アスリートの年間トレーニング計画を立てる時には、オフシーズン(試合の無い時期)とインシーズン(試合のある時期)の2つの期間に分けて考えます。
私はこれまで、「オフシーズンの間だけガシガシとトレーニングをしておいて、シーズンが始まったとたんにトレーニングをやめてしまう」という風潮を批判してきました。
» 参考:オフシーズンのトレーニングだけで1年間戦えるカラダを作る事は不可能だっ!!
その一方で、オフシーズンにしっかりトレーニングを積んでおくことの重要性についても訴えてきました。
» 参考:【論文レビュー】オフシーズンの練習やトレーニングを欠席せずにしっかり参加しておくと、シーズン中の傷害予防に繋がる!
» 参考:【アスリート向け】オフシーズンにトレーニングをして下地を作っておくことの重要性
オフシーズンにしっかりトレーニングするのは重要なの?重要じゃないの?
一見すると、「オフシーズンだけトレーニングを一生懸命やっても意味ない」と言いつつ、でも「オフシーズンはトレーニングを一生懸命やりましょう!」と言っているのは矛盾しているように思われるかもしれません。
でも、そんなことはありません。
この2つのコンセプトは両立しうるものです。
そもそも「オフシーズンだけトレーニングを一生懸命やっても意味ない」という主張は、オフシーズンのトレーニングそのものを否定しているわけではなく、シーズン中でもトレーニングを継続することの必要性を訴えている表現です。
だったら、「シーズン中もトレーニングを継続しよう!」っていう直接的な言い方で主張すればいいじゃないかと言われれば、まあその通りです。
しかし、これまでの私の経験から判断すると、オフシーズンは一生懸命トレーニングするのに、シーズンに入った途端にトレーニングをピタリとやめてしまうアスリートの頭の中には、「オフシーズンの間に一生懸命トレーニングしておけば1年間戦い抜けるカラダづくりができるので、シーズン中はトレーニングしないで練習と試合に向けての調整だけやっておけばよい」という間違った考え方があるはずなんです。
だからこそ、ただ「シーズン中もトレーニングを継続しよう!」と言うだけでなく、その理由として「オフシーズンだけトレーニングを一生懸命やっても意味ない」という主張も合わせて行っているのです。
その一方で、シーズン中もトレーニングを継続するのはマストですが、試合やそのための移動・リカバリー等に時間が割かれてトレーニングに使える時間も限られるし、試合に向けて疲労を残しすぎないように調整することも必要なので、シーズン中はトレーニングの頻度や量は限られてしまいます。
したがって、ある程度時間もあって、試合も無いオフシーズンの時期にしかできないこともトレーニングとしてはあるんです。
特に、量をしっかりとこなして、下地を作っておくことはオフシーズンにしかできないことです。
だから、オフシーズンのトレーニングが重要だというのも、その通りなのです。
まとめ
ということで、2つの主張はまったく矛盾しておらず、どちらも重要ということになります。
オフシーズンもシーズン中も継続してトレーニングに取り組むのがアスリートにとっては大切です。
もちろん、オフシーズンとシーズン中でまったく同じ内容のトレーニングをすることはできないし、その必要もありません。
シーズン中は、シーズン期間の長さ・試合の頻度・トレーニングに割ける時間etcに応じて、トレーニング内容を調整することが必要です。
それをどう調整するかは、我々S&Cコーチの専門家としての腕の見せ所です。
とりあえずアスリートに知っておいていただきたいのは、オフシーズンもシーズン中も継続してトレーニングに取り組むのが重要だということです。
どうぞ、ご理解ください。
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【編集後記】
昨日は有名アスリートがヘンテコリンなトレーニングをやらされている様子をテレビで目撃しました。
別々の番組で、2人も。
まったく違うヘンテコリンでした。
だからと言って、私がどうこうできるわけでもないので、いつもどおり、自分の目の前にいるアスリートだけが得をすればいいというところに落ち着きました。