#570 【アスリート向け】「従来の筋力トレーニングはサッカーの試合とは環境や受け取る刺激が違うのが欠点だ」というインタビュー記事を読んでの私の感想

※本ブログはアフィリエイト広告を利用しています

 

People 1284253 1280

 

数日前にネットで読んだインタビュー記事です。

読んでいて、とても違和感を覚えました。

すぐにTwitter等で反応しようかとも思いましたが、感情的になって個人攻撃みたいになっても良くないと思い、ちょっと自分を落ち着かせてから、数回繰り返し読んでみました。

少し寝かせてみて、冷静になってから読んでみても、やはり違和感はなくならなかったので、私なりの感想をブログで書き残すことにしました。

 

 

どこに違和感を覚えたか

上述のインタビュー記事を読んで違和感を覚えた箇所は複数あります。

しかし、それらをすべて取り上げて、箇条書きで1つ1つ説明していくのは不毛なので、全体的なテーマで違和感を覚えた本質的な部分だけ取り上げます。

それは、「従来の筋力トレーニングはサッカーの試合とは環境や受け取る刺激が違うのが欠点だ」という主張です。

さらには、その欠点を補うための方向性の1つとして「ジムでの筋力トレーニングをサッカーに近づけていく」というのも違和感を覚えました。

それぞれについて、なぜ違和感をおぼえたのか、解説していきます。

 

 

トレーニングとサッカーの試合が違うのは欠点!?

まず、「従来の筋力トレーニングはサッカーの試合とは環境や受け取る刺激が違うのが欠点だ」という主張ですが、これは私に言わせればまったく逆です。

「サッカーの試合とは環境や受け取る刺激が違う」というのは欠点ではなく、むしろ利点です。

 

そもそも、練習だけやっていればサッカーに必要な体力を向上することができるのであれば、トレーニングなんてやる必要はありません。

だけど多くの場合は、競技練習中に身体が受け取る刺激だけでは体力を最大限に向上させるには不十分なので、あえて競技練習とは別のことを補強としてやる必要があり、それがトレーニングの役割なわけです。

つまり、トレーニングの本質は競技練習とは違うことをやる点にあるのです。

そのような「考え方」については、私の著書を読んでいただけば、さらに深くご理解いただけるはずです。

 

 

ジムでの筋力トレーニングをサッカーに近づけていく!?

上述のインタビュー記事では、「ジムでの筋力トレーニングをサッカーに近づけていく」ために行っていることの例がいくつか紹介されています:

  • サッカーではいろいろな状況で大臀筋を使うので、大臀筋を鍛えるトレーニングも何種類もやっている
  • サッカーでは1つのアクションがあってから2分も3分も休憩できないから、トレーニングでもほとんど休憩は取らない

そもそも「トレーニングの本質は競技練習とは違うことをやる点にある」ということを理解できていれば、トレーニングを競技に近づけようとすることが、いかにナンセンスであるかもわかるはずです。

 

上の例でいうと、大臀筋を鍛えるトレーニングを何種類もやっていること自体は全然アリです。問題ないです。

しかし、その理由付けとして「サッカーではいろいろな状況で大臀筋を使う」点を挙げるのは、しっくりきません。

サッカーの試合で大臀筋を使う状況なんて何十も何百もあるはずですし、それらをすべてトレーニングで再現しようとしたら同じだけの数のエクササイズが必要になってきますが、そんなの現実的ではありません。

そもそも、サッカーの試合中に起きるシチュエーションをトレーニング中に再現しようと考えること自体が不毛なのです。

だったらサッカーの試合をやればいいんですから。

 

サッカーの試合中は2分も3分も休憩できないからトレーニングでもほとんど休憩を取らない、というのも違和感があります。

そんなことを言うんだったら、サッカーの試合で十数種目のエクササイズを次から次に実施する状況だってないでしょう?と思うわけです。

そんなにサッカーの試合の状況にトレーニングを近づけたいのであれば、サッカーの試合だけやってればいいでしょうというお話になるわけです。

 

つまり、「ジムでの筋力トレーニングをサッカーに近づけていく」という考え方を突き詰めていくと、最終的には「だったらサッカーの試合をやればいいでしょう」ということに行き着きます。

だってサッカーをやること以上にサッカーに近いトレーニングなんて存在しないんですから。

で、すでに述べたように、「サッカーだけやっていて必要な体力を向上することができるのであれば、トレーニングをやる必要はありません」「だけど多くの場合は、競技中に身体が受け取る刺激だけでは体力を最大限に向上させるには不十分なので、あえて競技練習とは別のことをやる必要があり、それがトレーニングの役割なのです」ということに最終的にはなるわけです。

 

 

まとめ

そもそもなぜトレーニングをやるのか?という本質をしっかりと理解しておけば

  • 従来の筋力トレーニングはサッカーの試合とは環境や受け取る刺激が違うのが欠点だ
  • その欠点を補うための方向性の1つとして、ジムでの筋力トレーニングをサッカーに近づけていく

といった誤った方向に進んでしまうのを防ぐことができるはずです。

 

べつに私がこのような主張をしたところで、すべての人が賛成してくれるとは思っていませんし、上述のインタビュー記事の内容のほうがスゴイと捉える選手やコーチも多くいることでしょう。

「河森はサッカーのこと何も知らないくせに、サッカー最前線の地であるヨーロッパで活躍している人に文句言ってんじゃねえよ」と思われるかもしれません。

今回のブログの意図は、すべての人に私の考え方に賛同してもらうことでも、個人攻撃をすることでもありません。

ただ、いわゆる「従来の筋力トレーニング」に真剣に取り組んでいるサッカー選手が(私のパーソナルトレーニング指導のクライアントさんも含めて)、上述のインタビュー記事を読んで、自分のやっていることに不安を覚えたりするかもしれないという危機感がありました。

そこで、上述のインタビュー記事とは異なる考え方を提供して、「それでいいんだよ」と背中を押してあげることができればと思い今回のブログを書きました。

いろいろな考え方を知っていただいたうえで、どれがもっとも本質をついているかを判断していただければ。

 

 

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

昨日はパフォームベタージャパンサミットに行ってきました。

場所が八王子で遠かったですが、バスケ男子日本代表のS&Cコーチである阿部勝彦さんの講義・実技を受けたくて行ってきました。

講義・実技が終わったあとも阿部さんと立ち話をして、いろいろと情報収集することができたので、アースフレンズ東京Zでのトレーニング指導に活かしたいと思います。