#846 足がつるのを防ぐためにも筋トレを!

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足がつる、という経験をしたことは皆さんあるはずです。

痛いし、不快ですよね。

経験しないで済むのであれば、できるだけ避けたいものだと思います。

とくにアスリートの場合、重要な試合中に足がつってしまうなんてことは、死んでも避けたいことでしょう。

 

 

足がつる原因は?

足がつってしまう原因は、以前は水分や電解質の不足だと言われていました。

だから、予防のためにスポーツドリンクを飲むことが推奨されたりしていました。

 

しかし、最近は、足がつる原因は水分や電解質の不足ではなく、筋肉をコントロールする運動神経が過剰活動することにより筋肉も異常に収縮してしまうからであるという考え方が提唱されています。

そして、そのような問題を改善するための解決策として、ピクルスジュースを飲むと良い、という研究結果も報告されているようです。

「ピクルスジュース」なんて個人的には飲んだことありませんが、その名前を聞くだけで不味そうで飲みたくない感じがします・・・。

 

このあたりの話は、以下の外部サイトで詳しく解説されているので、一読されることをオススメします。

参考 足の “つる” メカニズム —水分、電解質不足が原因ではない—Tohara Brothers 筋トレ&栄養のサイエンス

 

 

足がつるのを防ぐためにも筋トレを!

スポーツドリンクであれ、ピクルスジュースであれ、それらを飲むのは試合当日にできる予防法です。

それとは別に、そもそも足がつりにくい体質を作るために、長期的に取り組むことのできる予防法はないのでしょうか?

現時点で科学的に確実なことは言えませんが、候補として有力なのが「筋トレ(ウエイトトレーニング)をすること」です。

 

こんなことを言うと、「河森は筋トレの指導者だから、なんでもかんでも筋トレで解決できると信じたい/売り込みたいだけじゃないの?」と思われるかもしれません。

正直言って、そのようなバイアスがまったくないとは言い切れません。

無意識のバイアスは多少あるでしょう。

それでも、まったく根拠のない主張というわけでもないので、最後まで私の説明を聞いていってください。

 

まず、足がつる原因が、筋肉をコントロールする運動神経が過剰活動することにより筋肉も異常に収縮してしまうからであるという考え方が正しいと仮定すると、次に疑問になるのは「なぜ、運動神経の過剰活動が起こるのか?」という点です。

これについてもまだはっきりと解明されたと言える段階ではないようですが、仮説として提唱されているのは、高いレベルの筋力発揮が要求されるような運動をすることで、筋肉をコントロールする運動神経に過剰な負担がかかてしまうことです。

たとえば、マラソン中もしくは直後に足がつった人とつらなかった人を比較した研究では、足がつった人のほうが筋ダメージが大きかったことが報告されています。

Martínez-Navarro I, Montoya-Vieco A, Collado E, Hernando B, Panizo N, Hernando C. Muscle Cramping in the Marathon: Dehydration and Electrolyte Depletion vs. Muscle Damage. J Strength Cond Res. 2022 Jun 1;36(6):1629-1635. 

 

筋ダメージが大きかった人は、自分の持っている筋力レベルに対して、相対的により高いレベルで筋発揮をして頑張って走ったのであろう、だから、筋肉をコントロールする運動神経への負担が大きく、結果として運動神経の過剰活動に繋がって足がつりやすい状態になったのだろう、という想像はできます。

ということは、筋トレをして筋力レベルの上限(=最大筋力)を高めておいてあげれば、競技中に求められる筋力発揮のレベルが相対的に下がるので、運動神経への負担も小さく抑えられるだろうし、運動神経の過剰活動も防げるのではないか、と考えられます。

これは仮説のうえに仮説を重ねるようなアイデアでしかありませんが、同研究では足がつった人よりも足がつらなかった人のほうが筋トレを実施している割合が高いとも報告されており(25% vs. 47.6%)、あながち空理空論とも言えないのではないかと思います。

 

 

筋トレで足がつりにくくなるという科学的知見はあるの?

実際に、筋トレをすることで足がつりにくい体質をつくることができるのかどうかを調べるためには、「介在研究」が必要です。

具体的には、被験者を2つのグループにわけて、1つのグループには筋トレをやってもらい、もう1つのグループには筋トレをやらせず、それを数週間〜数ヶ月間続けて、その前後で運動をしてもらい、足がつる人の割合の変化をグループ間で比較するような研究です。

私の知る限りでは、まだそのような介在研究は存在しません(もしかしたら私のリサーチ不足かもしれませんが)。

実際やろうと思うと、かなりの数の被験者が必要になるでしょうから、なかなか実施するのが難しいというのが理由としては考えられます。

 

1つ興味深い論文として、介在研究ではないのですが症例報告があるので紹介しておきます。

Wagner T, Behnia N, Ancheta WK, Shen R, Farrokhi S, Powers CM. Strengthening and neuromuscular reeducation of the gluteus maximus in a triathlete with exercise-associated cramping of the hamstrings. J Orthop Sports Phys Ther. 2010 Feb;40(2):112-9. 

この症例報告は、右ハムストリングがレース中に頻繁につると訴えていたトライアスロン選手を対象にしたものです。

さまざまな測定をしてみると、大殿筋の筋力が弱く、ランニング中に右ハムストリングが過剰に活動していることが発見されたとのこと。

そこで、大殿筋を主なターゲットにして筋トレを24週間実施してもらったところ、その後のレースにおいて足がつらなくなったと報告されています。

 

これは被験者が1人だけの「症例報告」なので、「介在研究」と比べるとエビデンスレベルは低いのですが、それでも興味深いデータだと思います。

私なりに想像を膨らまして解釈してみると、大殿筋とハムストリングは共同して股関節伸展筋力を発揮する筋肉ですが、筋トレを導入する前は大殿筋が弱いためにハムストリングに負担がかかりすぎていて、結果として運動神経が過剰活動してしまい足がつることに繋がってしまっていたと考えられます。

そこで大殿筋を鍛えて筋力を向上させたところ、股関節伸展の筋力発揮時のハムストリングの負担が減ったので、足がつることを防げるようになったのではないか、と予想できます。

 

ここで興味深いのは、ハムストリングがつるのを予防するために、ハムストリングを直接鍛えるのではなく大殿筋をターゲットにして筋トレをした、という点です。

私は以前にハムストリングの肉離れを防ぐためにケツ(≒大殿筋)を鍛えましょう!というブログ記事を書いたのですが、基本的なアイデアはそれと同じです。

興味のある方はぜひご一読ください。

» 参考:ハムストリングの肉離れを予防するためには、ハムストリングを直接鍛えるだけではなく「ケツ(特に大殿筋)」も鍛えるべし!

 

 

まとめ

アスリートにとって、重要な試合中に足がつってしまうというのは死んでも避けたいことのはずです。

しかし、最近考えられている足がつるメカニズムによると、自分の筋力レベルに対して相対的に大きな筋発揮が求められて負担がかかるとその筋肉をコントロールする運動神経が過剰活動をして足がつりやすくなるということなので、むしろ自分の限界を超えるようなパフォーマンスが求められる重要な試合ほど、足がつりやすいとも言えます。

そんな最悪な状況を避けるためには、ピクルスジュースを飲むという試合当日にできる対策と、筋トレをして筋力レベルを高めておく、もしくは特定の筋肉に過剰な負担がかからないように適切な筋肉を強化しておく、という長期的な対策の両者を最大限活用することが推奨されます。

 

足がつるのを防ぐためだけに筋トレをする、ということだとイマイチやる気がおきないかもしれませんが、筋トレにはそれ以外にもたくさんのメリットがあるので、投資効率はめちゃくちゃ良いです。

まだ取り入れていないアスリートは、ぜひ筋トレを始めてみてください。

とくに足がつりやすく悩まれているアスリートは、やってみて損はないと思いますよ。

 

 

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【編集後記】

2010年から使っていた外部ディスプレイが死にました。

PCに繋いでも何も映らずブラックのまま。

12年間も働いてくれたから、十分もとは取れました。

ちょうどAmazonのブラックフライデーセール期間中だったので、こちらのディスプレイを買いました。

こいつは何年働いてくれるかな?