#395 アスリートがケガをしやすい時の2パターンを知っておいて、リスクを避けましょう

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S&Cコーチの大きな役割の1つは「ケガをしづらい身体」をつくることです。

適切なトレーニングにより筋力・柔軟性・持久力etcを向上させれば、ケガのリスクを下げることができます。

また、トレーニングをすれば筋肉や腱、靭帯etcそのものを直接的に強くすることもできます。

 

しかし、どれだけがんばって「ケガをしづらい身体」をつくっても、そして、どれだけトレーニング中にケガをさせないように細心の注意を払っても、アスリートが多くの時間を過ごす「競技練習」において、ケガのリスクを高めるようなことをされてしまうと、我々S&Cコーチとしてはどうしようもありません。

お手上げです。

実際に、どう考えても競技練習のやり方に問題があり、それがケガや痛みに繋がっていると思われるケースをいくつも見てきました。

そして、そのたびに、S&Cコーチとしての無力感をおぼえたものです。

「俺の立場じゃ、どうしようもないや〜!」と嘆いていてもしょうがないので、練習内容を決める立場にある競技コーチ、あるいは自分で練習内容を決めているアスリートに向けてブログを書いてみます。

具体的には、「こういう時にケガのリスクが高まりますよ〜」というパターンを2つ紹介して認識してもらうことで、そういったリスクを避けてもらうことにつながれば、と思います。

 

 

アスリートがケガをしやすい時の2パターン

今回紹介したいアスリートがケガをしやすい時の2パターンは以下のとおりです:

  • ①練習・トレーニング量が急に増える時
  • ②慣れていない新しい練習・トレーニングを導入する時

 

①練習・トレーニング量が急に増える時

人間の身体には、与えられたストレスに対して適応する能力が備わっています。

しかし、適応できるストレスの大きさにも限界があるので、それを超えるような大きなストレスが身体に加わると壊れてしまいます。

また、ストレスに対して身体が適応をするには時間もかかります。

 

したがって、急に練習やトレーニングの量を増やしてしまうと、身体の適応能力が追いつかなくなって、ケガをしたり痛みにつながったりするリスクが高まります。

実際、私が担当しているアスリートが身体のあちこちの痛みを訴え始めたりする時に、競技練習の内容について尋ねてみると、「そういえば今週は練習が急にキツくなりました」と返ってくることが多いです。

 

そのようなケガをしやすい状況を作らないためには、練習・トレーニング量を急に増やすことを避けて、徐々に増やすようにするのがベストの解決策です。

たとえば、1週間あたりの競技練習の総時間を10%ずつ増やすとか。

ランニングにおける総走距離を先週よりも10%だけ増やすとか。

練習・トレーニング量の計算は1週間単位にして、1週間ごとに増やす量は10%程度にとどめておくと、ケガのリスクを抑えることができます。

この「10%」という数字に具体的な根拠があるわけではありませんが、「1週間ごとに増やす練習・トレーニング量は10%程度にとどめておく」という指針はひとつの目安として使えると思います。

 

 

②慣れていない新しい練習・トレーニングを導入する時

「量を急に増やす」と身体の適応能力の限界を超えるリスクが高まりますが、量は増えなくても、これまでやっていない新しいことをやる場合も、身体にかかるストレスは大きくなります。

たとえば、今まで持久力向上のためのトレーニングは自転車や水泳といった運動様式で実施してきたアスリートが、急に「走る」というトレーニングを導入した場合、ケガや痛みにつながるリスクが高まります。

よくあるのは膝や脛の痛みを訴えるパターンです。

この場合、身体が「走る」というストレス(特に着地衝撃)に慣れていないため、適応能力の限界を超えて、炎症等を起こし痛みやケガにつながっているのです。

 

そのようなケガをしやすい状況を避ける解決策は、「新しい練習・トレーニングを導入する時は、徐々に少しずつ導入する」ということです。

たとえば、上の例のように、持久力トレーニングの様式を自転車や水泳からランニングに変えたいのであれば、ガラッと一気に変えるのは賢明ではありません。

これまで週3回の頻度で持久力トレーニングを実施していたのであれば、最初はそのうち1回だけをランニング形式に変更して、他の2回はこれまでどおり自転車または水泳にしておくとか。

そして、だんだんアスリートが慣れてきたらランニングを週2回、週3回と増やしていって、最終的にはすべての持久力トレーニングをランニング形式に変えるとか。

また、週3回のうち1回だけをランニング形式に変えるとしても、その1回のトレーニングも最初は量を大幅に減らして実施し、アスリートが慣れてくるにしたがって徐々にトレーニング量を増やしていくほうが安全です。

 

 

まとめ

アスリートがケガをしやすいパターンを知ってもらったうえで、それを避けるように練習・トレーニングを計画してもらえると、ケガのリスクを大幅に下げることができます。

そのうえで、優秀なS&Cコーチのもとで適切なトレーニングを実施すれば、さらにケガをしづらい身体を作ることができます。

参考にしてみてください。

 

 

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【編集後記】

セミナーの自主開催に挑戦中です。

手続きが多くて大変ですが、まだ初回なので、何度もやっているうちに効率も上がっていくでしょう。

なにより、テーマ、日時、場所、受講料etcを自分で決められるのが魅力です。