#235 【Twitterで頂いたコメントに対する反論】スクワットの深さに関する論文の解釈の仕方

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過去のブログ記事(#22 【論文レビュー】スクワットの深さがジャンプパフォーマンスに与える影響)を引用してTwitterで以下のようなつぶやきをしました。

それに対して、Twitter上で以下の様なコメントを頂きました。

失礼します。この論文のレビューだけで深いスクワットが必ずしもいいということにはならないと思います

その後、以下のようなやり取りがありました(議論に関係ないツイートは省略してあります)。


Twitterという、字数が限られた環境で反論するのが大変だったので、ブログで反論させてもらうことにしました。

 

私の反論

まず、「垂直跳とスポーツで用いられる各跳躍は異なる」という点について。それはその通りだと思います。しかし、元のブログ記事を読んで頂ければわかるように、私が否定・非難しているのは「スポーツ競技中のジャンプではそれほど深くしゃがまないから、クウォータースクワットの方が特異的で効果的なトレーニングができる」という思考です。つまり「向上させたい動作と可動域が似ているエクササイズのほうがトレーニング効果が高いorパフォーマンス向上に直結する」という考え方です(残念ながら、このような考えをするアスリートやコーチは多く、私がS&Cコーチとして深いスクワットをやらせようとしても「競技中はそんなにしゃがまないから意味無いじゃん」と反論されることもしばしばです)。もしこの考え方が正しいのであれば、垂直跳と可動域が似ているクウォータースクワットのほうが、垂直跳能力向上のトレーニング効果が高いはずですが、この研究ではそのような結果にはなりませんでした。つまり、この考え方を否定する1つのエビデンスになったという事です。この点において、「垂直跳とスポーツで用いられる各跳躍は異なる」という事実はまったく関係ないので、そこを指摘したりそこに拘ったりするのは的外れです。

また、私は(適切なフォームを維持できる範囲内で全可動域を使う)フルスクワット推奨派ですが、フルスクワットを推奨する理由をこの研究結果に求めてはいません。あくまでも「向上させたい動作と可動域が似ているエクササイズのほうがトレーニング効果が高いorパフォーマンス向上に直結する」という考え方を否定する目的でこの研究結果を使ったにすぎません。フルスクワットを推奨する理由については、「フルスクワットは重いウエイトを用いてより多くの筋をより大きな可動域でトレーニングできるエクササイズです。これにより、多くの筋を全可動域で鍛える事が可能になり、それがスポーツ競技のいろいろな動作のパフォーマンス向上に貢献するという考えです。」と元のブログ記事で説明しています。したがって「この論文のレビューだけで深いスクワットが必ずしもいいということにはならない」とか「必ずしも効果が『浅いもの<深いもの』と断定までは出来ない」とか「 深い浅いの良し悪しを断定することに,あの論文は十分なエビデンスかどうかというのが疑問なだけです」といった指摘も的外れです。そもそも、そんなこと言っていないので。 

 

まとめ

以上が私の反論です。それに対してさらに再反論を頂いたら、本ブログ記事を更新する形で紹介したいと思います。「的外れ」という強い言い方で反論をしてしまいましたが、個人が特定されてしまうのにも関わらず、一連のツイートを私のブログで取り上げる許可を頂いた勇気には感謝です。また、他人の主張を鵜呑みにする人よりも、自分の脳ミソで色々と考える人のほうが信用できます。これに懲りずに、今後も何かあればコメントを頂ければと思います。

 

以下は2015/1/20に追加しました。

その後

このブログ記事における私の反論に対してコメントを頂き、Twitter上で議論をしたのでそれを追加しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これとは違う流れの議論はコチラ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに別の流れの議論はコチラ↓

 

 

@ns19910626 同じ重量を用いるのであれば、より深いフルのほうがクウォーターよりも膝伸展トルクの要求度は高いと思いますが、実際にはクウォーターのほうがより重い重量を挙上できるしトレーニングでもより重い重量を使うと思うので、そんなに単純ではないと思います。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki コメントいただいたので返信すると あくまでも「推測の域を出ない」ことを改めて強調させていただきます.フォームも重量もわからないので.

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 クウォーターよりもフロントのほうが膝伸展トルクを要するという考え方の根拠は?また、「膝伸展トルクが大きい=膝関節伸筋の活動量が大きい」とは限らないと思いますが、いかがですか?

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 失礼しました.「深い」が抜けておりました”deep front squats”とあり,単純にクウォーターより深いというところからの判断です. また,トルクも発揮筋力の指標と考えます.いずれにせよこの論文では推測の域を出ないことを強調するつもりでした

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 トルクは主働筋と拮抗筋の発揮筋力の結果として表に出てくる値であって、そこから主働筋の発揮筋力を求めることはできないと思いますがいかがですか?また、二関節筋の作用等も考えると、膝関節伸展トルクを膝関節伸筋の発揮筋力に結びつけるのは単純すぎませんか?

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki たしかに現在のInverseDynamicsでは拮抗筋の筋力は測りえません.しかし,指標になり得るものであることにも変わりはありません.動作で求められるのも結局は拮抗筋主働筋の結果出てくるものです

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 例えばEMGの研究で使われる%EMGもトルクを用いた筋力計から出されています.関節トルクを用いてトレーニング負荷を考えるのは,完璧な手法ではないにせよ大きく外すものでもないでしょう

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20


 

さらに別の流れの議論はコチラ↓

 


掲載を拒否されましたが、ツイッターはオープンに誰でも閲覧可能なものなので、議論の流れを説明するため、あえて掲載させて頂きました。どの部分を載せて欲しくないのかも定かではないので。 それに、この議論が始まった時点ではツイッターアカウント名が漢字でフルネームだったはずなのですが、議論が始まるとアカウント名を変更されたようです。実名をさらして議論する度胸がないのでしょうか?こんなこと言うと「アカウント名を変えた理由はこの議論とは関係ないです」とか言われそうですが。

 

その派生議論はコチラ↓

 

 

@kawamorinaoki それは私も同感です.

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 私はそもそも「全可動域を使いましょう」という立場で指導をしています。その理由はブログ#22で説明した通りです。それを否定する「可動域近い派」の考えの間違いを裏付けるエビデンスとして論文を紹介したのです。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 「全可動域を使いましょう」という私の立場を否定する考えを否定するエビデンスがある、だからやはり「全可動域を使いましょう」つまり「だから可動域が近い云々は気にしないで深くスクワットをしましょう」という主張です。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki それはわかりました. ちなみに私の考えとしては,実際が浅いから浅いのだけ,はおかしいというのは同じです.しかし一方で,角度トルク関係から,浅い角度では大きな力を発揮できます.全可動域可能な負荷がその関節角度における力発揮に過負荷でしょうか?

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 深い角度浅い角度双方の組み合わせもまた有益なのではないでしょうか?

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

@ns19910626 全可動域でトレーニングするのが基本ですが、それをやった上で目的に応じてpartial rangeのエクササイズも取り入れるのはアリでしょう。私は別にpartial rangeを完全否定する立場ではありません。チェーンやバンドを使うのもアリです。

— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki) 2015, 1月 20

 

 

@kawamorinaoki 私もその考えです!一方に偏らず目的に応じることが重要です 今回はただ「深くスクワットしましょう」という発言からあのように解釈も出来るために指摘させていただきました 長々ありがとうございました.今後ともまたなにかありましたらどうぞよろしくお願い致します

— Sado N. (@ns19910626) 2015, 1月 20

 

 

以上になります。Twitterの複雑な時系列をまとめるのは大変でした。議論を追いやすいように、順番を一部変更してあるのでご注意下さい。この後も議論は続くかもしれませんが、ちょっと頭がこんがらがってきちゃったしキリがないので、興味のある方はツイートを読んでみてください。ありがとうございました。

ちなみにここまで議論した上での私の感想は「やっぱり、別にそこまでツッコまれるような発言はして無かったな」という事です。あくまでも主観ですが。

 

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【編集後記】

前回のブログ記事が予想外のヒットです。筋力トレーニングの傷害予防効果にこれだけ明確な根拠があるのに、傷害予防とかprehabとか言って、細々としたバランス系エクササイズばかりやっている医療系トレーナーの人は、何を考えているのか?と思ってしまいます。