#96 【セミナー報告】「サッカーのピリオダイゼーション」アドバンスセミナー

公開日: : 最終更新日:2016/06/09 継続学習(セミナー、読書、DVD、ブログ)


 

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先日、表題のセミナーに参加して来ました。昨年ベーシックセミナーに参加して非常に勉強になったので、今年はアドバンスセミナーが開催されると聞いてすぐに申し込みをしました。昨年のセミナーのレポートは以前のブログで書いているので、こちらを読んでみて下さい。

去年のベーシックセミナーでは、サッカーのコンディショニングにおける基本的な考え方やトレーニングにおける原則等のトピックについてカバーされました。今年のアドバンスセミナーでは、それらの知識をもとにして、どのようにコンディショニングの長期プランを立てればよいかについて、かなり具体的に説明がされました。また、実技のパートもあり、大学サッカーチームの選手がモデルとなり、実際のトレーニングドリル等の様子を見学する事もできました。

セミナーに参加して勉強になった点をいくつか紹介します。

 

 

勉強になった点 

①オフシーズン初期にいきなりガシガシトレーニングしない+トレーニング負荷は徐々に上げていく+シーズン中もトレーニングを継続する

  • 多くのコーチ・監督はオフ明けの最初の数週間にきつい(2部練習等の量の多い)トレーニングをする傾向があるが、そうするとケガのリスクが増えるから、最初は戦術練習等の負荷の軽いセッションからスタートをして、徐々に負荷を上げていくほうが賢明
  • この時期(オフシーズン初期)、選手のコンディションは低いのにトレーニング負荷を高く設定するのは理解できない
  • 逆に、シーズンが始まると、選手のコンディションは高いのにトレーニング負荷を下げるのも理解できない

こうした発言は非常に共感ができ、うんうんそうだよな〜と頷きながら聞いていました。

特に、「選手のコンディションが低い時にトレーニング負荷を高くして(オフシーズン初期)、選手のコンディションが高い時にトレーニング負荷を下げる(インシーズン)のはなぜ?」という考え方は秀逸だと思います。

要するに、「オフシーズンはトレーニング負荷を徐々に上げていく」という事と「シーズン中もトレーニングを継続する」という事が重要なんです。前者に関しては以前コチラでお話しましたが、一気にトレーニング負荷を上げずに徐々に上げていく(=progression)という事を非常に徹底しているな〜という感想を持ちました。後者についてもコチラコチラでお話しています。

 

②柔軟性を持ち、そのまま当てはめない

  • ピリオダイゼーションはそれ自体が目的なのではなく、あくまでもプランニングのツールなので、常に柔軟性を持って、状況に応じて変えるべき
  • このセミナーではコンディショニングのプランニングにおける考え方を話しているので、私のやり方をそのままコピーはしないで下さい

サッカーのピリオダイゼーションにはいくつかの原則が存在し、その原則をサッカーの試合スケジュールに合わせて当てはめていくと、どの日がオフで、どの日に戦術練習をやって、どの日にコンディショニングを実施するか等がある程度自動的に決まっていきます。しかし、イレギュラーなスケジュールの週等は、原則同士がバッティングをして、どちらを優先したら良いのかを状況に応じて決める必要があり、そこは柔軟性を持ちながら判断するべきだという発言には共感できました。

また、セミナー中に何度も講師が強調していたのが、あくまでもコンディショニングに対する「考え方」を話しているだけだから、そのまま真似するなという点です。私自身、必ずしもサッカーを専門にトレーニング指導をしているわけではないので、あくまでも考え方を盗もうという気持ちでセミナーに参加していましたし、その考え方自体は非常に勉強になり、他のスポーツにも適用可能なものだと思います。サッカー以外の競技に関わるS&Cコーチの方でも参加する価値は十分あるセミナーだと言えます。 

 

③選手には”質”を要求する 

これは実技の時間に強調していた事です。ウォームアップのドリルを紹介している時に大学サッカーチームの選手がチンタラチンタラやっていたのを見つけて、「もしお前が俺のチームの選手だったら今頃ロッカールームに戻らせて練習に参加させないぞ!!」と非常にきつい口調で注意していたのが印象に残っています。

もともと、講師のレイモンドさんは量よりも質を重視する方で、トレーニングで100%の努力をさせるためにはウォームアップから100%の質を要求する必要があるというお話をされていました。

一見当たり前の事のようですが、自分はあそこまで徹底して厳しく選手に指導できていたかな〜と反省しました。やっぱりウォームアップからしっかり100%の質を要求してピリッとした雰囲気を作り出す事が重要だという事を改めて認識しました。

 

 

まとめ

全体的に感じたのは、「トレーニング負荷を徐々に上げるという事をめちゃめちゃ徹底している」「トレーニング計画をめちゃめちゃ綿密に立てている」「やること全てに対して(正しいかどうかは別として)めちゃめちゃ合理的な説明が準備されている」という点です。

これらは自分も意識してやっている事でしたが、レイモンドさんはその徹底度が半端ないです。相当頭が良くて、かつ完璧主義者なんじゃないかと思いました。

それはそれで尊敬できますが、一方では、あまりにも徹底しているので、一緒に働くコーチや監督との信頼関係がしっかりあって自分のやり方を理解してもらっていないと、このやり方をそのまま通すのは難しいかなとも感じます。

例えば、オフシーズン初期にガシガシトレーニングしないで軽い負荷から徐々に上げていくというのは非常に重要ですが、チームとしてオフシーズン初期にトレーニングキャンプを設定していて、監督が「この時期は戦術・技術練習は一切やらずにフィジカルだけやらせるから、徹底的にしごいてくれ」なんて言われたらどうしたらいいのかしらと思ってしまいます。まあ、それこそレイモンドさんの考え方を参考にした上で、各状況においてできるベストの事をしたらいいという事なのかもしれませんが。

コーチ教育のようなものを通じて競技コーチにもトレーニングやコンディショニングに関する知識を深めてもらうのも重要ですが 、その一方で各S&Cコーチが競技コーチに対して説明して納得してもらうだけのコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を磨くのも同じように重要なのかな〜と思いました。いろんな意味で勉強になるセミナーでした。 

 

 

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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