「ファンクショナルトレーニング」という言葉を最近よく目にします。
でも「ファンクショナルトレーニング」の定義はあいまいで、人によって何を指しているのかは異なります。
最新のトレーニング器具を使ったエクササイズ全般をファンクショナルトレーニングと呼んでいる人たちもいれば、「人が本来持つ機能を高めるトレーニングがファンクショナルトレーニングである」みたいにわけのわからないことを言っている人たちもいます。
それらに共通しているのは、ファンクショナルトレーニングを1つのメソッドとして売り出し、それを実施すればみんなファンクショナルになれるぜ的な主張をしている点です。
個人的には、そのような主張は非常に胡散臭く感じますし、そのような発言をしている人は信用できません。
「ファンクショナル」という言葉の意味
そもそも「ファンクショナル(functional)」という英語は、日本語に翻訳すると「機能的な」という意味合いがあります。
そして、「機能的」という日本語を辞書で調べてみると『目的を満足させるのに十分な機能を備えて、無駄がないさま』という説明があります。
これを「ファンクショナルトレーニング」の議論に当てはめて考えてみると、特定のエクササイズやトレーニングがファンクショナルかどうかは、目的によって変わってくる、ということになります。
Aという目的を達成するためにはファンクショナルなエクササイズも、Bという目的を達成するためにはファンクショナルではない、ということがありえるのです。
むしろ、あらゆる条件においてあらゆる人にとってファンクショナルなエクササイズやトレーニングメソッドなんか存在しないと言っても過言ではないでしょう。
わかりやすい例を過去にTwitterでつぶやいたので、そちらも参考にしてみてください。
箸は「つまむ」という目的のためにはファンクショナル(機能的)。でもスープ等の液体を「すくう」という目的にとってはファンクショナルではない。スプーンのほうがファンクショナル。エクササイズも一緒で、ファンクショナルかどうかは目的次第で変わるんだな〜。 なをき
— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki)
目的を特定せず「ファンクショナル」と呼ぶのはナンセンス
したがって、目的を特定することなく、あるエクササイズやトレーニングメソッドを「ファンクショナルトレーニング」と呼ぶのはナンセンスです。
それにもかかわらず「ファンクショナルトレーニング」という言葉を使っている人たちは、そのような事も理解していない残念な人であるか、もしくはナンセンスさを理解した上であえて商業的な意図で「ファンクショナルトレーニング」という言葉を使用しているかのどちらかです。
どちらにしても、やはり私はそのような人たちを信用できないな〜と思います。
まとめ
最近は色々なメディアで「ファンクショナル、ファンクショナル」と言っていてうるさいな〜と思ったので、毒を吐いてみました。
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
最近、論文査読を2件引き受けました。Journal of Strength and Conditioning ResearchとJournal of Sports Sciencesからの依頼です。ボランティアでやる割には、結構時間と労力がかかります。しかも、現在の仕事とは直接的には関係ないので、プライベートの時間を使っての作業です。大学の研究職なら査読自体がある意味業績として考えられるので、勤務中にやってもいいんでしょうけど。もはや研究者ではないので、いつまで査読を引き受けようかな〜と最近悩みます・・・。