングを再開するときには、細心の注意が必要になります。

なぜなら、あまり急に練習・トレーニングの量や強度を戻してしまうと、ケガのリスクが跳ね上がってしまうからです。

そのようなリスクを防ぐには、量や強度をかなり抑えながら練習・トレーニングを再開して、時間をかけながら徐々に中断前のレベルまで戻していくことが不可欠です。

» 参考:新型コロナによる自粛解除後に練習を再開して数カ月後に試合がある場合に気をつけること

 

たとえ、「練習・トレーニングの中断期間が終了後、すぐに重要な試合に出場をしないといけない」というケースであっても、無理をすることは禁物です。

そのような状況においては、「重要な試合までのわずかな期間で、低下した体力を取り戻すために、一気に練習・トレーニングの量や強度を増やさなければ」と本能的に思ってしまいがちです。

しかし、そんなの無理です。

少なくとも体力に関して言えば、急激に練習・トレーニングの強度や量を増やしたとしても、中断前のレベルまで短期間で戻ることはありません。

むしろ、疲労蓄積によるマイナスの影響が体力向上によるプラスの影響を上回り、逆にコンディションを低下させた状態で重要な試合に臨むことになる可能性が高いです。

つまり、逆効果なんです。

 

そういうケースにおいて重要なのは、「重要な試合までのわずかな期間で、体力を中断期間前のレベルまで戻すのは不可能である」という現実を受け入れることです。

そのうえで、「量や強度をかなり抑えながら練習・トレーニングを再開して、時間をかけながら徐々に中断前のレベルまで戻していく」という原則に従うしかありません。

そうすることで、疲労が過剰に蓄積してコンディションが現状よりも低下することを抑えつつ、無理をしない範囲内で与えられた期間で可能な体力向上を目指す、というのが現実的に目指すことのできるベストのシナリオでしょう。

実際にどの程度まで体力レベルを戻すことが可能なのかは、中断期間中にどの程度低下しているか、再開してから試合までにどのくらいの期間があるのか、の2点によるでしょう。

 

 

ケース②:試合・大会のスケジュールが例年とは変わる

また、新型コロナウイルスの感染が広がっている時期には、試合や大会が中止・延期になってしまうケースも何度か経験しました。

多くのアスリートにとって、試合や大会のスケジュールというのは毎年・毎シーズンだいたい決まっていて同じはずです。

そこに向かって、どの時期にどのような練習・トレーニングをやるのか(=年間の練習・トレーニング計画)、というのも大体決まっていることでしょう。

 

しかし、コロナ禍においては、試合や大会の中止・延期によって、通常とは異なるスケジュールを強いられるケースが多いです。

そのような場合には、これまでの経験から確立してきた年間の練習・トレーニング計画をそのまま当てはめても、コンディション調整がうまくいかない可能性が高くなります。

スケジュールの変更に合わせて、どの時期にどのような練習・トレーニングをすべきか、量や強度をどのように増減していけばいいのか、をある意味ゼロベースで再構築することが必要になります。

 

例年とは異なるスケジュールにおいて、練習・トレーニングをどのように進めていけば、狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮できるのか?

それを考えるためには、コンディション調整の知識が必要です。

もっというと、練習・トレーニング負荷を増やしたり減らしたりすると、その結果としてコンディションがどのように変化するのか、というのをそのメカニズムから理解して想像できる能力が必要になります。

そのための基礎的な知識が「フィットネスー疲労理論」というコンセプトです。

 

「フィットネスー疲労理論」はあくまでもコンセプトにすぎず、それに基づいてコンディション調整を考えるとうまくいくことが多い、という程度のものにすぎません。

しかし、その有効性については、数学モデルを使った研究によっても支持されていますし、私自身、このコンセプトをベースにしてコンディション調整を考えると、うまくいくことが多いと感じています。

「フィットネスー疲労理論」が何を意味しているのかを理解するだけでなく、それを実際に使いこなす能力も重要で、それができればコロナ禍のようなイレギュラーなスケジュールであっても対応できるようになります。

 

 

コロナ禍の今こそ、「ピーキングのためのテーパリング」を読んでコンディション調整について学ぶべし

2つの具体例を紹介しましたが、どちらのケースにおいても共通して求められるのは:

  • 「フィットネスー疲労理論」を中心としたコンディション調整の基礎知識
  • それらの知識を目の前の状況に応じて活用するスキル

という2つの能力です。

そして、この2つの能力にプラスして、冒頭で紹介したシンポジウムでも学べるような「科学的知見」も仕入れることができれば、鬼に金棒です。

コロナ禍というイレギュラーな状況でこそ、それらを持ち合わせていない他のアスリートやチームに差をつけるチャンスでもあります。

 

科学的知見については、冒頭で紹介したシンポジウムに参加したり、論文を読んだりすることで仕入れることが可能です。

その一方で、どうしたらここで紹介した2つの能力を磨くことができるのでしょうか?

そのためにオススメの本があるので紹介します。

それは拙著「ピーキングのためのテーパリング〜狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するために〜」です。

 

この本は、もともと重要な試合に向けてのコンディション調整について書いた本です。

そして、それを成功させるために重要な基礎知識として「フィットネスー疲労理論」を詳しく解説しています。

また、いろいろな状況を想定した上で、「フィットネスー疲労理論」をどのように活用したらよいのか、その考え方について具体例を挙げながら説明もしています。

 

拙著を読むことで習得できるそれらの知識や考え方というのは、コロナ禍においてコンディション調整の原理原則に従って自分の頭で考えるスキルが求められるケースとして紹介した2つのケースにおいても、十分に活用することが可能です。

というか、コロナ禍に限らず、コンディション調整が必要となるあらゆるケースにおいて使えるものです。

もともとは「重要な試合前に向けてのコンディション調整」というかなり限られた状況を想定して書いた本ではありますが、結果として、あらゆる状況に当てはまるような知識や考え方を習得していただけるものに仕上がったと自負しています。

 

まずは、このコロナ禍で周りに差をつけてやろう!という目的で拙著を読んでコンディション調整について学んでみてください。

そして、今、コンディション調整について学んでおけば、コロナが収束した後も、ずーっと使い続けることができる知識や考え方を身につけることにも繋がるはずです。

 

 

まとめ

無料で勉強になるシンポジウムを紹介しつつ、拙著の宣伝もしてしまう。

なかなか一石二鳥な記事を書けたと自負しています。

「なんだ、ただの宣伝か」と思わず、まだ拙著を読まれていない方は、ぜひ読んでみてください。

自分で言うと胡散臭く聞こえるかもしれませんが、めちゃくちゃわかりやすくて勉強になるはずです。

拙著の内容を著者である私が解説したセミナーを収録した動画教材も販売中です。

動画 ピーキングのためのテーパリング

 

 

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【編集後記】

自宅兼ジムの土地探しが難航中です。

私の予算の範囲内で建てようと思ったら、だいぶ埼玉県の北のほうまで行かないと、条件に合う土地が出てこなさそうです。

とはいえ、あまりそっちのほうまで行ってしまうと、通ってくれるお客様がいなくなってしまいかねません。

それだと本末転倒なので、自宅兼ジムではなくて自宅のみの建築に切り替えるべきか、悩み中です。