2018年2月に、私にとって初の著書となる「ピーキングのためのテーパリング −狙った試合で最高のパフォーマンスを発揮するために−」が発売されました。
そして、それから約4年が経ちました。
競技スポーツに携わる仕事をしていると、4年間というのはオリンピックサイクルでもあり、1つの区切りという感覚があります。
そこで、初めての著書の発売から4年が経った今、本を書いた経験とその影響について改めて振り返ってみたいと思います。
S&Cコーチが本を書くことで得られる税金収入以外の3つのメリット
私は、本を執筆してその印税だけで食べているわけではありません。
つまり、作家ではないんですね。あくまでも職業は「S&Cコーチ」です。
実際に、印税だけだと全然食べていけないです。
また、本を1冊書くのにかかった時間や労力のことを考えると、これまで入ってきた印税収入だけでは、まったく割に合いません。
それでも、初の著書の発売から4年が経った今、「やっぱり本を書いて良かったな」と思える自分がいます。
それは、印税収入以外にもメリットがあるからです。
- ① 自分の頭の整理に繋がり、S&Cコーチとして成長できる
- ② 本を読んでくれたアスリートがトレーニング指導を依頼してくれる
- ③ 自分が貢献できる専門家やアスリートの数を増やすことができる
① 自分の頭の整理に繋がり、S&Cコーチとして成長できる
本を書くということは、そのテーマについて詳しい、ということでもあります。
まったく知らないテーマについて本を書くことは難しいですからね。
私も、初の著書のテーマである「ピーキング・テーパリング」については、本を読んだり、論文を読んだり、実際にアスリートのコンディション調整で実践したりしていました。
本の執筆の依頼を引き受けたのは、自分はそのテーマに詳しいという自信があったからです。
それでも、実際に執筆にとりかかってみて、自分の頭の中がいかに整理されていないかを思い知らされました。
人に教えたり伝えたりするためには、頭の中にあるモヤッとした情報を言語化する必要があります。
また、ただ言語化するだけでなく、それをわかりやすく伝えるために、言い回しを工夫したり、どのような順番で情報を出していけばいいかを検討したり、ということが必要になってきます。
このプロセスを何度も繰り返すことで、頭の整理に繋がり、結果としてS&Cコーチとして大きく成長できたという実感があります。
やっぱり、書くとかアウトプットするというのは、最上級の学習法なんだな、と再確認することができました。
トレーニング指導の実践を重ねることでS&Cコーチとして成長する、というのはもちろん大切です。
しかし、それだけでは得られないような形での成長を手にすることができるというのは、本を書くことで得られた大きなメリットだな〜と実感しています。
そして、そのような成長が、最終的にはトレーニング指導のクライアントさんの利益になるわけです。
本を執筆する機会というのはなかなか得られるものではありませんが、もしそのような機会に恵まれたら、ぜひともチャレンジしてみてください。
② 本を読んでくれたアスリートがトレーニング指導を依頼してくれる
私の書いた本を読んだことがキッカケとなり、私のトレーニング指導を受けに来てくれるアスリートが少しずつ増えてきました。
単純にうれしいです。
大変だったけど、本を書いて良かったな〜と思います。
しかも、そのようなアスリートは、私のトレーニングに対する考え方や哲学をある程度知って理解した上で、私のトレーニング指導を受けたいということで来てくれているわけです。
私からすると理想のクライアントさんなんですよね。
トレーニング指導というのは、相性の善し悪しが大きい仕事だと感じています。
私が提供するトレーニング指導と、クライアントさんが求めているトレーニング指導が異なるケースもたまにはあります。
そういう場合は、お互いにとって不幸です。
だから、私としては、事前に私の考え方や哲学を知ってもらって、納得してもらったアスリートだけに来てもらえるように、ブログを書いたりツイッターでつぶやいたりして発信を続けているのです。
これまでは、私のブログを読んでトレーニング指導の依頼をしてくれるアスリートが多かったです。
それが、私の本を読んでトレーニング指導の依頼をしてくれるアスリートの割合が増えてきたということです。
ブログのほうは記事数がだいぶ増えてきたので、「とりあえず私のブログ記事を全部読んで、私の考え方を理解してから、トレーニング指導を申し込んでください」なんて言いづらくなってきました。
その一方で、私の著書、とくに「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」は、トレーニングについての私の哲学がよくまとまっているので、手っ取り早く私のトレーニング指導方針を理解していただくのに役立っていると感じます。
もともとは専門書という位置づけで書いた本ですが、できるだけわかりやすく書くことを意識したおかげで、専門家ではないアスリートにも読んでもらえて、その一部のアスリートがトレーニング指導まで受けに来てくれています。
変に小難しい文章にしないで、わかりやすさを追求しておいて良かったな、と改めて感じています。
③ 自分が貢献できる専門家やアスリートの数を増やすことができる
S&Cコーチとしては、トレーニング指導がメインの活動になります。
それはもちろん重要ですし、究極的なことを言うと「自分のところにトレーニング指導を受けに来てくれるアスリートだけが得してくれればいい」という気持ちもあります。
その一方で、直接トレーニング指導をして貢献できるアスリートの数には限界があり、ちょっともったいないな〜という想いもあります。
私は海外の大学院に留学して博士号を取得した上で、S&Cコーチとして現場で活動している、というユニークな経験や知識を持っていて、それは他の人にはない強みだと考えています。
そのような経験や知識を役立てることができるのが、数が限定された一部のアスリートだけ、というのはもったいないし、できればもっと多くのアスリートに貢献したい、という欲求もあります。
本を書いて、それを出版してもらい、多くの方が読めるような形で私の経験や知識を広めることで、自分が貢献できる専門家やアスリートの数を増やすことができる。
これは本を出版したメリットの大きな1つだな〜と感じています。
アスリートが本を読んでくれれば、直接的に貢献することができますし、同業の専門家が読んでくれれば、その方たちが指導されているアスリートに対して間接的に貢献することが可能です。
もちろん、ブログを書いたりSNSで発信することでも、自分が貢献できる専門家やアスリートの数を増やすことはできます。
ただ、書店に並んでいる本を読んでくれる層とブログやSNSのようなネット上での発信を読んでくれる層は少し違うようなので、両方やっておくことでより広範囲のアスリートへ貢献できる可能性を広げることができると感じます。
まとめ
初の著書を出版してから4年。
改めて本を執筆して出版するという経験を振り返ってみて感じたことを、とくにS&Cコーチとしての視点でまとめてみました。
S&Cコーチとして本を書くことで得られるメリットが印税収入だけだと、本を書くのにかかった時間や労力のことを考えると、まったく割に合いません。
でも、印税収入以外のメリットもたくさんあるので、結局本を書いて良かったな、と思っています。
皆さんも本を書いて出版するチャンスがあれば、ぜひチャレンジしてみてください。
っていうか待っていてもそんなチャンスは巡ってこないので、本を書くことを目標にして、ブログ等を書いてみることをオススメします。
本の出版に繋がらなかったとしても、ブログを書くこと自体にもたくさんのメリットがあるので損することはありません。
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【編集後記】
昨日は家族でいちご狩りに行ってきました。
制限時間30分の食べ放題で、「ちょっと時間が短いかな」と不安だったのですが、全然そんなことはなく。
スタートダッシュは勢い良かったのですが、すぐにペースは落ちました。
30分で十分すぎるくらいでした。
お腹いっぱいでもう食べられない、というのとは違う何かが食べるペースを落としたのですが、その正体はいまだにわかりません。