アスリートが競技力向上のためにウエイトトレーニングを取り入れるのは大賛成です。
ウエイトトレーニングがもたらすさまざまなメリットを享受できることでしょう。
しかし、せっかくウエイトトレーニングを取り入れたのに、「ウエイトトレーニングをやると身体のあちこちが痛くなる」と訴えるアスリートの声を聴くことがあります。
その痛みが「筋肉痛」であれば、多少はしょうがないと思います(時期や状況によっては、筋肉痛を最小限に抑える工夫は必要ですが)。
ただし、肩とか腰とか膝とか、「関節」に痛みがでるのはちょっと問題です。
同様に、ウエイトトレーニングをやっている最中に関節に痛みがあり、ウォームアップセットを何セットも繰り返してようやく痛みが和らいできてメインセットを実施することができる、というのも問題です。
ウエイトトレーニングと関節の痛み
本来、アスリートが競技力向上のための「補強」としてやるウエイトトレーニングは、痛みを我慢しながら無理してやらないといけないようなものではありません。
「ウエイトリフティング」や「パワーリフティング」といったバーベル競技のアスリートの場合は、多少の痛みを我慢してでも重いバーベルを挙げ続けないといけないことがあるかもしれません。
そもそも、競技スポーツっていうのは身体に悪いもので、時として「健康」よりも「勝利」が優先されますから。
もちろん、バーベル競技においても、痛みがひどいと練習に支障がでて「勝利」から遠ざかってしまうので、練習を継続するための最低限の「健康」が必要になるのは言うまでもありません。
» 参考:アスリートの皆さんには「競技スポーツは身体に悪い」「アスリートは一般人よりも風邪をひきやすい」という認識をぜひ持ってもらいたいです
しかし、それ以外の競技のアスリートが「補強」としてやっているウエイトトレーニングで身体が痛くなるというのは、何かがおかしいです。
そもそも、アスリートがウエイトトレーニングを取り入れる大きなメリットの1つは「健康」です。
痛みやケガのない健康な身体をつくることで、試合にも出場し続けることができるし、質の高い練習をたくさん積み重ねることができるようにもなるのです。
» 参考:「ケガをしづらい身体を作る」というウエイトトレーニングのメリットは、ケガや痛みに悩まされているアスリートだと実感しやすい
それにもかかわらず、ウエイトトレーニングをやることで関節が痛くなるとか、痛みを我慢してやり続けないといけない、というのは本末転倒です。
なにかが間違っている可能性が高いです。
もし、そのような痛みについての悩みを持たれているアスリートがいたら、ウエイトトレーニングのやり方や向き合い方について、一度見直してみたほうがいいでしょう。
むしろウエイトトレーニングをやったほうが痛みが出ない(はず)
こんなことを言うと、「ウエイトトレーニングをある程度ガシガシやったら、関節の痛みが出るのが普通なんじゃないの?そういうもんじゃないの?『必要悪』みたいなもんじゃないの?そういう痛みは、我慢しながら上手に付き合っていくものなんじゃないの?」と思われるアスリートがいるかもしれません。
しかし、そんなことは絶対にありません!
それは、本来あるべきウエイトトレーニングの姿を知らないから抱く感想です。
実際、私がトレーニング指導を担当しているアスリートの多くは、「むしろ、ウエイトトレーニングをやってるほうが痛みがでない・身体が動く・調子が良くなる」というフィードバックをくれます。
試合が立て込んだり、海外遠征が続いたりして、ウエイトトレーニングを継続して実施できていない時期のほうが、コンディションが悪いという話も聞きます。
また、彼ら・彼女らの治療やケアをしてくれているメディカル系トレーナーの方からも「ウエイトトレーニングをやっているほうが、選手の身体の状態が良い」と言っていただくことも多いです。
» 参考:ウエイトトレーニングをやったほうが「身体が動く」「痛みが消える」という経験をするアスリートがいます
関節の痛みが出ることなく、ウォームアップセットを何セットもやって痛みを和らげてからじゃないとメインセットができないということもなく、健康的にウエイトトレーニングを実施することは十分に可能です。
もし、そのようなウエイトトレーニングを経験したことがないのであれば、あなたの今のやり方が間違っている可能性が大です。
もしかしたら、「より重い重量を持ち挙げること」が目的にすり替わってしまっているのかもしれません。
それを目的にすべきなのは、ウエイトリフターやパワーリフターのような、バーベル競技のアスリートだけです。
あなたがそれ以外の競技のアスリートなのであれば、そもそも、なぜウエイトトレーニングを実施しているのか、その目的をもう一度考え直してみたほうがよいでしょう。
まとめ
一言で「ウエイトトレーニング」と言っても、さまざまなタイプのものがあります。
しかし、少なくとも、痛みを伴うようなウエイトトレーニングや痛みを我慢しながら継続しないといけないようなウエイトトレーニングは、競技力向上のための「補強」としてアスリートが実施すべきタイプのものでは決してありません。
もし、そのような悩みを抱えているアスリートがいたら、今やっているウエイトトレーニングの方法を見直したほうがいいでしょう。
アスリート自身がウエイトトレーニングを指導してもらう専門家を選べるのであれば、「より重い重量を挙げられるようになること」をアピールしている専門家よりも、「アスリートとして、より健康的な身体を手に入れること」をアピールしている専門家を選ぶことをオススメします。
もちろん、私は後者のタイプの専門家です。
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
「ゲーム・オブ・スローンズ」の動画をみながら自転車を漕いでいると、あっという間に45分くらい過ぎてしまう・・・。