バスケのBリーグもレギュラーシーズンが終わり、チャンピオンシップや残留プレーオフで盛り上がっていますね。
私はBリーグチームでS&Cコーチとして働くことに興味があります。
そろそろ来シーズンに向けて各チームのスタッフの入れ替え等が始まる時期なので、【Bリーグ特集】と題して、Bリーグやバスケ関連の記事を連発で投稿したいと思います。
私が指導できるトレーニングの種類
Bリーグチームに就任したら、S&Cコーチとしての役割は、体力面の専門家として、総合的にチームをサポートすることになります。
この「総合的に」というのがポイントで、ただ筋トレだけ教えていれば良いわけではなく、さまざまな種類のトレーニングを駆使して、アスリートとして、そしてバスケ選手としての能力を高めることに貢献する必要があります。
具体的に、私がS&Cコーチとして指導できるトレーニングの種類は大きく分けて3つあります:
- ウエイトトレーニング
- 持久力トレーニング
- ムーブメントトレーニング
それぞれの種類について詳しく説明していきます。
ウエイトトレーニング
自体重やバーベル、ダンベル等の負荷を用いて、筋力や柔軟性、爆発的パワー等の体力向上を図るトレーニングです。
私の基本的な方針として、ウエイトトレーニングにおいては基礎的なエクササイズを重視します。
スクワット、リバースランジ、ルーマニアンデッドリフト、デッドリフト、懸垂、腕立て伏せ、オーバーヘッドプレス、インバーテッドロウ等の複合関節のエクササイズを用いて、健康的なフォームと大きな可動域を徹底しながら、基礎的な筋力アップや筋量の増加、柔軟性の向上を図ります。
また、ジャンプやメディシンボールスロー等の「プライオメトリクス」と呼ばれるようなエクササイズや、クリーン・ジャーク・スナッチ等のウエイトリフティング関連種目を用いて、爆発的パワー向上も目指します。
基礎的なエクササイズを重視する一方で、ウエイトトレーニングのエクササイズをバスケの動きに近づけることはしません。
バスケの動きを真似したエクササイズを「バスケ特異的エクササイズ」と呼んだりします。
それらのエクササイズのほうがバスケの動きの向上に直結しやすいと考える風潮が一部にありますが、決してそのようなことはありません。
それらのエクササイズにおいては、用いることのできる負荷が限られるため、筋力の向上効果が著しく下がります。
また、可動域も制限されるため、柔軟性の向上にも繋がりません(むしろ低下するリスクがある)。
また、見た目はバスケの動きに似ていても、外的な負荷を加えた時点で、力を発揮するタイミングや大きさ、方向等が変わってしまうため、むしろバスケの動きを邪魔してしまう変な癖がついてしまうリスクがあります。
さらに、「バスケ特異的エクササイズ」における負荷のかけ方によっては、ケガや痛みに繋がるリスクも高まってしまいます。
ウエイトトレーニングにおいては、できるだけ健康的なフォームで大きな可動域を使いつつ、ガシガシと負荷をかけて筋力や筋量アップを図ることができる基礎的なエクササイズを重要視します。
そのうえで、ウエイトトレーニングで培った筋力や柔軟性、爆発的パワー等をバスケの動きに繋げるためには、バスケの練習をたくさんしてもらうのがベストです。
究極的には、バスケが上手くなるにはバスケをしないとダメなんです。
適切なウエイトトレーニングを実施して体力を向上することでケガのしづらい身体づくりに繋がるので、より質の高い練習をよりたくさんできるようになります。
ただし、バスケの練習だけやっていても、できるようにならない動きというものは存在します。
体力の不足がボトルネックになっているようなケースです。
そういう場合は、バスケの練習とは別にウエイトトレーニングを実施して体力を向上させておいてあげることが、バスケの練習により動作を改善することの準備を整えてあげることに繋がります。
また、ウエイトトレーニングによる体力向上をバスケの動きに繋げる手段のひとつとして、「ムーブメントトレーニング」を指導することも私にはできます。
ムーブメントトレーニングについては、この後、詳しく説明します。
持久力トレーニング
バスケの試合で高強度のプレーを続けるためには持久力の土台が必要で、そこを直接的にトレーニングするのが持久力トレーニングです。
バスケの試合では、スプリントやジャンプ等の高強度のプレーと、歩く・ジョグ等の低強度のプレーが交互に出現します。
そのような特徴を「間欠的」と表現しますが、バスケにおいては、マラソンのようにほぼ一定の強度の運動を持続するような持久力ではなく、高強度のプレーを休息あるいは低強度のプレーを間に挟みながら繰り返すような「間欠的持久力」が重要になります。
その間欠的持久力を向上するための手段としては、高強度のトレーニングと低強度のトレーニングを組み合わせるのが有効です。
前者に関しては、高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training、HIIT)と呼ばれるタイプの手法を主に用います。
ダッシュと休息を繰り返すようなトレーニングです。
HIITはバスケの間欠的な動きに似ているからという理由で取り入れている方も多いかもしれませんが、似ているからだけでなく、高強度における運動時間をトータルで蓄積するという目的のために有効な手段だから取り入れるという意味合いもあります。
一方、低強度のトレーニングは、ジョギングペースで間に休息を挟まずに長時間運動を継続するような手法です。
近年ではHIITが主流となり、低強度の持久力トレーニングを軽視する傾向がありますが、持久力向上という点では、低強度で量の多いトレーニングをすることも重要です。
両者を組み合わせるのがベストです。
しかし、低強度の持久力トレーニングの効果を得るには多くの量をこなす必要があり、時間効率という点ではあまり良くありません。
そこで、バスケの練習を「低強度の持久力トレーニング」とみなし、トレーニングの時間ではHIITを優先します。
実際に、バスケの練習の強度は試合の強度と比較しても低いとするデータも存在するので、バスケの練習そのものが低強度持久力トレーニングと同じような刺激を身体に与えてくれると想定することが可能です。
ただし、オフシーズンの序盤等で、バスケの練習量が少なく、体力トレーニングに与えられる時間が比較的多いような状況においては、HIITに加えて低強度で量の多い持久力トレーニングも取り入れます。
そして、そのような場合、可能であれば「走る」という運動様式ではなく「自転車」等の運動様式を選択します。
低強度とはいえ、量をこなす必要があるので、特に身体の大きいバスケ選手の場合、走ることによる着地衝撃が蓄積すると、ストレスが高くなり関節等の痛みに繋がるリスクがあります。
したがって、エアロバイクのような器具が十分にあるという前提で、低強度かつ量の多い持久力トレーニングをする時は衝撃の少ないバイクトレーニングを選択します。
その一方、バスケはフロア上で走りながらプレーをするため、走るという刺激を一切取り去ってしまうと、それはそれで、そのような刺激に身体が慣れていない・適応できていない状態を作り出してしまい、いざバスケの練習や試合をやろうとなった時に、逆にケガのリスクが高い状態にしてしまいます。
したがって、低強度・量の多い持久力トレーニングをやるなら走る以外の運動様式を選択しますが、HIITに関しては基本走ることを中心に実施することになります。
ムーブメントトレーニング
「ムーブメントトレーニング」というのは聞き慣れない言葉かもしれませんが、一般的にスピード・アジリティトレーニングと呼ばれているものに感覚的には近いトレーニングになります。
前・横・後etcの方向への移動をパワフルかつ効率的に行うことを「ムーブメントスキル」と呼び、そうした能力を高めるためのトレーニングが「ムーブメントトレーニング」となります。
私は朝倉全紀さんが代表を務められるShool of Movement®のコースを修了しており、Shool of Movement®が提唱しているムーブメントトレーニングを指導することができます。
私はバスケのコーチではないので、バスケのスキルを指導することはありませんが、走る・止まる・方向転換するといったアスリートとして持っておくべき基礎的な動きのスキルを指導することはできます。
効率的かつパワフルに移動するスキルを獲得することで、筋肉や関節への負担を減らし、ケガのリスクを下げることが可能となります。
また、ウエイトトレーニングを実施することで向上した筋力や爆発的パワーを、実際のコート上のパフォーマンスにスムーズに繋げていくことも、このムーブメントトレーニングの役割です。
まとめ
BリーグチームにS&Cコーチとして雇っていただけた場合に、私が提供できるトレーニングの種類を解説しました。
また、それぞれのトレーニングに対して、私のフィロソフィーについてもお伝えしました。
次回は、これらのトレーニングをどのように組み合わせて実施していくのかについて書きたいと思います。
もしご興味を持たれたBリーグのチーム関係者の方がいらっしゃいましたら、下記リンク先からお問い合わせください。
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※誠に勝手ながら、オファーを検討させていただくのは関東のチームに限らせていただきます。
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【編集後記】
Twitterでもつぶやいたんですけど、不合理だらけの日本スポーツ界という本が面白くてオススメです。
特にアメフトの件が問題になっている今、タイムリーな一冊ではないかと思います。