これまで、セミナー講師を100回以上務めてきました。
外部からご依頼をいただいたものと、自主開催したもの、その両方を合わせての数字です。
また、参加者という立場でも、いろいろなセミナーを受講してきました。
受講したセミナーの回数は数えていませんが、そちらもおそらく100回は超えているはずです。
そのような経験にもとづいて、私がセミナー講師を務めるときに意識していることがあります。
それは、セミナー中に話を聞いていただいてそこで完結するのではなく、セミナー参加を「起点」として、さらに学びを広げてもらう、ということです。
セミナー参加を「起点」として、さらに学びを広げてもらえるようなセミナーを目指す理由
これまで参加者としてセミナーを受講して、「あ〜、面白い話だったな」と感じても、それだけで終わってしまう、というケースが数多くありました。
そこから学びが広がっていかず、普段のトレーニング指導のやり方にも変化が起きないようなセミナーです。
まあ、そもそも「つまらない」「なにも学ぶべきことがない」みたいなセミナーが多い中で、少なくともセミナー中は「面白い」と感じることができたのであれば、かなり「当たり」の部類のセミナーではあります。
しかし、私がセミナーに参加するのは、数時間のエンターテイメントを求めているからではありません。
あくまでも、自分の知識や思考をアップデートすることを目的としているので、そこに繋がらないようであれば、満足度は低くなります。
一時的なエンターテイメントを求めているのであれば、映画でも観るほうが面白いですから。
そのようなセミナー受講者としての経験から、自分がセミナー講師を務める場合には、セミナー参加を「起点」として、さらに学びを広げてもらえることを意識しています。
最終的には、参加者のトレーニング指導のやり方をいい意味で変えてもらうことを目標にしています。
セミナーで私の話を聞いていただいて「面白い」と感じていただけるだけではダメで、その後の行動変容に繋がって初めて、セミナー講師としての務めを果たした、と思えるのです。
セミナー参加を「起点」として、さらに学びを広げてもらうための工夫
セミナー参加を「起点」として、さらに学びを広げてもらえるために意識していることがあります:
- ①科学的根拠を示す
- ②出典を明記する
- ③具体例や個人の経験談を含める
- ④セミナー資料を配布する
①科学的根拠を示す
セミナーに参加して新しい知識を持って帰ってもらって、これまでのトレーニング指導のやり方を変えてもらう、って結構難しいと感じます。
人間っていうのは、変化を嫌う、習慣の生き物ですから。
だから、まずは「これは、トレーニング指導のやり方を変えたほうが明らかに良さそうだな」と納得してもらう必要があり、そのためには科学的根拠を示すことが有効だと考えています。
なので、セミナーにおいては、私の主張を支持するような科学的根拠を示しながら、お話をするよう心がけています。
②出典を明記する
科学的根拠を示す場合は、その基になっている論文の出典を明記するよう心がけています。
たまに、「〇〇ということが研究によって証明されています」と主張しているのに、出典を明記しない人がいますが、とても胡散臭いです。
実際には科学的根拠がないのに、自分の主張があたかも研究によって支持されているかのように見せかけているのでは?こちらを騙そうとしているのでは?と疑ってしまいます。
たとえ悪気はなく、実際に科学的根拠に裏付けられていたとしても、その出典を明記しないのは、研究の世界ではマナー違反とみなされる行為なので、避けるべきです。
なにより、出典を明記しておけば、セミナー参加者があとで論文を探して読むことができるので、学びを広げてもらうことに繋がります。
③具体例や個人の経験談を含める
科学的根拠を示して納得してもらうことは重要ですが、それだけでは不十分です。
「ふむふむ、河森の言っていることはわかったし納得できるけど、それを現場でのトレーニング指導にどう活かせばいいのかわからないな…」という感じになってしまうと、行動変容に繋がらないからです。
そこで、できるだけ具体例や私の経験談を交えてお話をするよう意識しています。
そうすることで、「なるほど、科学的根拠をもとに河森が解説していたこの理論は、現場ではこういうふうに活用すればいいのか」と具体的なイメージを膨らませてもらうことができます。
セミナー講師としての私の強みは、博士号を取得していて科学的知見に詳しいだけでなく、S&Cコーチとしてそれを現場で活用する経験を積んでいる、ということだと思うので、その2つをバランス良くお伝えすることを意識しています。
④セミナー資料を配布する
使用したスライドを資料として配布するセミナーと配布しないセミナーがあります。
どちらのタイプのセミナーにも参加したことがありますが、資料があったほうが圧倒的に学びを広げることに繋がると感じています。
科学的根拠を示すときに、出典を明記する場合にも、資料を配布してもらえればそれを参照して論文を見つけることができますし。
もちろん、セミナーの種類によっては、配布資料が必要ないケースもあるでしょう。
たとえばTEDみたいに、1つの熱いメッセージを伝えたい、というようなプレゼンであれば、配布資料はいりません。
しかし、専門知識をレクチャーするようなタイプのセミナーであれば、配布資料はマストだと思います。
もちろん、セミナーのタイプや内容によっては、資料配布は必要ではない場合もあります。
ただ、専門知識をレクチャーするようなセミナーでは、資料がないと復習ができず知識の定着が難しくなります。
— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki)
まとめ
これまでのセミナー講師とセミナー参加者としての両者の経験から、私がセミナー講師を務める時には、セミナー参加を「起点」として、さらに学びを広げてもらう、ということを意識しています。
とくに、資料として配布することになるセミナースライドは、それだけでもかなりの価値があると思っていただけるくらい、がんばって作り込んでいます。
まあ、必要以上にスライド作りに時間とエネルギーを使いすぎているんじゃないか?と思うこともたまにはあります。
しかし、セミナー後にそのような資料が手元に残ったほうが、圧倒的にその後の学びが広がりやすくなるし、行動変容にも繋がるはずだ、という強い信念のもと、がんばっています。
科学的根拠を示すために論文を大量に読むので、そちらにも時間がかかっており、1つのセミナーの準備をするのがめちゃくちゃ大変です。
そのぶん、私が自主開催するセミナーにおいては、相場と比べるとかなり高い料金を設定しています。
そうしないと、私自身が納得できないので。
もちろん、私だけでなく、セミナー参加者の皆さんにも十分納得してもらえる、と考えたうえでの値付けです。
セミナー参加を「起点」として、さらに学びを広げてもらえるようなセミナーってどんな感じだろう?という方は、ぜひ一度、私のセミナーに参加してみてください。
後悔はさせません!!
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【編集後記】
パリ五輪が開幕しますね。
私のトレーニング指導のクライアントさんの中では、フェンシング男子エペの見延選手が出場される予定です。
前回の東京五輪に続いてのメダル獲得を期待しています!がんばれ🇯🇵