先週末に「非持久系競技のためのHIITセミナー」を開催しました。
HIITはHigh Intensity Interval Trainingの略で、高強度インターバルトレーニングのことです。
HIITに関する科学的知見をベースに、現場での経験を交えて、お話をしました。
セミナー後に参加者の方から頂いたフィードバックを見る限りでは、なかなか好評だったようです。
博士号を持っているからといって、何でも詳しいってわけではない
私が自主開催しているセミナーでは、HIITだけでなく、筋肉痛とかテーパリング等のトピックについても、科学的知見と現場での経験を交えてお話をしています。
科学的知見に基づいた内容をお伝えする、というのが私の強みの1つだと自覚しており、とても大切にしています。
これは、私が大学院博士課程まで進んで、博士号を取得した経験が役立っています。
とはいえ、博士号を持っているからといって、スポーツ科学やS&Cに関することなら何でも詳しいわけではありません。
そもそも「博士号」というのは、特定のテーマについて世界最先端の研究をしたことに対して認められるものです。
たとえ同じ分野であっても、少しテーマが異なれば、それについては全く詳しくない、というのが普通です。
つまり、「博士号」という学位は、ジェネラリストではなくスペシャリストに与えられる称号なのです。
私の場合、修士号を取得した時の研究テーマは「爆発的パワー」、博士号を取得した時の研究テーマは「スレッド走」です。
これらのテーマについては、論文を読みまくったし、当時は世界最先端の研究を自身で実施したので、ある意味研究者としても「スペシャリスト」もしくは「エキスパート」と言っても過言ではありません。
しかし、HIITとか筋肉痛とかテーパリングについては、自身で研究をしたこともなく、恥ずかしくてエキスパートなんて名乗ることはできません。
それにもかかわらず、それらのテーマについて、決して安くはない値段をつけて、堂々とセミナーを自主開催できているのはなぜなのでしょうか?
それは、自分の専門テーマについて研究をして博士号を取得する課程で身に付けた「論文を読む能力」を、それ以外のテーマ(例:HIIT、筋肉痛、テーパリング)にも活用して、科学的知見を仕入れることができているからです。
S&Cコーチが「論文を読む能力」を身に付けるとドンドン知識を増やすことができる
繰り返し述べているように、私はHIITや筋肉痛やテーパリングについて自身で研究をしたことはありません。
したがって、それらのテーマについて、研究者としての実績はゼロです。
それなのに、なんでそれらのテーマについて科学的知見をベースにしたセミナーを開催できるのかというと、関連論文を読みまくったからです。
もう一度言います。
特定のテーマについて、関連論文を読みまくれば、そのテーマについて自身で研究をしたことがなくても、そのテーマについての科学的知見を仕入れることは可能なのです。
そもそも、博士号を取得する研究者であったとしても、大学院に入学した時点では、自身の研究テーマについての科学的な知識はほぼゼロだったはずです。
そんな研究者の卵が、どのようにして研究テーマについての科学的知見を仕入れていったのか?
それは、関連論文を読みまくったからです。
それ以外の方法はありません!(ズバリ、断言)
私自身、大学院に入学したばかりの時は、論文を読みまくりました。
ある程度興味のあるテーマを決めて、それに関する論文を根こそぎ読みまくったのです。
そうすることで、そのテーマについて、これまでどのような研究がされていて、どのようなことがわかっているのか、あるいは、どのようなことがまだ研究されていないのかが把握できます。
そして、まだ研究されていないことの中から、自分が実際に研究をして調べたいこと(=研究テーマ)を見つけるわけです。
私の場合、修士課程のときは「爆発的パワー」に関する論文を読みまくり、博士課程のときは「スレッド走」に関する論文を読みまくりました。
また、大学院の授業で「研究の仕方」について学び、それも論文を読む能力を身につけるのに非常に役立ちました。
自分が詳しくないテーマについての科学的知見を仕入れたい場合は、そのような過程の中で身に付けた「論文を読む能力」を横展開させればいいんです。
つまり、なぜ私がHIITや筋肉痛やテーパリングについて研究をしたこともないのに、それらについての科学的知見を知っているのかというと、関連論文を読みまくったからです。
そのうえで、身に付けた科学的知見を現場で活用して経験を積み、それを合わせてセミナーでお伝えすることで価値を作り出しているのです。
べつに私みたいにセミナーを自主開催する必要はありませんが、一度「論文を読む能力」を身に付けておけば、それを横展開させることで、ドンドン知識を増やすことが可能になります。
そして、その知識はアスリートのトレーニング指導で役に立ちます。
たとえば、私がまったく知識のないテーマについて、科学的知見を仕入れようと思ったら、論文を読みまくればいいだけです。
まあ、それに最低でも数ヶ月間はかかるんですけど。
まとめ
「論文を読む能力」を身に付けるのはなかなか大変です。
しかし、研究者だって最初はその能力がゼロだったはずなのに、数年間大学院で教育を受けて、自身で研究をし、その過程で論文を読みまくることで、「論文を読む能力」を身に付けているのです。
だから、その気で勉強すればS&Cコーチだって身に付けることは十分可能なはずです。
そして、一度身に付けてしまえば、それを横展開させることで、自分の知識をドンドン増やすことができます。
これってS&Cコーチとしては大きな武器です。
世界中の頭の良い研究者たちがS&Cコーチのあなたの味方になって助けてくれるようなものです。
しかも、現在活躍している研究者だけでなく、すでに亡くなっていたり、もう引退されているような研究者たちも、彼らの残した論文を読むことであなたを助けてくれるのです。
科学的知見にアクセスする権利を手に入れるためにも、「論文を読む能力」をぜひとも身に付ける努力をしていただければ。
S&Cコーチはアスリートに努力をさせる立場なわけですから、自分も努力するのは当たり前のはずです。
動画 論文の読み方
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
スマホの回線を楽天モバイルに変えました。
もともとソフトバンクだったのを格安SIMのワイモバイルに今年変えたばかりだったのですが、楽天モバイルはプラン料金が1年間無料ということで、固定費を抑えるために試しに変えてみました。
しばらく使ってみてから、使い勝手をまたお伝えしようと思います。
少なくとも万人向けではないので、事前によく調べてからお申し込みされることをオススメします。