#514 インターバルトレーニングの休憩中は軽めのジョギングをしたほうが乳酸が除去されて疲労回復に繋がるとかって昔聞いたことあるけど、どうもそんなことはないようです

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インターバルトレーニング

インターバルトレーニング。

私が部活でバスケをしていた時にたくさんやらされました。

また、指導者となった今でも、よく使うトレーニング手法です。

簡単に説明すると、ダッシュして休憩してダッシュして休憩して・・・を繰り返すトレーニングです。

ダッシュと言っても、走るだけではなく、バイクを漕ぐ場合もあれば、ロウイングマシンを使う場合もあります。

ダッシュのような高強度での運動は長時間継続することが難しいので、間に休憩を挟んで繰り返すことにより、高強度で運動をするトータル時間を増やし、トレーニング刺激を強めようというのがインターバルトレーニングという形式を採用する一般的な理由です。

» 参考:高強度インターバルトレーニング(HIIT)が流行っているけど、そもそも「インターバル形式」を採用する理由って何?

 

 

休憩中にジョギングしたほうが回復が促進される?

自分が部活でインターバルトレーニングをやらされていた時は、「休憩の時間はできるだけ休ませてくれよ」という気持ちでいっぱいでした。

むしろ、体育館のフロアに寝そべってそのまま寝ていたい、次のダッシュなんてやりたくない、時間よ永遠に止まれ!くらいに思っていました。

 

しかし、誰かがどこからか変な情報を仕入れてきて、「インターバルトレーニングの休憩中は完全に休むよりもジョギングをして軽く動き続けたほうが疲労回復が促進されるみたいよ」と言い出して以来、フロアの上に寝そべって休憩したいという私の願いは打ち砕かれ、キツいダッシュをした後にも休むことは許されずにジョギングを強制されて、ひたすら動き続けるというツライ日々が始まったのでした。

どう考えても休憩中は座り込んだりその場で立ったまま休んだほうがラクだと思ってたんですけどね・・・。

 

大学に入ってスポーツ科学の勉強を始めると

  • インターバルトレーニングの休憩中に軽いジョギングをすると、エネルギー源として疲労物質の乳酸が利用されて、乳酸の除去が促進されるから、疲労回復に繋がる
  • だから、インターバルトレーニングの休憩はパッシブリカバリー(何もしないで休む)よりもアクティブリカバリー(軽く運動する)の方がより速いペースで、または、より長い時間にわたってダッシュを繰り返すことができる

といったもっともらしい情報を目にすることになり、「なんか主観的には納得いかないけど、科学サマがそう言っているならそうなのかしら?」なんて思ったものです。

 

だが、しか〜し!!!

今では私、そんなこと信じていません。

逆に、アクティブリカバリーよりもパッシブリカバリーのほうが回復が促進されて、より速いペースで、または、より長い時間にわたってダッシュを繰り返すことができると考えています。

その理由は主に2つあります:

  • ①乳酸は疲労物質ではない
  • ②科学サマがそうおっしゃっている

 

①乳酸は疲労物質ではない

昔はスポーツ科学の世界でさえ、「乳酸は疲労物質だ」とされていました。

しかし、これは完全に間違いであるというのが現在の科学的な考え方です。

つまり、たとえ「アクティブリカバリーのほうが乳酸が除去される」のが真実だったとしても、それが必ずしも疲労回復を意味しているわけではないのです。

したがって、「乳酸が除去されるかどうか」を根拠にアクティブリカバリーとパッシブリカバリーのどちらが良いかを比較することじたいがナンセンスです。

» 参考:乳酸についてさらに詳しく学びたい方にオススメの動画 by 東大の八田先生

 

 

②科学サマがそうおっしゃっている

パッシブリカバリーのほうがインターバルトレーニング中の疲労を抑えて、より長く、または、より高い強度でダッシュを繰り返すことができると報告している研究論文が数多くあります。

つまり、科学サマがそうおっしゃっているのです。※詳しくは参考文献リストを参照

そうした論文をいくつも読んだことが、私が「アクティブリカバリーのほうが疲労回復を促進する!」という昔ながらの考え方に疑問を持ったそもそものキッカケでもあります。

ま、普通に考えれば、休憩中も軽強度とはいえ運動を続けるアクティブリカバリーにおいては、回復だけでなく運動をすることにもエネルギー等を使わないといけないわけなので、すべてのエネルギーや資源を回復に使えるパッシブリカバリーよりも回復が促進されるわけないんですけどね。

 

 

まとめ

「アクティブリカバリーのほうが疲労物質である乳酸をより素早く除去できるから、より高強度を維持したままより長くインターバルトレーニングを継続できる!」という考え方は、おそらく間違っています。

そういう考え方をどこかで学んだことがあるのであれば、その考え方はリセットしたほうがいいです。

もし、目的が「インターバルトレーニングをより高強度を維持したまま、または、より長く継続する」ことなのであれば、ダッシュとダッシュの間はパッシブリカバリーを採用するべきです。

99%断言できます。

 

しかし、なにがベストなやり方なのかは、目的によって変わります。

たとえば「短時間で効率的にVO2maxに近い負荷を身体にかける」ことがトレーニングの目的なのであれば、アクティブリカバリーを採用したほうがベターである場合もあります。

したがって、今回のブログ記事で私が主張していることは、インターバルトレーニングのような間欠的運動におけるパフォーマンス(1回1回のダッシュの強度、または、一定の強度のダッシュを疲労困憊まで繰り返した場合のトータル時間)という観点で言うとパッシブリカバリーのほうが良いということであって、インターバルトレーニングをやる時にはアクティブリカバリーを絶対に使うなということではないので、その点ご注意ください。

目的が変われば最適な手段もまた変わりうるのです。

 

 

参考文献

 

 

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【編集後記】 

昨日は「ピーキングのためのテーパリング」セミナーを浦和で実施しました。4/8にも同じ内容のセミナーを名古屋で実施します。5月以降は、また新しいテーマでセミナーを企画する予定です。