#799 東京オリンピックに出場するアスリートに今知っておいてもらいたいこと

※本ブログはアフィリエイト広告を利用しています

 

Ryunosuke kikuno PUldfCtEoCk unsplash

 

為末大さんの動画

東京オリンピック開幕まで、あと2週間ほどとなりました。

出場されるアスリートには、感染対策を万全にしつつ、本番で最大限のパフォーマンスを発揮するための最高の準備を残りの時間でやってもらいたいと思います。

 

そんな東京オリンピック開幕直前のこの時期、ぜひとも出場されるアスリートに観ていただきたい動画を、先日ツイートで紹介しました。

元陸上選手の為末大さんが、3回オリンピックに出場されたご自身の経験をもとに、東京オリンピックに出場するアスリート向けに発信されているYouTube動画です。

個人的にはとても共感できる内容で、ぜひとも多くのオリンピック出場選手に観てほしくて、リツイートをした次第です。

 

 

東京オリンピックに出場するアスリートに今知っておいてもらいたいこと

世界選手権で2回銅メダルを獲得された実績のある為末さんのお話は、アスリートにとっては説得力のあるもののはずです。

ぜひとも参考にしていただければ、と思います。

 

で、ここで疑問となるのが、なんでアスリートとしての実績なんて皆無の私が、為末さんの動画を観て「これはツイッターでシェアする価値があるものだ」と思えたのか?ということです。

1つ言えるのは、私のアスリートとしての経験にもとづいているわけではないということです。

じゃあなぜかと言うと、「ストレングス&コンディショニングコーチ」というトレーニング指導やコンディション調整の専門家の立場として、科学的知見から得られた情報やそれをもとにアスリートの指導をしてきた経験上、為末さんのメッセージがとても共感できるものだった、からです。

 

一応、私は、重要な試合に向けてのコンディション調整の手法の1つである「テーパリング」について本を執筆しています。

本を執筆しているからといって、そのテーマについて第一人者であるかというと、必ずしもそんなことはありません。

しかし、少なくとも、このテーマについて本を一冊書けるくらいの知識や経験は有しているという自負はあります。

 

そんな私が、元アスリートの為末さんとは異なる立場から、東京オリンピックに臨むアスリートに対して、この時期に知っておいてもらいたいことをお伝えします。

冒頭のツイートで紹介した為末さんのメッセージと重複するところが多いですが、その点はご了承ください。

立場の異なる2人が同じことを言っているのであれば、それだけ重要なんだな、くらいに受け取っていただければ。

 

  • ①蓄積している疲労を抜くのが最優先
  • ②新しいことを導入しない
  • ③これまでやってきたことを信じる

①蓄積している疲労を抜くのが最優先

重要な試合に向けてのコンディション調整の手法の1つである「テーパリング」というのは、狙った試合前に徐々に練習・トレーニング量を減らしていく手法を指します。

このテーパリングという手法が、試合に向けてコンディションを上げていくことに貢献する主なメカニズムは「蓄積している疲労を抜く」ということです。

コンディションにとってマイナス作用がある疲労を取り除くことで、コンディションをプラスに持っていくわけです(マイナスをマイナスにすることでプラスにする)。

 

逆に言うと、試合前にさらに体力を向上させて、プラスをさらにプラスにする作用というのはあまり期待できません。

そのような作用はゼロではありませんが、効果の大きさという点では、マイナスである疲労を取り除くことによるプラス効果のほうが遥かに上回ります。

とにかく、試合前の時期になったら、最優先は「蓄積している疲労を抜く」ことなんだと覚えておいてください。

 

為末さんもおっしゃっていましたが、オリンピックのような大きな試合の前に、やり残しがないようにしたい・後悔したくない、という気持ちが湧いてくるのは自然なことです。

しかし、少なくとも体力面つまりコンディション調整の面で言うと、やリ残しがないように・後悔しないように、あれもこれも全部やっておくのはあきらかに悪手です。

疲労を取り除くことができず、場合によってはさらに疲労が溜まってしまい、コンディションが上向くことなく、オリンピックで自分の力が発揮できないリスクが高いです。

 

オリンピック直前の時期になったら、「蓄積している疲労を抜く」ことが最優先なんだ、と頭に叩き込んだうえで、さまざまな決断を下してください。

たとえば、練習やトレーニングで「あと1本、あと1セット、やろうかどうしようかな?あと5kg重くしようかどうしようかな?」と迷ったら、やらない選択をしましょう。

つまり、どうしようか迷ったら、「蓄積している疲労を抜く」ことに繋がるほうの行動を選択するのです。

別の言い方をすると、この時期になったら、攻めではなく守りの姿勢でさまざまなことを判断したほうがいいということです。

試合前のわずか数週間でパフォーマンスを一気に高めることのできる魔法のような手法は存在しません。

 

重要な試合に向けてのコンディション調整で失敗するパターンの90%以上が、練習やトレーニングをやりすぎて疲労が抜けきらなかったことである。

私見ではありますが、専門家として100%自信をもってそう言えます。

そんな典型的な失敗はぜひとも避けてください。

十分避けることのできる失敗です。

 

 

②新しいことを導入しない

オリンピックのような特別な大会に向けて、なにか特別なことをやりたくなるアスリートも多いと思います。

で、特別なことっていうのは、普段やっていないこと、つまり新しいこと、であるはずです。

残念ながら、試合直前のこの時期に新しいことを導入しても、パフォーマンスが一気に高まる可能性は低く、逆に筋肉痛になったり疲労が過剰に蓄積したりするリスクのほうが大きいです。

最悪の場合、ケガをしてしまうこともあるでしょう。

だから、この時期には新しいことを導入するのはやめたほうがいいです。

 

そもそも、それがパフォーマンス向上に大きな効果があるのであれば、オリンピック直前まで温存しておくなんておかしいです。

普段から取り入れておけばいいわけですから。

もし普段から取り入れていないのであれば、恐らくそれはそれほど大きな効果をもたらしてくれないでしょう。

プラスの効果が見込めず、マイナスのリスクがあるようなことを、オリンピック直前にやるなんてクレージーだとは思いませんか?

 

どうしても普段やっていない新しいことをしたいのであれば、体力面には関係のない、心理面のことを試してみてください。

神社にお参りに行くとか。

景気づけに欲しかった高級なものを思い切って購入するとか。

そういうことであれば、コンディション調整に負の影響を与えることはないでしょう。

 

 

③これまでやってきたことを信じる

これまでやってきたことを信じましょう!

もうこれに尽きます。

 

「これまでの練習・トレーニングで、しっかりと技術や体力を培ってきた!」と自信を持つことができれば、勇気を持って練習・トレーニング量を減らして、しっかりと疲労を抜くことができるでしょう。

同様に、「新しいことなんて導入しなくても大丈夫だ!」と自信を持つこともできるはずです。

 

オリンピックという舞台に向けて努力してきたことを今こそ信じるときです。

その蓄積がなければそもそもオリンピックに出場できていないはずだし、それがなければ良いパフォーマンスを発揮することもできません。

試合前最後の数週間だけでパフォーマンスを一気に高めよう!なんて無理です。そんな魔法はありません。断言します!

 

だから、そんな夢のようなことが起こることは諦めて、これまで培ってきた自分の実力をそのまま出せることに全力を尽くすべきです。

そのためには、疲労を抜く(練習・トレーニングをやりすぎない)、新しいことを導入しない、この2点を守ることがとても大切です。

 

 

まとめ

「東京オリンピックに出場するアスリート」というかなり数の限られた人向けにブログを書いてみました。

どのくらいのアスリートに読んでもらえるかはわかりませんが、少なくとも私がトレーニング指導を担当しているアスリートには読んでもらおうと思います。

ただ、ここで書いたことは、重要な試合に向けてコンディション調整を実施するアスリートであれば、競技レベルに関わらず当てはまる内容になっています。

多くの方に参考にしていただければ幸いです。

動画 ピーキングのためのテーパリング

 

 

|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

アップルウォッチSEを買いました。まだ全然使いこなせてないのですが、ちょっとずつ試していこうと思います。