#755 「ウォームアップ」と一言で括らずに、シチュエーションによる違いを意識しよう!

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最適な「ウォームアップ」というのは、多くのアスリートや競技コーチ、S&Cコーチが関心を持たれるテーマでしょう。

それに関して書かれた本や記事も多くありますし、それを研究テーマとした論文も数多く発表されています。

それらの情報を集めて、自分たちにとって最適なウォームアップを作り上げようと努力されている読者も多いでしょう。

 

しかし、やみくもに「ウォームアップ」に関する情報を集めても、自分が求めているものと一致しない場合があります。

あるいは、特定のシチュエーションにおいては最適なウォームアップが、他のシチュエーションでは最適ではない、ということもありえます。

そのような混乱が生じる理由は、あらゆる種類のウォームアップを一括にしてしまっていることだと思います。

 

今日のブログでは、ウォームアップをシチュエーションによって分類をして考えてみます。

ここで紹介する分類を念頭において、ウォームアップに関する情報を収集したり、最適なウォームアップを考えたりできると、だいぶ頭の中が整理されるはずです。

 

 

シチュエーションによるウォームアップの分類

ウォームアップを別な言葉で表すと「準備運動」です。

この「準備運動」という表現のほうが、ウォームアップの目的を的確に表していると言えるかもしれません。

つまり、ウォームアップというのは、何かしらの運動や活動をする前に、それに向けて準備をするために実施する運動だということです。

ということは、その後にどのような運動や活動を実施するかによって、最適なウォームアップというのは変わるはずです。

したがって、ウォームアップを考えるときには、何に向けての準備なのか、何をする前の準備のことを指しているのか、をまずは把握しておくことが大切です。

 

一般的にアスリートがウォームアップをする場合、以下のような活動に向けての準備として実施する場合が多く、そのシチュエーションによってウォームアップを分類しておくと、頭の中を整理しやすいです:

  • ①試合前
  • ②練習前
  • ③トレーニング前
  • ④体力測定前

 

①試合前

ウォームアップと聞くと試合前のウォームアップを思い浮かべる方が多いかもしれません。

試合において、できるだけ高いパフォーマンスを発揮するために、どのような準備をしたら良いかについては、多くの方が関心を持たれていることでしょう。

 

試合前に実施するウォームアップの主な目的は、パフォーマンス向上とケガの予防です。

そのために、ウォームアップで具体的にどんなことをするべきなのかを考えるのが大切です。

 

 

②練習前

ウォームアップはなにも試合前だけに実施するわけではなく、日々の練習の前にも実施するものです。

練習前に実施するウォームアップの目的には、試合前の場合と同様に、パフォーマンス向上とケガの予防があります。

 

それに加えて、練習前のウォームアップには、「トレーニング」的な要素も取り入れることができます。

練習前のウォームアップというのは、実施する頻度が高いので、たとえ量が少なくとも、高頻度で繰り返すことで効果が得られるようなドリルやエクササイズを取り入れるには最適なのです。

たとえば、ウォームアップの最後に全力のスプリントを1本だけ取り入れるとか、曲がる・止まる等のムーブメントスキルを鍛えるようなドリルを数個取り入れるとか。

 

あくまでもウォームアップの一環として行うので、量を多くガッツリやってしまうと疲れてしまってその後の練習に悪影響を及ぼしてしまいます。

したがって、この「トレーニング」的な要素を取り入れる場合には、量は少なく抑えておくことがポイントです。

とはいえ、1回ごとに実施する量は少なくても、毎回の練習前にやるのであれば頻度は高くなるので、その蓄積効果は決して無視できないものです。

 

そのような「トレーニング」的な要素も取り入れることができる、という点が、練習前のウォームアップが試合前のそれとは異なる点です。

他にも、試合前はウォームアップを行える環境や時間、タイミング等が制限される可能性がある一方で、練習前はそのような制限は比較的少ないというところも異なります。

したがって、試合前と練習前とでは、最適なウォームアップの内容は変わってくるのが当然です。

 

 

③トレーニング前

すでに言及した試合前と練習前以外にもウォームアップをする機会があります。

それは、トレーニングをする前です。

また、トレーニングといってもいろいろな種類があり、大雑把に分けるとウエイトトレーニング、持久力トレーニング、ムーブメントトレーニングの3つに分類できるでしょう。

 

持久力トレーニングやムーブメントトレーニングは練習の一部として実施される場合も多く、そういうケースにおいては、練習前のウォームアップで事足ります。

仮に単独のセッションとして持久力トレーニングやムーブメントトレーニングを行う場合は、練習前に実施するウォームアップとほぼ同じ内容が適していることがほとんどでしょう。

 

一方で、ウエイトトレーニング前に実施するウォームアップは、他のシチュエーションとは少し異なる特殊な必要性があるでしょう。

大きな目的としてはパフォーマンス向上とケガの予防という点では同じです。

しかし、試合前や練習前には必要な息を上げるようなタイプの運動は、ウエイトトレーニング前にはとくに必要ありません。

モビリティドリルやアクチベーションドリル等が中心になるでしょう。

 

 

④体力測定前

定期的に体力測定をしているのであれば、その前にしっかりとウォームアップを実施することを考える必要があります。

体力測定前ウォームアップの主な目的は、ケガのリスクを抑えつつ、最大限のパフォーマンスを発揮することです。

そういう点では、試合前ウォームアップと状況は似ています。

 

ただし、体力測定前というシチュエーションでのウォームアップにおいて、とくに気にする必要があるのは、毎回同じ内容にする、という点です。

体力測定を定期的に実施する場合、体力の変化を評価するのが目的でしょうから、できるだけ条件を揃えて比較することがとても大切です。

毎回ウォームアップの内容がコロコロと変わってしまうと、体力測定結果に変化があったとしても、実際に体力が変化したのか、ウォームアップの違いによるものなのか、区別がつかなくなってしまいます。

 

 

まとめ

一言で「ウォームアップ」といっても、大きく分けて試合前・練習前・トレーニング前・体力測定前の4つのシチュエーションがあります。

共通する部分が多いとはいえ、それぞれ目的が多少異なるので、最適なウォームアップもまったく同じわけではありません。

ウォームアップについての情報を収集したり、ウォームアップについて議論をしたりするときには、どのシチュエーションのウォームアップのことを指しているのかを明確にしておいたほうが、頭の中が整理されるはずです。

「ウォームアップ」という言葉を耳にしたり目にしたときには、それは何の活動に向けた準備のことなんだろう、と考える癖をつけていただければ。

動画 科学的知見に基づく試合/練習前ウォームアップ戦略

 

 

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