#795 大人数のチーム指導を中心に活動していきたいと考えているS&Cコーチであっても、一対一での指導を経験したほうが良い

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Jonathan borba R0y bEUjiOM unsplash

 

私のチーム指導経験

私のS&Cコーチとしてのキャリアの前半は、主に個人競技のアスリートを対象にトレーニング指導をしてきました。

その関係で、一対一でトレーニング指導をする機会が多かったです。

 

2017年度にフリーランスとして独立してからは、チーム競技(主にバスケ)のトレーニング指導を担当する機会も少しずつ増えてきました。

一度に大人数のアスリートを指導するというのは、一対一で指導するのとは異なるスキルが求められるものだと実感しています。

たとえば、限られた時間・トレーニング器具を効率よく活用するためのオーガナイズスキルだったり、一人ひとりを細かく見て重量設定をするのが困難なのでアスリート本人に責任を持って重量設定してもらうようなルール決めだったり、真面目にトレーニングに取り組んでもらうための規律の設定だったり。

 

私自身、少しずつそのようなスキルを磨いてきて、20名くらいまでだったらなんとか同時に指導できる自信がついてきました。

ラグビーやアメフトのような競技だともっと大人数を同時に相手にしないといけなくなるので、ちょっとそれは自分には無理だな、と諦めています。

私の性格的にも、少人数に対してきめ細かい指導を提供するほうが性に合っているので、同時に指導する上限は20名くらいまでにしておこうと考えているところです。

 

 

大人数のチーム指導を中心に活動していきたいと考えているS&Cコーチであっても、一対一での指導を経験したほうが良い

S&Cコーチとしての私の指導スキルやら指導対象の好みやらはとりあえず置いておいて、一対一での指導とチームに対する指導の両方を経験してみて感じたことをシェアしたいと思います。

おそらく、今後S&Cコーチとして活動していきたい、と考えている学生や若手の方に役に立つ内容です。

それは「大人数のチーム指導を中心に活動していきたいと考えているS&Cコーチであっても、一対一での指導を経験したほうが良い」ということです。

なぜ私がそのような考えに至ったのかについて、説明していきます。

 

まず、すでに述べたように、私がチーム指導をはじめた頃は、チーム指導で求められる独特のスキルが足りず、苦労しました。

その一方で、「エクササイズ指導」という点では、それほど苦労せず、これまで培ってきた経験を十分に活かせている、という実感がありました。

エクササイズ実施中のアスリートの動きを観察し、エラー動作を見極め、それを修正するための声がけを選択する。

これは、これまで一対一での指導中にもやってきたことですが、チームを相手に指導するときもやることはまったく同じです。

違いといえば、チームを指導するときには、このプロセスを次から次へと高速で処理する必要があるという点です。

今のところ、20名程度くらいまでの人数であれば、私の脳ミソの処理速度は十分間に合っています。

 

やっていることは同じとはいえ、それを実行するのに求められる時間が、一対一の指導とチーム指導とでは、大きく異なります。

その結果として、脳ミソのなかで起こっていることは多少異なります。

 

一対一で指導しているときには、深く考える時間的余裕があります。

時間をかけて「なぜこういうエラー動作が起こるのかな?可能性としてはあれとかこれとかが原因として考えられるかな?じゃあ、なんて声がけをすればそれを修正できる可能性が高いかな?」なんてことをじっくり考えることができます。

そして、時間をかけて選択した声がけがうまくいったりうまくいかなかったりする経験を重ねていくうちに、自分の引き出しのなかにストックが蓄えられていくわけです。

一方で、チームを指導しているときは、深く考える時間的な余裕はありません。

したがって、過去に時間をかけて深く考えた経験の蓄え(ストック)の中から、目の前のアスリートに当てはまると思われるものを瞬時に選択する、という作業が脳ミソの中で行われています。

 

つまり、私がチーム指導を始めるようになって「エクササイズ指導」に関しては問題なく実施できていたのは、過去に蓄えていたストックがすでに存在していたからです。

そのストックの中から、目の前のアスリートに対して適切なものを高速度で取り出せば良かっただけです。

逆にいうと、そのようなストックがない状態でいきなりチーム指導を始めたら、まともなエクササイズ指導なんてできていなかっただろうな〜とも思うのです。

 

それこそがまさに、「大人数のチーム指導を中心に活動していきたいと考えているS&Cコーチであっても、一対一での指導を経験したほうが良い」と私がオススメする理由です。

一対一での指導を経験することで、ストックを蓄えることができるので、エクササイズ指導の腕を磨くことが可能になるのです。

 

 

まとめ

今回は、主に一対一での指導からS&Cコーチとしてのキャリアをスタートし、その後チーム指導もするようになった私の経験をもとに、学生や若手のS&Cコーチにアドバイスする気持ちでブログを書いてみました。

私の経験の範囲内で考えると、いきなりチーム指導からS&Cコーチとしてのキャリアをスタートし、一対一での指導を経験せずにチーム指導だけをずーっとやっていると、エクササイズ指導能力を磨くのが難しいのではないかと思います。

「絶対にムリ」という話ではなく、あくまでも「難しい」という程度のお話ですが・・・。

 

そんなことを言うと、チーム指導を専門にやってこられたS&Cコーチの中には「河森は何を言ってやがるんだ?チーム指導だけでも経験を積めばエクササイズ指導能力を磨くことは十分できるぜ!」と反発される方もいるかもしれません。

あくまでも今回のブログは、「一対一での指導→チーム指導」という順番で経験を積んできた私の個人的な感想にすぎないので、他の経験を積まれたS&Cコーチの意見も聞いたうえで、ご自身でご判断いただくのがベストだと思います。

ただし、チーム指導しかしたことのないS&Cコーチの場合、一対一での指導をすることでどれほどエクササイズ指導の腕を磨くことができるかは経験されていないので、正確な判断はできないはずです。

フェアな比較をするのであれば、「一対一での指導→チーム指導」という順番で経験を積んできた私の意見と「チーム指導→一対一での指導」という逆の順番で経験を積まれた他のS&Cコーチの意見を比べるのが理想です。

 

ここまでブログを書いて気づいたのですが、まさに同じ内容のブログを過去にすでに書いていました。

いや〜、完全に忘れていました。

ただ、せっかく時間をかけて書いたので、もったいないし、このまま投稿します。

長年ブログを書いていれば、同じような内容の記事を繰り返すことだってあるさ!と自分に言い聞かせて。

» 参考:チーム指導をメインにしているS&Cコーチも、個人指導をするとスキルアップに繋がる

 

 

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【編集後記】

昨日は取材を受けました。

自分が持っている経験や知識を引き出してくれて、それを自分とは異なる切り口で文章化してもらえる、というのが取材を受けるメリットの1つだと感じています。

ライターさんが書かれた文章を読んで、「あ〜、そういう表現の仕方もあるのね」と勉強になることも多いので。

今回もどんな記事に仕上がるのか楽しみです。

掲載が決まったら、この編集後記やツイッターでお知らせします。