アスリートにとって、試合前のウォームアップは最適なパフォーマンスを発揮するのに重要です。
チーム競技であればウォームアップの内容はチームである程度決められているかもしれませんが、個人競技の場合は各自に任されている事が多いでしょう。
どんなウォームアップが良いのかは競技や個人によって異なるので、この方法がベストというのは言えません。
しかし、どんな内容のウォームアップをするにせよ、試合前のウォームアップの内容をルーチン化することについてはどんなアスリートに対してもオススメできます。
ウォームアップのルーチン化とは?
アスリートの多くはウォームアップで何をやるかはだいたい決まっているでしょう。
しかし、「だいたい決まっている」程度だと「ルーチン化」とは言えません。
私がオススメしている「ルーチン化」とは、以下の項目を紙に書きだしたら、その紙を見た別のアスリートが全く同じ内容のウォームアップを再現できるというくらい、しっかりと決めておくことです:
- 内容(ドリル名)
- それぞれのドリルの量(例:回数・距離)
- 順番
ウォームアップをルーチン化するメリット
ここまで細かいルーチン化をオススメする理由は大きく3つあります。
- ①その日のコンディションを把握しやすくなる
- ②他の事に集中できる
- ③ウォームアップを改善しやすくなる
①その日のコンディションを把握しやすくなる
毎回同じ内容のウォームアップをする事で、いつもと違う事に対して敏感になり、その日のコンディションを把握しやすくなります。
たとえば、「今日はいつもより股関節がかたいな〜」と感じたら、股関節まわりのモビリティドリルの量を増やしたり、エクササイズを追加したりする事ができます。
もしウォームアップをルーチン化せずに毎回異なるウォームアップを実施していたら、そうしたコンディションの違いに気づくのは難しいでしょう。
「ルーチン化しましょう」といっても、べつに「ウォームアップの内容を絶対に変えるな」と言っているわけではなく、ルーチン化したうえで必要に応じて付け加えてOKなんです。
むしろ、ルーチン化するからこそ、付け加えが必要かどうかを判断できるわけです。
②他の事に集中できる
試合前はウォームアップ以外にも色々とやらないといけない・考えないといけない事がたくさんあります。
試合開始時間に合わせて水分や補食をどのタイミングで何をどの程度の量補給すれば良いのかとか、試合の戦略(試合運び)についてのおさらいとか、対人競技であれば対戦予定の相手の特徴とか、道具を使う競技であれば道具の準備や整備とか。
ウォームアップをあらかじめルーチン化しておけば、毎回「ウォームアップで何をやろうかな?」と考える時間と脳みそのエネルギーをセーブする事ができるので、そのぶん他の事に集中できるようになります。
③ウォームアップを改善しやすくなる
「ルーチン」と言っても、まったく同じ内容のものを少しも変えずにずーっとやり続けるという事をオススメしているわけではありません。
ルーチンは改善していってもいいんです。
っていうかそもそもルーチン化していないと、ウォームアップを改善する事は不可能です。
だって、毎回ランダムな内容のウォームアップを実施していたら、どうやってそれを改善する事ができるのでしょうか?
ウォームアップをルーチン化しておいて、それを試合前に実際にやってみてなにか問題があったら(例:思ったより時間がかかり過ぎた、量が多すぎて疲れちゃった)、次回に向けてルーチンの内容を見なおして、必要な変更を加えれば良いのです。
ルーチンを毎回少しずつアップデートしていくことによってのみ、改善を図る事ができると私は思います。
まとめ
一度、試合前のウォームアップについて紙に書きだして、内容や量・順番についてルーチン化してみることをオススメします。
そして、そのルーチンを毎回少しずつアップデートして改善を重ねることによって、自分にとってのベストなウォームアップを作り上げてもらいたいです。
動画 科学的知見に基づく試合/練習前ウォームアップ戦略
ちなみに、ルーチン化の重要性について啓蒙されたい方は、「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」という本を読んでみてください。
必ずしもチェックリストの作り方やルーチン化の方法論について書かれた本ではありませんが、それらの価値を再発見させてくれる本です。オススメです。
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