ウォームアップをルーチン化する
以前のブログで、ウォームアップをルーチン化する事の有効性についてお話しました。
ルーチン化とは、ウォームアップの「内容(ドリル名)」「それぞれのドリルの量(回数、距離)」「順番」を紙に書き出したら、それを見た別のアスリートが同じ内容のウォームアップを再現できるくらいきっちり決めておくという事です。
ウォームアップをルーチン化する事には多くのメリットがあり、私もアスリート(特に個人競技の)には、「ウォームアップをルーチン化するように」と指導しています。
実際のところ、「ウォームアップをルーチン化するように」と言っても、実際に紙に書き出すような意識の高いアスリートはあまり多くありません。
多分、「ウォームアップでやる事は自分の中でだいたい決まっているから、十分ルーチン化できてるでしょ(紙に書きだすのは面倒臭いし)」程度に考えているアスリートが多いのだと思います(私の伝え方にも問題があるのかもしれません)。
しかし、「だいたい決まっている」程度ではルーチン化とは呼べません。
以前のブログでも書いたように、ルーチン化する事のメリットの1つは「ウォームアップを改善しやすくなる」という点です。
ルーチン化したウォームアップを実施して、何か問題を見つけたら(例:時間がかかり過ぎた)、その問題を解決する(例:ドリル数を減らす、各ドリルの量を減らす)というサイクルを繰り返す事で徐々にウォームアップを改善していく事が可能になります。
この改善は、細かい作業を積み重ねた結果として可能になるもので、「だいたい決まっている」程度では細かい改善は難しく、きっちりと紙に書き出すという事が非常に重要です。
ウォームアップのチェックリストを作る
そこで、紙に書き出してきっちりとウォームアップをルーチン化してもらうにはどうしたら良いかと考えました。
そこで思いついたのは「ウォームアップのチェックリストを作ろう」という事です。
「ルーチン化しよう」というメッセージでは不十分・不明確だった部分を、「チェックリスト」という具体的なものを作ろうというメッセージに置き換える事によって、実際の行動を促そうという考えです。
このアイデアは下の本を読んで思いつきました。
本書はチェックリストの作り方が書かれているハウツー本ではありません。
どちらかというと、チェックリストを導入する事の有効性がさまざまな事例とともに語られていて、本書を読み終えたらチェックリストを作らずにはいられなくなるという啓発書的なものとなっています。
私自身、ここ5年ほどは海外出張が多く、毎回スーツケースに詰めるものを考えるのが面倒くさかったので「海外出張持ち物チェックリスト」なるものをExcelで作って活用してきました。
毎回、出張が近づいてきたらチェックリストを作成し始め、出発前日にはそれを印刷してチェックをしながらスーツケースに持ち物を詰めていくという作業をしています。
そして、その作業をしながら「この荷物はいらないな」とか「チェックリストにはないけど、これ持っていったほうが良いな」というものがあれば、印刷したチェックリストにペンで書き加えておき、出張から帰ってきたらそれをもとにExcel上でチェックリストに改善を加えるという作業を毎回繰り返してきました。
その結果、かなり洗練された「海外出張持ち物チェックリスト」ができあがったと自負しています。
このチェックリストのおかげで、出張準備の時間が大幅に短くなり、また忘れ物をする事もほとんどなくなりました。
ウォームアップにも同様のチェックリストを導入する事で、同じような効果が期待できます。
個人競技のアスリートで、試合前のウォームアップが各自のアスリートにまかされている場合だけでなく、S&Cコーチがチームのウォームアップを指導する際にも、チェックリストを作っておく事にはメリットが多いです。
実際に、私は記憶力があまり良くないので、ウォームアップのチェックリストを印刷しておいて、それを確認しながらウォームアップの指導をしています。
本当はすべて頭の中に入っていて、何も見ないで指導するほうが良いのかもしれません。
メモを見ながら指導しているS&Cコーチは頼りなく思われる可能性もなくはないですが、少なくともメモを用意しているという事は事前にウォームアップ指導の準備をしているという事がアスリートにも伝わるはずなので、メリットとデメリットでプラス・マイナスゼロかなと思います。
むしろ、チェックリストを作っておいてそれを改善しやすくなるという事を考えると、メリットのほうが大きいかもしれません。
まとめ
ということで、是非ウォームアップのチェックリストを作って、活用してみてください。
紹介した本もオススメします!
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【編集後記】
現在、フェンシング世界選手権@ハンガリーに帯同サポート中です。
これまでの練習とトレーニングの成果を発揮して、良い結果を残してくれると期待しています!