「プログラムデザイン」をテーマとしたコースを企画するまでの経緯
私はこれまでに60回以上のセミナーを自主開催してきました。
そして、セミナーにご参加いただいた方には、アンケートへのご協力をお願いしています。
» 参考:セミナー後に「A4 1枚アンケート」を活用してフィードバックをいただく方法
そのアンケートに含めている質問の1つが「もし今後セミナーで聞いてみたいトピック等があれば教えてください」という項目です。
その回答として、ダントツで多いのが「(ウエイトトレーニングの)プログラムデザイン」に関するものです。
私としても「それだけ興味のある方が多いのであれば、プログラムデザインに関するセミナーを企画してお届けしたい」という想いはこれまでずーっと持ってきました。
ただ、なかなか実行に移すことができていなかった、というのが実情です。
「プログラムデザイン」というトピックはあまりにも範囲が広く、数時間の単発セミナーでカバーするのは不可能です。
本気でやるのであれば、単発の「セミナー」という形ではなく、数ヶ月かけて何十回かに渡って実施する「コース」のような形にせざるをえません。
もちろん、「プログラムデザイン」という壮大なテーマの表面をなぞっただけの単発セミナーを企画しても、多くの方にご参加いただける可能性は高いでしょう。
需要はあるわけですから。
ビジネス面で考えれば、たとえ単発セミナーであってもやったほうが私にとっては得です。
しかし、「数時間の単発セミナーでカバーするのは不可能だ」と考えているにもかかわらず、売上のことだけを考えてやってしまうのは、私の良心が許しませんでした。
とはいえ、しっかりとした「コース」の準備をするには膨大な時間と労力が必要になることは明らかだったので、なかなか取り組む気持ちになれなかった、というのが実際のところです。
「コース」ではなく「シリーズものの単発セミナー」へ
それでも、2020年くらいから、なんとか自分に鞭を打って「プログラムデザインコース」の準備を始めました。
プロジェクトが壮大すぎて、準備を始めることすら躊躇っていたのですが、ちょっと動き始めることにしました。
イメージとしては、オンラインで動画を視聴しながら学べるコースで、細かいトピック毎の動画を用意して、全部合わせると何十時間にもなるような感じです。
— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki)
まずは、マインドマップを使って、プログラムデザインに関連するトピックについて、考えうるものを全て挙げていくことから始めました。
そうしたら、出るわ出るわ。
改めて、プログラムデザインについて真摯に向き合おうと思ったら、かなりのトピックについてカバーをしないといけない、ということが認識できました。
その時点で心が折れそうになったのですが、とりあえず手を付けられそうなところからやってみようと考え、トピック毎にプレゼン資料の作成を始めました。
私が自主開催するセミナーにおいては、科学的知見に基づいたデータと現場での経験を組み合わせてお話をすることを意識しています。
とくに前者の「科学的知見に基づいている」という点は、博士号を持っている私の強みですし、セミナー参加者もそれを期待しているはずです。
だから、セミナーの準備をするときには、かなりの数の論文を読み込みます。
1つの単発セミナーの新作を準備するだけでも、読む論文の数はかなり多くなります。
それが、単発セミナー何十個分にもなるコースの準備ともなると、さらに大量の論文を読むことになります。
そして、ただ読むだけでなく、それらの科学的知見がどういう意味を持ち、どう繋がっているのか、ということまで考えなくてはいけません。
まさに気が遠くなるような作業です。
正直、コースの準備を進めれば進めるほど、「いや〜、このコースの準備はいつまでたっても終わんないんじゃないか?」という疑問が湧いてきました。
ちょっとやめたい気持ちにもなりました。
私自身、変に完璧主義者なところがあり、完璧なコースを作り上げようという気持ちが強すぎたのかもしれません。
とはいえ、コースの準備はすでに始めていて、プレゼン資料も作ってはいたので、途中まで出来上がったものを捨ててしまうのももったいない、という気持ちもありました。
「どうしたもんかな〜?」と悩んでいたところ、思いついたのが、キッチリとした「コース」ではなく、もう少しゆるい感じの「シリーズものの単発セミナー」を提供する、というアイデアでした。
「シリーズものの単発セミナー」とは?
「シリーズものの単発セミナー」というのがどういうものなのかというと、「プログラムデザイン」という大きなフレームワークは残しつつ、関連トピックの1つ1つを独立した単発セミナーとして提供していく、というイメージです。
たとえば、「プログラムデザイン」についてお伝えする時に、カバーすべきトピックが全部で30個あったとします。
私がもともと考えていた「コース」の場合、参加者の皆さんには「コース」全体に対して数十万円の参加費をお支払いいただき、30個のトピック全てについての講義を受けていただく、という形になるはずでした。
一方、「シリーズものの単発セミナー」の場合は、「プログラムデザイン」に関連する30個のトピックについて、それぞれ別個の単発セミナーとして提供していく、という形です。
後者の形であれば、30個のセミナーすべてを受講していただく必要はなく、自分に必要だと思われるトピックだけをピックアップして受講していただくことが可能になります(もちろん、30個すべてを受講していただくことも可能です)。
受講を検討される方にとっては柔軟な選択が可能となり、メリットが大きいでしょう。
一方、講師である私にとってもメリットがあります。
「コース」という形だと、30個すべてのトピックについての準備が完成しないと提供を開始できないところ、「シリーズものの単発セミナー」という形であれば、準備ができたトピックから順次単発セミナーとして提供をすることができるという点です。
壮大なテーマである「プログラムデザイン」についての準備をすべて完成させないといけない、というのはこれまで精神的にかなり負担になっていました。
それが、準備ができたトピックから順次提供を開始すればいい、というのは精神的にかなりラクです。
できるところから始めて、ちょっとずつ進めていけば、何年かかるかはわからないけどいつかは30個のトピックすべてが完成するだろう、くらいの気持ちで取り組むことができます。
「科学的知見に基づくプログラムデザイン」シリーズの特徴
ということで、ここまで経緯を説明してきたとおり、今回「科学的知見に基づくプログラムデザイン」シリーズと題して、一連の自主開催セミナーの提供を開始します。
このシリーズのセミナーを受講することで何が学べるのかをイメージしていただくため、その特徴について何点か説明しておきます:
- ①競技力向上を目指しているアスリートを対象としたプログラムデザインについての講義である
- ②主にウエイトトレーニングのプログラムデザインについての講義である
- ③できる限り科学的知見に基づきつつ、そこに現場での経験や河森個人の考えを混ぜてお伝えする
- ④場合によっては他のセミナーで解説している知識が必要になる
①競技力向上を目指しているアスリートを対象としたプログラムデザインについての講義である
プログラムデザインといっても、誰を対象としているのか、何を目的としているのか、によって最適なやり方は異なります。
たとえば、ボディビルダーのように見た目をよくしたい場合と、健康増進を目的としている一般の方の場合と、競技力向上を目指しているアスリートの場合とでは、まったく話が違ってきます。
今回提供を開始する「科学的知見に基づくプログラムデザイン」シリーズにおいては、競技力向上を目指しているアスリートを対象としたプログラムデザインについてお伝えする予定です。
いわゆる「ストレングス&コンディショニング(S&C)」の観点でのプログラムデザインについてのお話になります。
②主にウエイトトレーニングのプログラムデザインについての講義であること
競技力向上を目指しているアスリートに対しては、さまざまなタイプのトレーニングのプログラムデザインをする機会があるでしょう。
ウエイトトレーニングだけに限らず、たとえば持久力トレーニングやムーブメントトレーニングを指導するケースもあるはずです。
しかし、今回提供を開始する「科学的知見に基づくプログラムデザイン」シリーズにおいては、主にウエイトトレーニングに焦点を絞ってお話をしていきます。
③できる限り科学的知見に基づきつつ、そこに現場での経験や河森個人の考えを混ぜてお伝えすること
「科学的知見に基づくプログラムデザイン」シリーズと名付けたくらいなので、できるだけ科学的知見に基づいた内容をお伝えするよう努力します。
しかし、プログラムデザインに関するトピックすべてについて、十分な量の科学的知見が存在するわけではありません。
まだまだ研究されていない未解明の部分もたくさんあります。
また、まったく同じ科学的知見(=研究結果)に基づいてたとしても、それをどう解釈してどう実践に活かすのが最適なのかは、状況によって変わります。
したがって、科学的知見が不足しているトピックについてお話するときや、科学的知見をどう解釈して活用するのかを解説するときには、現場での経験や私個人の考えが混ざった形でお伝えすることになります。
できる限り、どこまでが科学的知見に基づいた客観的なデータで、どこからが個人の意見なのかを明確にしながらお話したいと考えています。
④場合によっては他のセミナーで解説している知識が必要になる
シリーズものとはいえ、単発セミナーとして提供するわけなので、基本的にはそのセミナーだけを受講していただければ全体が理解できるようにしたいと考えています。
とはいえ、プログラムデザインに関するさまざまなトピックはお互いに影響を及ぼし合う部分も多々あるため、どうしてもそのセミナーのテーマから外れる内容についての知識が必要になる場面もでてきます。
そのようなケースにおいては、軽く説明するだけにとどめ、「詳しくは〇〇をテーマにしたセミナーを別途ご受講いただければ」とお伝えせざるをえないこともあるでしょう。
プログラムデザインというテーマの性質上、完全に避けることはできないものと、予めご了承いただければ幸いです。
イメージとしては、一話完結型のドラマシリーズみたいなものになると思います。
事前知識がなくてもその一話だけを視聴すれば楽しめるけど、シリーズを通して視聴するとより深く楽しめる、みたいな感じです。
まとめ
ということで、今後提供を開始する「科学的知見に基づくプログラムデザイン」シリーズについて、ここに至るまでの経緯と、受講することで何を学ぶことができるのか、を説明をしました。
受講を検討される際の参考になれば幸いです。
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
最近テレビやネットでよくお見かけする成田悠輔さんの著書を読みました。
頭の良い人の文章を読むと、こちらの脳ミソが活性化されますね。
面白かったです。