いよいよ緊急事態宣言が出され、ジムでウエイトトレーニングをするのが難しい状況になってきました。
自宅にダンベルとかバーベルがある人は少ないと思うので、それ以外の大多数の方は、自体重やらゴムバンドやら家にあるものを使って工夫をしながらトレーニングをする必要があります。
最近は、自宅で実施可能なエクササイズの動画がSNSに数多くアップされているので、それらを参考にされるのも良いかと思います。
自宅トレで軽い重量しか使えなくても追い込むまで回数をこなせばなんとかなる!
しかし残念ながら、どれだけ工夫をしても、自宅トレーニングにおいてバーベルやダンベルほどの高負荷を身体にかけることは難しいです。
逆に言うと、だからこそバーベルやダンベルという昔からあるトレーニング器具は素晴らしいとも言えるわけですが。
自宅トレーニングでは、負荷とか強度という観点ではどれだけ工夫をしても限界があります。
とはいえ、他の部分で工夫をすることはできます。
それは量をこなすということです。
高負荷と軽負荷でのウエイトトレーニングを比較した研究をまとめてメタ分析をした結果(Schoenfeld et al. 2017)によると:
- ①筋肥大効果については、高負荷と軽負荷で差がない
- ②筋力向上については、高負荷のほうが効果が高い
ということが報告されています。
ただし、この研究結果が当てはまるのは「各セットで限界まで追い込んだ場合」という条件があります。
つまり、適切なフォームでそれ以上のレップをこなせなくなるまで追い込んだ場合は、少なくとも筋肥大効果については、高負荷と軽負荷とで差が見られないということです。
したがって、自宅でウエイトトレーニングをする場合、高負荷で実施することは難しいですが、軽負荷であっても、限界まで追い込んでトレーニングをすることで、ある程度のトレーニング効果を得ることが期待できるのです。
状況や場合に応じて、研究結果の解釈が変わるのはOK
今回紹介したSchoenfeld et al. 2017のメタ分析の結果は、以前のブログ記事でも紹介したことがあります。
#660 持久系アスリートが軽い負荷で高レップ数(しかも追い込むまで)の筋トレをやらないほうがいい理由を科学的に説明してみた
その時には「筋肥大効果は同じくらいで筋力向上効果は高負荷のほうが高いんだから、軽負荷を使って追い込むようなトレーニングをするなんてナンセンスだ!」という趣旨の文章を書きました
この考え方は今でも変わっていません。
その一方で、まったく同じメタ分析の結果を引用して、今回は「軽負荷で追い込むまでトレーニングすればなんとかなります!」と主張しているのは、矛盾しているのではないか?と思われる読者もいるかもしれません。
でも、そんなことはまったくありません。
あくまでも、緊急事態宣言がだされて自宅でのトレーニングを余儀なくされている現在の状況においては、軽負荷で追い込むまでトレーニングをするのがベストなやり方である、というだけです。
状況がよくなり、再びジムでバーベルやダンベルを使ってトレーニングをできるようになったら、高負荷でトレーニングしたほうがいいです。それは間違いありません。
まったく同じ内容の科学的知見であっても、状況や立場が変われば、その解釈の仕方は変わりうるのです。
この点については、以前のブログ記事でも解説しているので、そちらも合わせてチェックしていただければ。
#174 【論文レビュー】ちょっとトレーニング中断しても、長期的な筋力アップにはそれほど影響しない?
まとめ
なんとか自宅トレでも工夫をして、できる限りトレーニング効果を維持しつつ、自粛期間が終わるのを待ちましょう。
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【編集後記】
そろそろヘアカットに行きたいのですが、美容室も休みになっちゃうんですかね・・・。