スーパーセットは2つ以上のエクササイズを組み合わせて、1セット毎に順番に実施する方法を指します。
詳しくは過去のブログ記事をご覧ください。
スーパーセットを利用する最大の利点は「時間効率」です。
組み合わせた各エクササイズのパフォーマンスを低下させることなく、より短時間で同じ量のトレーニングを実施することができるので、状況に応じて上手に活用できれば、非常に大きな武器になります。
また、組み合わせによっては(特に主働筋と拮抗筋をペアにした場合)、スーパーセットを用いることでパワー発揮が増大される可能性も示唆されています(Baker & Newton 2005)。
しかし、 何でもかんでもスーパーセットとして組み合わせれば良いってもんじゃありません。
あくまでも「それぞれのエクササイズのパフォーマンスを低下させない」という前提が成り立って初めて、有効な方法になるのです。
組み合わせることで、それぞれのエクササイズのパフォーマンスが低下してしまっては元も子もありません。
上で紹介した過去のブログ記事では、上半身の主働筋・拮抗筋ペアの組み合わせ(ベンチプレスとベンチプル)を利用したスーパーセットが有効かつ効率的であると報告している論文を紹介しました(Robbins et al. 2009)。
今日のブログでは、スクワット(下半身もしくは全身エクササイズ)とベンチプレス・ベンチプル(上半身エクササイズ)を組み合わせた時の、スクワットのパフォーマンスに対する影響を調べた論文を紹介します。
論文の内容
研究プロトコル
筋トレ経験者が80%1RMの重量でスクワットを4セット(最初の3セットは4レップ、最後のセットはconcentric failureに到達するまで可能な限りのレップ数を実施)、2つの異なる条件下で実施した。
- Traditional set:セット間レスト3分でスクワットのみ実施
- Alternating set:スクワットのセット間レスト中にベンチプレスとベンチプルを実施
Alternating setでは、ベンチプレスとベンチプルは80%1RMで4レップずつ実施され、エクササイズ間のレストは約50秒で、スクワットのセット間のレストはTraditional setと同じ3分であった。
結果
スクワット4セット目のconcentric failureまでのレップ数は、Traditional setのほうがAlternating setよりも有意に多かった。
2つのコンディションでレップ数を揃えて比較した時、4セットトータルの平均パワーは、Traditional setのほうがAlternating setよりも有意に多かった。
考察
この研究の結果から言えるのは、「スクワット(全身エクササイズ)とベンチプレス・ベンチプル(上半身エクササイズ)をスーパーセットで組み合わせると、スクワットのパフォーマンスに悪影響を及ぼすリスクがある」ということです。
なんでもかんでもスーパーセットにして組み合わせれば良いってわけじゃない、ということを示唆したデータです。
一方で、Alternating setのほうが時間効率が良いことは間違いありません。
それはスーパーセットを利用する確実なメリットです。
したがって、スクワットのパフォーマンスが多少低下するというデメリットと、時間効率(=数分程度の時間短縮につながる)というメリットを天秤にかけて、スーパーセットを利用するかどうかを決定すれば良い、ということになります。
まとめ
今回紹介した研究結果をどう解釈してどう活用するかは目的や状況によって変わります。
たとえば、トレーニング時間に制限がない状況であれば、スーパーセットを活用して数分間の時間短縮を図るよりも、スクワットはスクワットのみで実施して、しっかりベストのパフォーマンスを発揮することで最大限のトレーニング刺激を身体に与えてあげよう、という選択をすることになるでしょう。
一方、シーズン中などで与えられたトレーニング時間に限りがある場合は、スーパーセットにすることでスクワットのパフォーマンスが多少低下してしまうというデメリットよりも、短時間でより多くのエクササイズ・トレーニング量を完了できるというメリットを活かすためにスーパーセットを選択することもあるでしょう。
「なんでもかんでもスーパーセットにすれば良いってもんじゃない」という点を肝に銘じたうえで、ケース・バイ・ケースでスーパーセットの採用・不採用を決めるのが重要です。
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【編集後記】
アジフライを醤油で食べるのがマイブームです