筋トレと持久力トレを同時に実施すると(同じ時期に平行して実施するという意味であって、必ずしも同じセッション中に実施するというわけではありません)、筋トレの効果が阻害されるという現象が知られています(英語では「interference effect」と呼ばれています)。
しかし、その阻害効果は一方通行であり、筋トレをやることによって持久力向上効果にマイナスの影響はないとされています。
» 参考:【論文レビュー】持久力トレーニングとレジスタンストレーニングを両方実施するとレジスタンストレーニングの効果が薄れる
むしろ、筋トレを実施することで、持久力パフォーマンスの向上に結びつくとする科学的知見が数多く報告されているので、持久系アスリートは積極的に筋トレを取り入れるのが良いでしょう。
» 参考:【論文レビュー】ストレングストレーニングがラン&自転車の持久力パフォーマンスを向上する
競技タイプ別に考えてみる
以上の現象を考慮に入れると、競技タイプによって筋トレと持久力トレを両方やるべきかどうかに対しての考え方が変わってくると思います。
- ①筋力・パワー系スポーツ
- ②持久系スポーツ
- ③それ以外のスポーツ
①筋力・パワー系スポーツ
ウエイトリフティングやパワーリフティングのような純粋な筋力・パワー系競技においては、持久力トレを取り入れることによるプラスの影響と筋力向上効果が阻害されるというマイナスの影響を天秤にかけると後者のほうが圧倒的に大きいため、筋トレと持久力トレを両方やらずに、筋トレ(つまり競技練習)にフォーカスするのが賢明な判断であると考えられます。
体重による階級がある競技の場合、体重を落とすために有酸素運動やインターバルトレを実施せざるをえない場合もあるかもしれませんが、そうすると筋力向上が阻害されるのは避けられません。
可能な限り、日常から栄養等に気をつけながら体重をコントロールするのが重要でしょう。
②持久系スポーツ
ロードサイクリングやマラソン、競泳長距離種目、スキークロスカントリー等の純粋な持久系スポーツにおいては、筋トレを取り入れることによるプラスの影響は非常に大きく、逆にそれによる持久力向上効果の阻害というマイナスの現象はほとんどないと考えられるので、筋トレと持久力トレを両方やるべきという結論になります。
③それ以外のスポーツ
それ以外の競技においては、筋力も持久力も両方が必要とされるため、基本的に両方のトレーニングを取り入れざるをえません。
しかし、持久力トレを実施すると筋力向上効果が阻害されるのは間違いないので、その阻害効果をできるだけ少なく抑えるような戦略を立てるのが大切になります。
いくつか例を挙げると:
- 筋トレと持久力トレを別の日に実施する
- 同じ日に実施する場合は、できるだけ時間をあける(例:6時間以上)
- 持久力トレの運動様式としてランよりもバイクを選択する
等があります。
まとめ
最近、interference effectに関する論文を読みまくっていて色々と自分なりに考えていたので、今回のブログでは、筋トレと持久力トレを取り入れる際の考え方を、競技タイプを3つに分けて簡単にまとめてみました。
動画 コンカレントトレーニング
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【編集後記】
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申し込みを頂いた方、ありがとうございました。
私の周りにも「申し込みたかったけど受付が終了していた」という方がいて、他にもそのような方がいるのではないかと思うので、同じ内容のセミナーをどこかでまた実施できればと考えています。