アスリートにとってのデッドリフト
デッドリフトは競技アスリートにとって、非常に有用なエクササイズです。
適切なフォームで実施すれば、筋力アップをはじめ、多くのトレーニング効果を得ることができます。
デッドリフトを適切なフォームでやるには、まずは適切な開始姿勢を取ることが何より大切です。
そして、適切な開始姿勢を取るためには、ある程度の柔軟性が必要になります。
その柔軟性が足りない場合は、まずはルーマニアンデッドリフト(RDL)等をやってもらい、柔軟性がある程度改善してきてから、デッドリフトを導入することになります。
代わりにスモウデッドリフトをやる!?
ただし、なかなか柔軟性が改善されなかったり、そもそも身長が高かったりしてデッドリフトが向いていない体型のアスリートもいます(注:あくまでも向いていないだけで、不可能ではない)。
そういう場合は、デッドリフトの導入までに時間がかかることがあります。
そのようなケースにおいて、アスリートあるいはS&Cコーチが焦ってしまって、デッドリフトがうまくできないから、代わりにスモウデッドリフトをやるという選択をすることがあるかもしれません。
デッドリフトでの開始姿勢を正しく取れない場合、スモウデッドリフトに変更することで、開始姿勢の問題が解決されることがあります。
後者のほうが上体をより直立にキープしやすく、ハムストリング等の柔軟性の必要性がデッドリフトよりも低いからです。
また、人によっては、体格的にもスモウデッドリフトのほうが合っているかもしれません。
もし、あなたがパワーリフターであれば、そのような選択はアリです。
自分の身体の特徴(柔軟性、体格)により適したタイプのデッドリフトを選択して、より重い重量を持ち挙げられるのであれば、パワーリフターとしては万々歳です。
しかし、もし、あなたがパワーリフティング以外の競技をしているアスリートで、デッドリフトでバーを床から引くこと自体が目的なのではなくて、あくまでも体力向上のための手段としてデッドリフトを実施しているのであれば、その選択をするのはちょっと待ってください。
そもそも、パワーリフターでもないアスリートがあえてデッドリフトを実施するのは、デッドリフトをやることで得られるトレーニング効果を期待してのことのはずです。
そして、そのようなトレーニング効果は、デッドリフトの動きをするからこそ得られるもののはずです。
それなのに、「床からバーを引く」点は同じとは言え、かなり動き自体は異なってしまうスモウデッドリフトに変更してしまうと、もともとデッドリフトで狙っていた筋群とは異なる筋群に負荷がかかり刺激を与えることになり、狙っていたトレーニング効果を引き出すことができなくなってしまいます。
それでは意味がありません。
パワーリフターは床からバーを引くことが「目的」ですが、それ以外の競技アスリートにとって、それは「手段」なのです。
あくまでも「目的」は、デッドリフトをやることにより引き出すことのできる「トレーニング効果」のはずです。
そのあたりを深く考えて理解しておけば、デッドリフトが向いていないからスモウデッドリフトに変えようなんて発想はそもそも出てこないはずです。
まとめ
S&Cコーチであれば、「手段」と「目的」というのを常に意識するのが大切です。
今回紹介したデッドリフトの例を通じて、そのあたりの理解を深めていただければ。
ちなみに、「そんなこと言ったって、いつまでたってもデッドリフトの正しい開始姿勢を取れなかったら、どうすればいいんだよ!」と思われる方もいるかもしれません。
それは、S&Cコーチの考え方次第です。
デッドリフトはあきらめて、同じような効果を引き出すことのできる他のエクササイズを選択してもいいし、バーを床から引く代わりにボックスや台の上にバーを置いて、高い位置からバーを引き始めるようにしてもいいし、柔軟性が改善されるまではRDLをやりまくってもいいでしょう。
目の前のアスリートにとって何が必要なのか、どんなトレーニング効果を引き出したいのか、等によって、最適な選択は変わるはずです。
そうした判断をできる能力も、S&Cコーチの実力だと思います。
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【編集後記】
MacBook Pro 13インチを使って、今日のブログを書きました。
これまで使っていたMacBook Air 11インチと比べると重いけど、スクリーンは大きいし、Retinaディスプレイはキレイだし、超快適です!
良い選択をしました。