#756 「使える筋肉・使えない筋肉」っていうのは、目的によりますよ

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Anastase maragos 7kEpUPB8vNk unsplash

 

「使える筋肉・使えない筋肉」という議論をときどき目にします。

この言葉が書名の一部になっている本もあるくらいで、実は私も文章を寄稿したりしています。

 

言葉としては関心を引きやすいものですが、結局のところは目的によってどんな筋肉が使えるか・使えないのかは変わります。

そんなお話をしたいと思います。

 

 

「使える筋肉・使えない筋肉」っていうのは、目的によりますよ

筋肉を「使えない」と批判する場合には、大きく分けて2つのパターンがあるように感じます:

  • パターン①:ウエイトトレーニングで身に付けた筋肉は使えない!
  • パターン②:見た目だけ筋肉ムキムキになっても、アスリートの競技力向上には繋がらない!

 

パターン①:ウエイトトレーニングで身に付けた筋肉は使えない!

これは、いわゆるウエイトトレーニング否定派の主張です。

つまり、競技の動きを繰り返すことで身に付いた筋肉こそが「使える筋肉」であり、ウエイトトレーニングによって身に付けた筋肉は「使えない筋肉」である、という考え方です。

 

しかし、筋肉組織という点で考えると、競技練習でついた筋肉であれ、ウエイトトレーニングでついた筋肉であれ、同じ筋肉のはずです。

筋肉をつくる「たんぱく質」という観点で比べたら、たいした違いはないでしょう。

 

したがって、仮にウエイトトレーニングを実施して筋肉はついたのに、競技パフォーマンス向上に結びつかなかったとしたら、それはウエイトトレーニングで身に付けた筋肉そのものが「使えない」わけではなく、筋肉を「使いこなせていない」と考えるほうが合理的です。

つまり、筋肉組織の問題ではなく、筋肉をコントロールする脳や神経系の問題です。

「使えない筋肉」ではなく、「筋肉を使いこなせない脳や神経系」と言ったほうが正しいのです。

» 参考:【論文レビュー】トレーニングによる筋力UPは、やり方によっては競技力UPにも競技力DOWNにもつながりますよって事をコンピューターシミュレーション研究の結果をもとに考えてみる

 

場合によっては、競技の動きではまったく使われない筋肉をウエイトトレーニングで鍛えてしまっていることもあるかもしれません。

そういうケースであれば、「使えない筋肉」と呼ぶこともできるかもしれません。

しかし、それはウエイトトレーニングで身に付けた筋肉の問題ではなく、ニーズ分析に失敗し、競技には貢献しない部位の筋肉を鍛えてしまったという「ウエイトトレーニングのやり方」の問題です。

 

 

パターン②:見た目だけ筋肉ムキムキになっても、アスリートの競技力向上には繋がらない!

このパターンで「使える筋肉・使えない筋肉」という言葉を使うときには、ボディビルダーがやり玉に挙げられることが多い印象があります。

「ボディビルダーは見た目はムキムキかもしれないけど、速く走ったり高くジャンプしたりできないから、使えない筋肉だ!」みたいな感じですね。

これについては、私もいろいろなところですでに説明しているので繰り返しになってしまいますが、お付き合いください。

 

そもそも、ボディビルダーの筋肉は「使えない筋肉」で、たとえば陸上競技選手等のアスリートの筋肉が「使える筋肉」である、という議論はナンセンスです。

なぜなら、使えるか使えないかは目的によるからです。

 

ボディビルダーは、速く走ったり高くジャンプするためにトレーニングしているわけではありません。

それは彼らがトレーニングをする目的ではないのです。

ボディビルダーは見た目をよくするために鍛えているのです。そして究極的には、ボディビルディングの大会で勝つために鍛えているのです。

したがって、彼らの目的にとっては、彼らの筋肉こそ「使える筋肉」なのです。

 

速く走れたり高くジャンプできたりするアスリートがボディビルディングの大会に出場しても勝てないのであれば、そっちの目的からすると、そうしたアスリートの筋肉は「使えない筋肉」なわけです。

つまり、目的によって「使える筋肉」と「使えない筋肉」が逆転することもあるんですね。

したがって、「使える筋肉・使えない筋肉」という議論をしたいのであれば、まずは目的を明確にしないと、まったく意味がないということです。

 

 

まとめ

目的をまずは決めることが大事だということは、本ブログでもたびたび訴えてきました。

「目的」という言葉を「Why」に置き換えて説明したこともあります。

» 参考:「そもそもアスリートはなぜトレーニングするのか?」という根本的な考え方を私が重視する理由

» 参考:Whyから始めよ!ウエイトトレーニングにおける最適なフォームの決め方

 

「使える筋肉・使えない筋肉」という議論についても、究極的には目的によるので、まずはそこを明確にすることから始めましょう。

Whyが明確になって初めて、適切なHowやWhatが決まってくるのですから。

 

 

 

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【編集後記】

自宅にあるスラムダンク完全版を売ろうと思い、その前に読み直しています。今は陵南との練習試合のところを読んでいます。やはり面白い!