#235 【Twitterで頂いたコメントに対する反論】スクワットの深さに関する論文の解釈の仕方

公開日: : 最終更新日:2016/08/25 S&Cコーチとしての思考, エビデンスに基づいたトレーニング


 

Medium 1324076828

  

過去のブログ記事(#22 【論文レビュー】スクワットの深さがジャンプパフォーマンスに与える影響)を引用してTwitterで以下のようなつぶやきをしました。

それに対して、Twitter上で以下の様なコメントを頂きました。

失礼します。この論文のレビューだけで深いスクワットが必ずしもいいということにはならないと思います

その後、以下のようなやり取りがありました(議論に関係ないツイートは省略してあります)。


Twitterという、字数が限られた環境で反論するのが大変だったので、ブログで反論させてもらうことにしました。

 

私の反論

まず、「垂直跳とスポーツで用いられる各跳躍は異なる」という点について。それはその通りだと思います。しかし、元のブログ記事を読んで頂ければわかるように、私が否定・非難しているのは「スポーツ競技中のジャンプではそれほど深くしゃがまないから、クウォータースクワットの方が特異的で効果的なトレーニングができる」という思考です。つまり「向上させたい動作と可動域が似ているエクササイズのほうがトレーニング効果が高いorパフォーマンス向上に直結する」という考え方です(残念ながら、このような考えをするアスリートやコーチは多く、私がS&Cコーチとして深いスクワットをやらせようとしても「競技中はそんなにしゃがまないから意味無いじゃん」と反論されることもしばしばです)。もしこの考え方が正しいのであれば、垂直跳と可動域が似ているクウォータースクワットのほうが、垂直跳能力向上のトレーニング効果が高いはずですが、この研究ではそのような結果にはなりませんでした。つまり、この考え方を否定する1つのエビデンスになったという事です。この点において、「垂直跳とスポーツで用いられる各跳躍は異なる」という事実はまったく関係ないので、そこを指摘したりそこに拘ったりするのは的外れです。

また、私は(適切なフォームを維持できる範囲内で全可動域を使う)フルスクワット推奨派ですが、フルスクワットを推奨する理由をこの研究結果に求めてはいません。あくまでも「向上させたい動作と可動域が似ているエクササイズのほうがトレーニング効果が高いorパフォーマンス向上に直結する」という考え方を否定する目的でこの研究結果を使ったにすぎません。フルスクワットを推奨する理由については、「フルスクワットは重いウエイトを用いてより多くの筋をより大きな可動域でトレーニングできるエクササイズです。これにより、多くの筋を全可動域で鍛える事が可能になり、それがスポーツ競技のいろいろな動作のパフォーマンス向上に貢献するという考えです。」と元のブログ記事で説明しています。したがって「この論文のレビューだけで深いスクワットが必ずしもいいということにはならない」とか「必ずしも効果が『浅いもの<深いもの』と断定までは出来ない」とか「 深い浅いの良し悪しを断定することに,あの論文は十分なエビデンスかどうかというのが疑問なだけです」といった指摘も的外れです。そもそも、そんなこと言っていないので。 

 

まとめ

以上が私の反論です。それに対してさらに再反論を頂いたら、本ブログ記事を更新する形で紹介したいと思います。「的外れ」という強い言い方で反論をしてしまいましたが、個人が特定されてしまうのにも関わらず、一連のツイートを私のブログで取り上げる許可を頂いた勇気には感謝です。また、他人の主張を鵜呑みにする人よりも、自分の脳ミソで色々と考える人のほうが信用できます。これに懲りずに、今後も何かあればコメントを頂ければと思います。

 

以下は2015/1/20に追加しました。

その後

このブログ記事における私の反論に対してコメントを頂き、Twitter上で議論をしたのでそれを追加しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これとは違う流れの議論はコチラ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに別の流れの議論はコチラ↓

 

 

@ns19910626 同じ重量を用いるのであれば、より深いフルのほうがクウォーターよりも膝伸展トルクの要求度は高いと思いますが、実際にはクウォーターのほうがより重い重量を挙上できるしトレーニングでもより重い重量を使うと思うので、そんなに単純ではないと思います。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki コメントいただいたので返信すると あくまでも「推測の域を出ない」ことを改めて強調させていただきます.フォームも重量もわからないので.

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 クウォーターよりもフロントのほうが膝伸展トルクを要するという考え方の根拠は?また、「膝伸展トルクが大きい=膝関節伸筋の活動量が大きい」とは限らないと思いますが、いかがですか?

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 失礼しました.「深い」が抜けておりました”deep front squats”とあり,単純にクウォーターより深いというところからの判断です. また,トルクも発揮筋力の指標と考えます.いずれにせよこの論文では推測の域を出ないことを強調するつもりでした

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 トルクは主働筋と拮抗筋の発揮筋力の結果として表に出てくる値であって、そこから主働筋の発揮筋力を求めることはできないと思いますがいかがですか?また、二関節筋の作用等も考えると、膝関節伸展トルクを膝関節伸筋の発揮筋力に結びつけるのは単純すぎませんか?

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki たしかに現在のInverseDynamicsでは拮抗筋の筋力は測りえません.しかし,指標になり得るものであることにも変わりはありません.動作で求められるのも結局は拮抗筋主働筋の結果出てくるものです

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 例えばEMGの研究で使われる%EMGもトルクを用いた筋力計から出されています.関節トルクを用いてトレーニング負荷を考えるのは,完璧な手法ではないにせよ大きく外すものでもないでしょう

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20


 

さらに別の流れの議論はコチラ↓

 


掲載を拒否されましたが、ツイッターはオープンに誰でも閲覧可能なものなので、議論の流れを説明するため、あえて掲載させて頂きました。どの部分を載せて欲しくないのかも定かではないので。 それに、この議論が始まった時点ではツイッターアカウント名が漢字でフルネームだったはずなのですが、議論が始まるとアカウント名を変更されたようです。実名をさらして議論する度胸がないのでしょうか?こんなこと言うと「アカウント名を変えた理由はこの議論とは関係ないです」とか言われそうですが。

 

その派生議論はコチラ↓

 

 

@kawamorinaoki それは私も同感です.

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 私はそもそも「全可動域を使いましょう」という立場で指導をしています。その理由はブログ#22で説明した通りです。それを否定する「可動域近い派」の考えの間違いを裏付けるエビデンスとして論文を紹介したのです。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 「全可動域を使いましょう」という私の立場を否定する考えを否定するエビデンスがある、だからやはり「全可動域を使いましょう」つまり「だから可動域が近い云々は気にしないで深くスクワットをしましょう」という主張です。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki それはわかりました. ちなみに私の考えとしては,実際が浅いから浅いのだけ,はおかしいというのは同じです.しかし一方で,角度トルク関係から,浅い角度では大きな力を発揮できます.全可動域可能な負荷がその関節角度における力発揮に過負荷でしょうか?

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 深い角度浅い角度双方の組み合わせもまた有益なのではないでしょうか?

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 全可動域でトレーニングするのが基本ですが、それをやった上で目的に応じてpartial rangeのエクササイズも取り入れるのはアリでしょう。私は別にpartial rangeを完全否定する立場ではありません。チェーンやバンドを使うのもアリです。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 私もその考えです!一方に偏らず目的に応じることが重要です 今回はただ「深くスクワットしましょう」という発言からあのように解釈も出来るために指摘させていただきました 長々ありがとうございました.今後ともまたなにかありましたらどうぞよろしくお願い致します

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

以上になります。Twitterの複雑な時系列をまとめるのは大変でした。議論を追いやすいように、順番を一部変更してあるのでご注意下さい。この後も議論は続くかもしれませんが、ちょっと頭がこんがらがってきちゃったしキリがないので、興味のある方はツイートを読んでみてください。ありがとうございました。

ちなみにここまで議論した上での私の感想は「やっぱり、別にそこまでツッコまれるような発言はして無かったな」という事です。あくまでも主観ですが。

 

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【編集後記】

前回のブログ記事が予想外のヒットです。筋力トレーニングの傷害予防効果にこれだけ明確な根拠があるのに、傷害予防とかprehabとか言って、細々としたバランス系エクササイズばかりやっている医療系トレーナーの人は、何を考えているのか?と思ってしまいます。

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Comment

  1. watanabe より:

    議論の方、拝見させていただきました。両者共にとても勉強されているんだなと思います。ここまで議論できるので。ただアカウントの名前変更の文だけはいただけない。向こうの事を中傷しているとしか思えません。それによくみてみると本名も書いてありますそこだけみるととても大人のやることではないと思います。

  2. 遊馬広之 より:

    河森さん

    ご活躍で何よりです。

    議論の前にたかが修士課程の学生が、博士に対する態度なんでしょうか?

    相撲部屋で新弟子が横綱にこんな事したら半殺しの目に遭うと思うのですが。

    それを知って、議論にのった河森さんに感謝。
    中卒だろうが博士だろうが差別しない日本に感謝。

    ますます、ご活躍ください。

  3. Naoki Kawamori より:

    遊馬さん

    コメントありがとうございます!

    いや〜、「わからない」って怖いですよね。自分がわかっていないという事さえ「わからない」のですから。相撲に喩えて言えば、土俵の外に押し出されたのに、それが「わからない」もんだから、何度も挑みかかってくるみたいな。相撲なら行司がいて、どちらか一方が土俵の外に出た時点で取り組みを止めて勝敗を判定してくれますが、今回の議論では行司がいなかったので、自分で議論を打ち切りました。「わからない」人にどれだけ論理的に説明しても「わからない」んですから、キリがありません。でも恐らく彼はそんなこともわからずに「河森は逃げた」と思っているのでしょう。Twitterで「結局、説明はなされないのですね。できないと思います」とか言っているので。せめて読者の皆さんには議論を読んで評価して頂きたいと思います。「わかる」人が読めば「わかる」はずなので。

    議論に乗るかどうか決める上で相手の学位は基本的には気にしません。それよりも身元を明かす度胸があるかどうかで判断します。今回の議論では、最初に「ブログでTwitterのやり取りを紹介しても良いか?」と聞いたところ彼から許可をもらいました。その時点で彼のTwitterアカウント名は漢字のフルネームだったので、Twitterのやり取りを紹介したら本名がバレてしまうにも関わらずOKしてもらった、つまり身元を明かす度胸があると判断して、彼のコメントに対する反論をしました。その後、議論を続けるうちに彼から「その掲載は拒否します」と発言されたり、議論の途中でTwitterアカウント名を変更されたりしたので、「結局、度胸が足りないんだな」とシラケてしまいました。

    という事で、議論に乗るかどうか、コメントに返信するかどうかの判断に相手の学位等は関係ありません。しかし、今回のように「論文を解釈してどのようにトレーニングに活かすか」というテーマについて議論するのであれば、私が博士号を持っていてS&Cコーチとしてトレーニング指導を生業にしているという事に対して、もう少しリスペクトがあって良かったと思います。特に、自らが修士課程の学生でまともな論文を書いた経験も無い立場だったら尚更です。そのようなリスペクトが無かったから、彼の態度に遊馬さんも違和感を持たれたのだと思います。私も「よくその立場でそんなに上から目線で発言できるな」と感じましたが、そのようなことも「わからない」人なんだと考えれば腑に落ちます。

    長文失礼しました。私も少しイライラして悶々としていた部分があったのですが、キリがないからと私から議論を打ち切ったこともあり、自分の中に溜め込んでいたところ、遊馬さんからコメントを頂き、その返信を利用して吐き出させて頂きました。

  4. 佐渡夏紀 より:

    修士の学生ですが査読付き論文を既に3本、日本語ですが発表しています
    書いたことないは偏見です、そこは訂正してください

    名前に関してはタイミングが悪かったです。他でのやり取りでアカウント画像を変えるタイミングで一緒に変えてたのですが

    今回は、感情的になりました。申し訳ありませんでした
    本題に関しては本意を知り、既に同じような考えだと知ったのでここまでする必要はなかったなと思っています

  5. Naoki Kawamori より:

    佐渡さん

    上の私のコメントを読んでもらえればわかると思いますが、あなたとは建設的な議論ができないと判断したので、これ以上お相手をするつもりはありません。しかし、とりあえず謝罪の言葉をもらったので、そこに敬意を表して、もう1度だけ返信します。これが最後です。

    まず、私は「まともな論文を書いた経験もない」という表現をしました。私にとって「まともな論文」とは査読付き英文国際誌に掲載された論文です。日本語の論文は当てはまりません。「まともな論文」という表現だけでは、それが査読付き英文国際誌に掲載された論文だとは読者は分からない、と屁理屈を言われそうですが、そんなの知ったこっちゃありません。私の主観ではそういう事なんです。読者がそれを聞いて色々な解釈をしうるからと言って、それに対していちいち説明する義務が私にあるとも思いません。

    また、あなたが実際に論文を発表しているかどうかは些細な事で、問題の本質ではありません。どうでもいいことです。そんなところに食いつくなんて、そんなくだらないプライドは捨てたほうがいいですよ。

    また、人に謝罪する時は「すいませんでした」とだけ言って終えたほうがいいです。「すいませんでした。でも◯◯は訂正してください・・・」なんて言われても、ぜ〜んぜん謝罪されている気がしません。

    以上です。この私のコメントに返信したいのであれば、一応掲載は承認しますが、それに私が再びお答えすることはありません。繰り返しますが、これが最後です。

  6. 西 正史 より:

    河森さま

    初めまして。理学療法士をしております西と申します。いつもお忙しい中、有益な情報をありがとうございます。

    河森さまにとっては不本意かも知れませんが、一連のやりとりで改めて河森さまが主張されていることが確認出来ました。

    このブログのおかげで疑問に感じていたことに対するヒントをたくさん得ることが出来ておりますし、紹介されている文献、論文の読み方についても参考しております。

    こちらは無料で拝読している立場なので恐縮ではございますが、これからも楽しみにしております。よろしくお願い致します。

    西 正史

  7. 佐渡夏紀 より:

    たくさんの叱責ありがとうございました
    今回の、知らず知らず感情的になる余裕のなさは重く受け止めたいと思います

    国際誌に投稿するのは今回が初なのでacceptされるよう頑張ります

    ではではご迷惑をおかけしました

  8. Naoki Kawamori より:

    西さん

    コメントありがとうございます。
    今後も気楽にブログを書いていこうと思いますので
    もしご興味があれば読んでください。

  9. パーソナルトレーナーです。 より:

    河森さん
    初めまして。

    いつもブログ読ませて頂いてとても勉強になります。
    ありがとうございます。

    今後ともよろしくお願いします。

    上のSさんは何を言っているのかさっぱり分からないので、
    気にしない方がいいと思います。

    レベルが違いすぎますので。苦笑

  10. Naoki Kawamori より:

    http://kawamorinaoki.jp/?p=175793834
    こちらをご確認下さい

  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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